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◆◆ 平成23年度 ◆◆

貸付先施設の経営状況レポート2011(平成22年度決算分報告)

第2回 病院の経営状況「収支の状況」

 経営支援室 経営企画課

 独立行政法人福祉医療機構では毎年、貸付先各施設の機能性や収支の状況について調査を行っています。このほど平成22年度の各施設(病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム)における経営状況の調査結果を取りまとめました。そこで本コラムでは全7回にわたりまして、その概要を報告します。

 第2回目となる今回は、平成22年度における病院の経営状況のうち「収支の状況」を報告します。

 平成21年度および平成22年度の「収支の状況」については【参考資料(こちらをクリック)】のとおりです。

 なお当機構では病院の種類を3類型に分類しており、それぞれ以下のように定義しています。

   一般病院 :全病床に占める一般病床の割合が50%超
   療養型病院:全病床に占める療養病床の割合が50%超
   精神科病院:全病床に占める精神病床の割合が80%以上

 前回の報告で取り上げましたとおり、平成22年度では病院は、主に入院収益を中心とした収益増が見られました。これは入院医療に重点を置いた平成22年度の診療報酬の改定の影響です。しかし収益性の視点で見ると、「医業収益対医業利益率」および「経常収益対経常利益率」は、一般および療養型病院においてはいずれも前年度比で上昇しましたが、精神科病院においてはいずれの率も前年度比で低下しました。今回、図表は掲載していませんが、各病院類型の100床当たりの収支状況(実額)では、病院3類型いずれについても医業収益計は前年度比で増加しましたが(一般+119,696千円、療養型+37,502千円、精神科+11,854千円)、他方、各医業費用も前年度比で軒並み増加しました(一般+83,689千円、療養型+29,649千円、精神科+13,614千円)。このような状況のなかでも、一般および療養型病院については、医業費用の増加を上回る医業収益の増加があったため、相対的に「医業収益100に対する医業費用の割合」が減少し、結果として各利益率は上昇しました。一方、精神科病院については、逆に前年度比で医業費用の増加が医業収益の増加を上回ったため、各利益率は前年度比で低下しています。特に費用項目のうち人件費について100床当たりの実額で見てみると、精神科病院の場合、上述の医業収益の増加額(11,854千円)の98%相当が人件費の増(11,622千円)に充てられていることがわかります。入院基本料の上位基準への対応等の様子もうかがえますが、現状の医業収益の伸びでは費用全体の上昇は吸収出来ず、医業利益が低下したものとみることができます(参考までに、一般および療養型病院における医業収益増加額に対する人件費増加額の割合は、一般病院が38.7%、療養型病院が70.2%となっています)。

 次回は、介護老人保健施設の「機能性の状況」について報告します。

 なお本コラムで報告しました各数値および経営指標につきましては、当機構より毎年度発行しております冊子「病医院の経営分析参考指標2011‐平成22年度決算分」に所収しています。本コラムの内容についてのお問い合わせや冊子のご購入につきましてはこちら(クリックしてください)でご案内しております。


【参考資料】

shiryou_byouin2.pdf