第一線の社会福祉の行政機関である福祉事務所の職員として、主に福祉六法にかかわる業務に当たる
しごとの内容
福祉六法(「生活保護法」、「児童福祉法」、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」、「老人福祉法」、「身体障害者福祉法」および「知的障害者福祉法」)に定める援護、育成、または更生の措置に関する事務をつかさどります。
具体的には、虚弱や寝たきり、認知症などで介護を必要とする高齢者や身体障害者、知的障害者、児童、貧困者・低所得者およびその家族などに対し、さまざまな援護や育成、更生の措置に関する面接や家庭訪問を通じ、その実態を把握したり、相談に応じて必要な生活指導をしたり、施設への入所措置などを行います。
業務にあたっては相手の人格や価値観、人生観などを尊重して相談に応じ、常に第三者の立場に立ち、冷静、かつ迅速に臨むことが大切です。このため、単に社会福祉の知識を習得するだけでなく、地域の関連施設や病院、診療所(クリニック)、民生委員・児童委員、市町村社協、ボランティア団体などの社会資源や法律の知識など住民生活全般にかかわるさまざまな情報を蓄積し、必要なサービスをコーディネートすることが求められます。
福祉事務所の設置主体は都道府県や市ですが、町村も任意に設置できます。
主な資格・職種
査察指導員(スーパーバイザー)、現業員(ケースワーカー)、老人福祉指導主事、知的障害者福祉司、身体障害者福祉司、家庭児童福祉主事、家庭相談員、面接相談員、女性相談支援員、母子・父子自立支援員、医師
将来性
福祉事務所は2023年4月現在全国に1,251か所あります。地域に密着した社会福祉の行政機関で、地域福祉を推進していく拠点の一つとして、今後、ますます重要な役割を担っていくことになります。
出典:「福祉事務所の設置状況」|厚生労働省
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/fukusijimusyo/)
勤務形態
公務員の一般行政職であるため、原則として定時出勤・退勤となります。
給与水準
地方公務員給与規定にもとづきます。
就職のルート
まず公務員試験に合格することが前提ですが、福祉事務所において社会福祉各法にかかる業務に任用されるには、「社会福祉主事任用資格」を得ていることが要件となります。
社会福祉主事任用資格を取得するには次の3つのルートがあります。
@大学などにおいて3つの指定科目を習得する
大学や短大において厚生労働大臣が指定する科目のうち、3つ以上を履修して卒業すると取得することができます。
A厚生労働大臣が指定する養成機関、または講習会を修了する
通学制、もしくは通信制の社会福祉主事養成機関で学ぶ、あるいは都道府県が実施する社会福祉主事資格認定講習会を受講することによって取得できます。
B社会福祉士、または精神保健福祉士の資格を取得する
社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得すると社会福祉主事任用資格も取得したものとみなされます。
採用状況
住民の福祉ニーズも多様化しているため、福祉事務所の設置数は微増しており、採用の枠も一定数あるものと思われます。
就職するためのポイント
福祉事務所で福祉専門職として働くには、大学で「社会福祉の原理と政策」や「社会保障」などの指定科目のうち、3科目以上を修めて卒業、または社協の所定の通信課程(1年)を修了するなどして社会福祉主事任用資格を取得する、もしくは社会福祉士の資格を取得しておくことが望ましいでしょう。とくに都道府県や市のなかには当初より福祉行政職として採用するところが増えつつあるため、新卒の場合、社会福祉士国家試験の受験資格、また、途中採用の場合、社会福祉士の資格を取得していることが応募要件となります。
関連団体・組織
自治体
厚生労働省 社会・援護局
https://www.mhlw.go.jp/