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平成11年5月28日新聞報道にかかる事務連絡



 
   
                                                 事  務  連  絡
                                                    平成11年5月28日
  各都道府県介護保険担当課(室)長 殿
                                              厚生省老人保健福祉局
                                               介護保険制度施行準備室長
  介護保険の施行準備については、日頃より、多大のご苦労をいただいていることに対し
まして、心より感謝申し上げます。
  さて、最近、介護保険をめぐり、高額保険料の肩代わり、2,000億円の基金の創設、
介護保険先送り等のさまざまな新聞報道がされております。施行準備を進める中で、こう
した報道が繰り返されることに対して、関係者から心配し多くのお問い合わせをいただい
ておりますので、取り急ぎ、現在の状況を、お伝えします。
 こうした状況について、都道府県幹部にもお伝えいただくともに、FAX等により、速
やかに、管下の市町村、首長、助役、担当職員をはじめとする関係者に周知していただき、
施行準備の着実な推進に支障を来たすことのないよう、特段の配慮をお願い申し上げま
す。
                                   記
1  「高額保険料の肩代わり」について                                
    (5月20日  朝日新聞、5月21日  日経新聞の報道について)
@5月21日の記者会見における宮下厚生大臣の発言の要旨
  「保険料の高いところを国が支援するということは、現実の施設・在宅サービスの格差を
是認し、助長することにつながり、考えかたとして適当ではないと思う。今のところ、そのよ
うなことを検討しているという事実もないし、そのようなことにはならないと思う。」
A国会における答弁の基本スタンス
  「保険料が著しく高くなる市町村について配慮すべき旨の市町村からの強い要望があるこ
とは承知しており、このため、市町村の責に帰さない理由により、高保険料となる地域に対
しては、これまでも調整交付金による調整を行なうことを含め種々検討しているところ。
 いずれにしても、6月中を目途に各市町村のサービス必要量の見込み等を踏まえた給付費
の推計等が都道府県を通じて、国に提出されることとなっているが、それを見て対応を検討
することとしている。
 従って、一部の新聞報道にあるような、保険料の高いところに一律支援するようなことに
ついて、具体的な検討を行なっている段階にはない。」
2  2,000億円の基金の創設について
    (5月24日各紙の報道について)
○新聞記者に対する宮下厚生大臣の説明
  「財政安定化基金のことを念頭に話をしたもの」
  「既に制度上ある基金の話をしたものであり、特に新しいことを言ったわけではない」
3  介護保険先送りについて
    (5月27日各紙(夕刊)の報道について)
@5月27日午前の野中官房長官の記者会見
  記者の質問;介護保険に関して、自由党の小沢党首が記者会見で「市町村は反対している、
そういうものを無理矢理やるのか。全面的に見直すべきだ。」という発言をして、来年4月
からの実施を見直すべきだという考えを示したが、現段階で政府として、介護保険を来年4
月に向けて見直すことも検討の余地があるのか」
  官房長官;介護保険の準備段階である現在において、全国の市町村の中に準備が比較的順
調に進んでいる所とそうでない所のばらつきがあることは事実である。
 ただ、全ての市町村が反対しているということはない、10月の判定の準備をしたり、4
月に発足できるような準備段階を迎えている市町村も多数ある。また、判定等の業務を広域
的に進めたいと、県を含めて努力している市町村もある。こういう市町村の進み具合と、現
実に準備が遅れている市町村の準備状況をどのようにこれから4月の実施時期に向けて調整
をしていくかということは、非常に政府としても今悩んでいることである。
  一方、保険料等の格差についても、国会等を通じても、与野党通じて意見のあるところで 、
そういう点で、政府部内においても、また、与党始め、関係の野党を含めた議論をおうかが
いしていかなければならない。いずれにしても、国会の進み具合等を見極めながら、この問
題は、与野間の含めて、政府とも一体となって協議をしていかなくてはならない問題である。
 
