独立行政法人福祉医療機構では毎年、貸付先各施設の機能性や収支の状況について調査を行っています。このほど平成22年度の各施設(病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、ケアハウス)における経営状況の調査結果を取りまとめました。そこで本コラムでは全10回にわたりまして、その概要を報告します。
特養としては第3回目となる今回は、平成22年度決算における特別養護老人ホームの経営状況のうち、事業活動収入に占める各費用等の割合をまとめた「収支の状況」について、タイプ別(従来型、個室ユニット型、一部個室ユニット型)にわけて報告します。
記載内容の参考資料として
【PDF:経営分析参考指標ダイジェスト版】をご覧下さい。
なお、当機構では、特別養護老人ホームを3種類の施設形態に分類し、それぞれ次のように定義しています。
従 来 型 :介護報酬において、「従来型個室」「多床室」の適用を受けている
施設群
個室ユニット型 :介護報酬において、「ユニット型個室」「ユニット型準個室」の適用
を受けている施設群(単に処遇上のユニットケアを実践している施
設は含んでいません。)
一部個室ユニット型:介護報酬において、「従来型個室」「多床室」の適用を受けている
部分と、「ユニット型個室」「ユニット型準個室」の適用を受けている
部分の両方の形態を持つ施設群
@ 従来型
「人件費率」は61.4%で、前年度から1.2ポイント増加し、「経費率」は27.8%と前年度
から0.2ポイント減少しました。
なお、「事業活動収入対経常収支差額比率」は、前年度から0.9ポイント減少し7.2%
となりました。
A 個室ユニット型
「人件費率」は57.6%で、前年度から1.1ポイント増加し、「経費率」は25.1%と前年度
から0.6ポイント減少しました。
なお、「事業活動収入対経常収支差額比率」は、前年度から0.1ポイント減少し7.6%
となりました。
B 一部個室ユニット型
「人件費率」は61.2%で、前年度から1.5ポイント増加し、「経費率」は25.9%と前年度
から0.3ポイント減少しました。
なお、「事業活動収入対経常収支差額比率」は、前年度から1.1ポイント減少し7.0%
となりました。
以上、@〜Bより、「経費率」は全タイプで前年度から減少しておりますが、これは比率の分母である収入が増加したためだと思われます。一方、「人件費率」は全てのタイプで前年度から増加しており、収入の増加以上に人件費支出が増加したことを示しています。なお、「人件費率」の上昇が、「経費率」、「減価償却費率」の低下より大きくなった結果、「事業活動収入対経常収支差額比率」では@〜B全タイプで減少しています。
以上3回にわたって、平成22年度決算特別養護老人ホームの経営状況を報告しましたが、各数値および経営指標につきましては、当機構より毎年度発行しております冊子「特別養護老人ホームの経営分析参考指標2011-平成22年度決算分」に所収しています。本コラムの内容についてのお問い合わせや冊子のご購入につきましてはこちら(クリックしてください)でご案内しております。
【参考資料】