救急救命士
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救急車内や事故、災害の現場で、けがや病気の人の救急救命処置を行う

しごとの内容

救急救命士

 事故・災害現場や救急車内などで、けがをしている人や病気の人に救急救命処置を施す医療専門職です。止血処置やバイタルの測定といった一般的な医療活動のほか、心臓や呼吸の止まっている人に対し、医師の指示を受けて点滴や気道の確保などの特定行為を行うこともあります。すみやかに傷病者のもとへ駆けつけ、救急救命処置によって人の命を救うという、やりがいのあるしごとといえるでしょう。

 一方、本来、救急救命士は緊急度の高い重症の傷病者に対応する役割を担っていますが、実際に救急搬送された人の約半数は搬送先の医療機関で軽症と診断され、帰宅しているといわれています。また、一人暮らしの高齢者などがタクシー代わりに救急車を要請したり、終末期の高齢者で延命治療を望んでいなかったにもかかわらず、周囲の人があわてて救急車を要請してしまったりすることもあります。さらに、搬送先の医療機関がすぐに決まらず、救急車から何回も問い合わせをしなければならない、といったことも起きることがあります。

 このように救急救命士の職務を含む救急医療にはさまざまな課題が指摘されており、救急医療の最前線で働く救急救命士にとって厳しい環境であるともいえます。長寿化が進み、高齢者を対象とする業務がさらに増えることが予想されますが、これからの救急救命士にはさまざまな課題に気概をもって取り組むことが期待されています。


 出典:総務省消防庁『救急・救助の現況』


 出典:総務省消防庁『救急・救助の現況』を一部修正


主な職場

 消防機関、医療機関

将来性

 急病や事故、災害のときに活動する救急救命士は社会においてなくてはならない存在です。救急救命士の勤務先はほとんどが消防機関であり、総務省消防庁では3人1組の救急隊のうち、少なくとも1人は救急救命士の資格をもつよう、呼びかけています。また、最近では病院にも活躍の場が広がっています。救急隊との調整、医師や看護師の診療の補助、ドクターカーで現場に向かうなどが主な業務です。近年、東日本大震災や頻発する豪雨災害などを受け、現場での救急救命士の活動に注目が集まっています。本来、医師ではない救急救命士が命を救うために行う「特定行為」の範囲も順次拡大されてきており、重要性はさらに高まっていくものと考えられます。

試験の概要

 救急救命士の国家試験は年1回、例年3月上〜中旬の日曜日に行われます。合格発表は例年3月下旬。試験地は北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県。試験科目は患者搬送などを含む基礎医学、臨床救急医学総論、臨床救急医学各論(一)〜(三)。医学の基礎知識や救急分野に特化した問題も出題されます。マークシート式の筆記試験のみで合否が判定されます。


 <出題内容と主題割合>

専門基礎分野

T人体の構造と機能

約6%

U疾患の成り立ちと回復の過程

約3%

V健康と社会保障

約3%

専門分野

T救急医学概論

約28%

  A病院前医療概論

約7%

  B救急救命処置概論

約19%

  C必要な医学知識

約2%

U救急症候・病態生理学

約23%

  A救急病態生理学

約9%

  B救急症候学

約15%

V疾病救急医学

約19%

W外傷救急医学

約14%

X環境障害・急性中毒学

約5%

合格者状況



従事者数

 5万1,369人(2015年12月末現在)

 救急救命士の資格を有する消防職員 3万5,775人(2017年4月1日現在)

勤務形態

 消防機関の規模や自治体によって勤務形態は異なりますが、勤務がある日は24時間体制で翌日が非番という場合が多いようです。勤務時間内に「待機」や「仮眠」の時間も含まれます。病院では24時間体制のほか、勤務時間が決められている場合もあります。

給与水準

 消防機関に勤務する場合は地方公務員となり、自治体によって異なるものの、平均年齢38,6歳で月収約40万円に加え、出動手当なども支給されます。勤続年数に応じた昇級もあります。

資格取得のルート

 資格取得のルートは大きく分けて2つあります。

 @専門学校を卒業する

  高校を卒業後、専門学校で学び、救急救命士国家試験を受験して合格します。さらに、消防官採用試験を受けて合格すると救急救命士として消防署にて働くことができます。

 A資格取得前に消防署へ勤務する

   消防署の消防官採用試験を受けて合格し、消防署で消防隊員として勤務します。5年以上、または2000時間以上救急業務を経験し、6か月以上養成校で救急業務に関する講習を受けることで、救急救命士国家試験の受験資格を得られます。



資格取得のポイント

 救急救命士国家試験は高校を卒業後、専門学校で学ぶ、もしくは大学で指定科目を修了することで受験資格を得られます。消防機関に勤務後に資格取得をするルートもありますが、こちらは5年、または2000時間以上の救急隊員としての勤務、および救急業務研修の受講が必要となり、かなりの時間が必要です。救急救命士の資格取得者、あるいは取得見込み者を優先的に採用する自治体もあるため、まずは専門学校などで学び、試験に合格するのが救急救命士として働くうえでの早道といえるでしょう。

関連団体・組織(全社協)

一般社団法人 日本救急救命士協会

 https://www.paramedics.jp/