A5月27日午後の野中官房長官の記者会見
  記者の質問;介護保険について、午前中に、今後、政府及び与野党を含めて協議していき
たいと言われたが、4月の実施時期について動かす考えがあるのか。それとも、実施時期は
動かさずに実施に向けて様々な工夫をこらしていく考えなのか。
  官房長官;夕刊各紙の報道を見て残念に思う。少なくとも、来年4月から介護保険を行なう
ということは既に決定をしていることであり、厚生省を中心に、政府も、地方公共団体も準
備を行なっていることは午前中も申し上げた。比較的順調に準備をやっておられるところと、
残念ながら、準備が十分でないところが見受けられるのも現実である。
  保険料について、施設介護の厚いところには大変高い保険料になるような傾向がある。ま
た、家族介護が非常に問題になる状況もある。そのような反省点をある程度整理をする必要
があるし、それは与党は勿論のこと、野党の意見もうかがいながらやらなければならないと
申し上げた。
 それが、見送りと報道され、介護保険のために一生懸命勤しんでくれている政府関係者は
勿論のこと、特に、困難な問題に熱心に取り組んでいる市町村関係の皆さんには大変ご迷惑
をかけることになったのではないか。皆さんにも是非言葉のありようから、報道のありよう
をお考えをい
ただきたい。
4 広域化に対する助成について
  (5月25日 読売新聞(夕刊)、5月26日 日経新聞の報道について)
@国会における答弁の基本的スタンス
 「介護保険財政を含めた広域化については、市町村間の保険料の格差が解消され、安定的
な保険財政運営が可能となる等、望ましいものと認識している。
  厚生省としても、保険者たる市町村が保険財政まで含めた広域化を進めることについて、
積極的に支援していきたい。」
A国会における答弁の要旨(平成11年5月26日 衆議院行政改革特別委員会)
「広域化には2つの側面がある。今年10月から認定が始まるが、その認定について広域で
対応する。これは多くの市町村で実施されるものと認識している。この事務体制に対する補
助は、今でも行っているところ。保険者としての広域化については、保険料と給付水準とが
あまり乖離することは望ましくなく、広域化によってそれらがある程度調整できればと思っ
ている。広域化に対する助成とは、今でも行っている事務体制等に対する助成という意味で
の助成策ということ。」
5 準備の整っていない自治体は介護保険の実施先送り
 (5月27日各紙(夕刊)、5月28日  各紙の報道について)
@5月28日の記者会見における宮下厚生大臣の発言の趣旨
 「介護保険制度は法律に基づいて一斉にスタートするのが当然である。問題がこれだけ色
々と報道されるようになるということは、市町村に実施が迫ってきており、自分たちの問題
だという意識が非常に大きくなってきて、真剣な問題が提起されているという背景があるの
だと思う。国としては、良く実態を把握しながら、12年4月からの円滑な施行に向けてい
ろいろと検討すべきことがあればしていくことが必要だと思う。」
※実施時期について各自治体間で差を設ける(部分的実施とする)ことの問題点
 ・ 現行の措置制度と介護保険制度下の利用契約とが混在することとなるため、被保険者
の間に利用者負担等の不公平が生じる。
  ・ 第2号被保険者の保険料は、国民健康保険等の医療保険加入者から全国一律に徴収さ
れるため、介護保険が実施されていない地域に居住している場合においても徴収されること
となり、理解が得られない。
 といった問題があり、部分的実施という考えかたは取り得ない。
6 保険料の減免について
 (1月28日、3月22日 赤旗新聞の報道について)
@国会における質問及び答弁(平成11年1月27日 衆議院予算委員会)
  委員;国保法の77条では、地方税法717条、水利地益税の減免という項目がありまし
て、そして国保税の場合もこれに含まれている。そこでは「天災その他特別の事情がある場
合」云々といって、「貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者」等も含まれています。
そして、皆さん、これは介護保険法でも市町村の裁量によって条例をつくることが可能にな
っていますから、国保の場合、市町村が条例によってどのような減免条例をつくるかという
ことについて厚生省は準則を示されていて、そこでも基本的には今までと同様の規定になっ
ています。
 この点はこの後もそのようにされるべきと思いますが、いかがでしょうか。
  宮下厚生大臣;基本的にはその方向だと思っています。
 ※前記答弁の趣旨
     
 大臣は、国保の保険料については、市町村は減免に関する条例を制定することが可能であ
り、当該条例については厚生省から準則が示されているが、介護保険においても同様と考え
てよいか、という委員からの質問に対し、「基本的にはその方向で考えている。」という趣
旨の答弁を行なったも
の。