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耐火木造による高齢者福祉施設づくりの最新情報


全6回に渡って、耐火木造を用いた高齢者福祉施設づくりについて お届けします。


<執筆>
金沢工業大学環境・建築学部建築デザイン学科 教授
A/E WORKS 代表理事 佐藤 考一

第2回:軸組構法による耐火木造@ハートホーム宮野


ハートホーム宮野を訪れる


 今回から耐火木造施設のルポタージュを始めるにあたり、まずは軸組構法の竣工事例を取り上げることにした(表)。取材当日は、事業者である社会福祉法人青藍会の阿武幸美副理事長と武永昇拠点長から説明を受けたが、軸組材を供給したシェルターの林隆氏にも同行していただくことになった。


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施設の概要


 ハートホーム宮野は2つの建物で構成されている(図1)。不思議な建物配置に見えるのは、旧館の隣に、耐火木造の新館を雁行させながら建設したためである。もちろんこの配置には狙いがある。入隅各所には植栽が設けられ、これらに面する外壁は木製ルーバーと白色サイディングが次々と入れ替わる。つまり、新旧建物の間のアプローチなどを歩いていると、予想外の視覚的変化が現れてくる仕掛けになっている(写真1)。
 この施設は、階ごとに特別養護老人ホーム、ショートステイ、集合住宅に分かれている。あわせると90人ほどの定員で、いずれも地元の方々が利用している。そのため、集合住宅はサービス付き高齢者住宅の面積基準よりコンパクトに計画し、利用しやすい家賃を実現している。

画像拡大 ▲写真1 新館へのアプローチ(左は旧館)

耐火木造を採用した理由


 事業者の社会福祉法人を含む青藍会グループは、山口市で医療・介護・子育て支援などを展開しており、現在64の事業所がある。介護事業は在宅介護を中心に手掛けており、市内では青藍会グループのロゴマークである赤いハートを表示した車に幾度となくすれ違うことになった。
 ハートホーム宮野は、こうした青藍会の山口市北部の拠点として建設された。木造を発案したのは副理事長である。地元密着で介護事業を手掛けていれば、自ずと地場産業に通じてくる。山口県は「滑(なめら)材」と呼ばれるアカマツの良材の産地である。しかし他の林産地と同様、輸入材に押されて雇用の場が失われてきていた。そこで地元の植林伐採サイクルの再生に向け、滑材を大々的に使った施設をつくりたいと思ったわけである。

構造設計とスケジュール


 阿武副理事長は、耐火木造という技術的課題を特段意識したわけではない。しかし設計依頼を受けた方は採用構法が設計コンセプトを左右することにすぐ気付く。設計者としても耐火木造は初めてだったため、ハートホームスタッフとともに行った耐火木造高齢者施設の視察を含め、いろいろと情報収集をしたようである。
 副理事長によると、当初はツーバイフォー構法と軸組構法の両方の検討案があったそうで、結局、主に開口部設計の自由度を優先して後者が選択されることになった。この建物は※雁行形の平面を3つの中庭が貫通しており(写真2)、なかなか複雑な形状をしている。柱梁式にした方が構造設計が容易になるという判断が働いたのはいうまでもないだろう。
 ところで、29床以下の小規模特養は単年度事業での補助になる。一方、建物高さなどによっては建築確認とは別に「構造計算適合性判定(適判)」を受ける必要が出てくる。ところが、適判を担当する機関は一般に木造の審査に不慣れである。つまり、工期が厳しいにも関わらず設計段階で手間取ることも少なくない。
 ハートホーム宮野は軒高9mを超えたためルート2という方法で構造設計が行われた。また建物形状が複雑なため、3つの部分を連結するような骨組みモデルで解析する必要もあった。しかし経験豊富な構造設計事務所が担当したことに加え、軸組材の供給メーカーが実験データ等を提供して技術的バックアップに務めたことから適判もスムーズであったという。

※雁行形(型)…各住戸を斜めにずらして建てる形式のこと。建物を上からみたときに、雁が並んで飛んでいる形にみえることから付いた名称

▲写真2 中庭 ▲写真3 畳マット敷きの廊下

設計テーマを投げかける


 ハートホーム宮野は、山口市の介護基盤緊急整備等補助金と介護施設開設準備経費等補助金のほかに、国土交通省の「木のまち整備促進事業補助金」を受けている。そのため坪当たり63万円の工事費のうち4分の1ほどが補助金で賄われている。実は外壁に木製ルーバーをふんだんに設けたことなどから、工事費は当時のRC造単価を少し上回っていた。その様子を見ていたシェルターの担当者が国土交通省の補助金への申請も持ちかけ、こうした充実した補助につながっていったそうである。
 ハートホーム宮野は、何も補助金獲得を第一の目的として耐火木造が選択されたわけではない。しかし、事業者が投げかけた「地場産材を活用した木造施設づくり」という課題が設計者や部材供給メーカーを触発し、普段にもまして意欲的な取り組みに向かわせていったことも確かなようである。


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※ この記事は月刊誌「WAM」平成26年11月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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