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被災福祉施設復興事例紹介
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〜 宮城県 石巻市 〜

社会福祉法人一視同仁会

「社会福祉法人一視同仁会」の復興事例紹介

取材日 平成27年10月29日
東日本大震災により、死者3,547人・行方不明者428人、半壊以上の建物53,742棟といった被害を受けた宮城県石巻市(出典:石巻市ホームページ)。その「石巻市」で被災した「特別養護老人ホーム花水木」を取材した。

施設所在地地図




被災時に直面する難しい判断


 社会福祉法人一視同仁会は石巻に位置し、平成10年11月に法人を立ち上げ、平成12年9月に特別養護老人ホーム花水木の運営を開始しました。平成27年4月より9床増床し、現在は29床で運営しています。
 沿岸部から7q、北上川からは200mの距離で立地していますが、震災時は、施設には津波被害や浸水被害はなく、職員・利用者ともに施設においての被害はありませんでした。
 この地域は過去に宮城県の地震をいくつも経験しているので、震災の当日は、その経験から家が倒壊する恐れがあり、送迎時に危険があると思われたため、デイサービス利用者の方をすぐに帰宅させなかったとのことです。近くまで津波が来ていたので、結果的にこの判断は良かったと思われます。このように震災時には、施設から出るのか、とどまるかの判断が難しいとのことでした。
 震災後一週間程で電気やガソリンについては近隣住民の助けもあり復旧しました。そのためデイサービスも4/1から送迎を行うことができました。
 震災後の対応としては、3/14からは入所者以外の石巻市の被災者の方も施設に受け入れ、近隣の学校にある避難所と連携して、近隣でお風呂に入れない方に対して、8月まで施設の入浴設備を開放するなど被災した地域住民を支えていきました。

▲ 施設の外観 ▲ 施設の内観

地域住民による「花水木非常時協力員」


 地域住民により施設の非常時の協力員をつのっていて、震災時は10名中2名がかけつけました。1名の方が自衛隊の出身者だったので、近くの川の水位を観察してくれたり、ろうそくやストーブなどの非常時に必要なものを持ってきてくれました。
 協力員の方たちは、施設の災害避難訓練にも参加して、その後行う検討会にも参加しています。また施設内の大掃除などの際にも立ち会ってもらい、施設内の導線も熟知してもらっています。その他、夜間に火災が発生した時に備えても協力してもらっています。
 ただし平成19年度からスタートし現在は高齢化が進んでいるので、今後新しい方にも参加していただくことが、必要になってきています。

震災の教訓を受けて、様々な防災対策を


 花水木では、震災後の教訓を受け、様々な防災対策をしています。主なものとしては、震災後に施設の屋根にソーラー発電を設置し、それ以外にもディーゼル発電機や、持ち運べるガス発電の機械などを導入しました。これにより停電時の吸引など電気がいる業務の不安が減りました。
 また震災前は特別養護老人ホームの3日分だけ非常食を用意していましたが、足りなくなる恐れがあるため、震災後は特別養護老人ホームとデイサービス・ショートステイの4日分に加えて、職員は各自のロッカーや自動車の中に自分達用の非常食も備蓄しています。
 その他必需品としてダルマストーブやガスボンベ、懐中電灯、ろうそく、マッチ、ホッカイロ、ブルーシート、ペットボトル2リットル108本なども備蓄しています。
 また津波対策として室内から屋上に避難できるように、震災時は外階段のみであった屋上への階段を屋内からもあがれるように設置しました。
更に災害マニュアルは文章ではなく、図式化して施設の壁に貼ることで、いつでも見やすいようにしています。

▲ ガスによる発電機 ▲ 新設した屋上への階段

人材確保ときめ細やかな人材育成の取り組み


 人材確保はなかなか難しいとのことですが、主にハローワークによって確保しています。またホームページ・パンフレットもデザインや内容を充実させて学生が身近に感じられるようにするなど工夫しており、実際に求人前からホームページに興味を持っていただいた方もいるとのことです。
 学生ボランティアの受け入れの際も、その時に対応する職員を通じて施設に興味を持ってもらうようにPRしています。
 職員はベテラン職員も多く、常に何が必要かを考え、工夫して働くことができているため、災害時にも水等の物資がない時の対応など、大いに貢献してくれていたといいます。そのため震災後も離職者が多く出るようなことはなかったとのことです。
 また、外部講師や職員による内部研修(年5回ほど)の実施や、離職しないように理事長が、職員の全員の誕生日祝いの際に、世間話から悩み事がないかなどを聞く個人面談を行うなど職員育成にも注力しています。


地域からのボランティアの受け入れについて


 平成16年から余暇活動の支援に地元の方たちをボランティアに受け入れています。
 ボランティアの活動状況を、施設広報誌「花水木」に掲載し、市役所、病院、郵便局、道の駅、理美容店など地域に配布することにより、徐々に地域の方の中でも浸透していき、集まるようになりました。
 現在デイサービスでは午後1時から1時間、民謡や日本舞踊の実演を、特別養護老人ホームでは水曜の午後に茶道教室と詩吟教室を開催しています。
 利用者の方たちも毎回楽しみにしていて、職員にとっても外部の人を受け入れることで接遇マナーの向上にもつながるとのことでした。
 近隣の高校の家庭系列の授業も施設にきて行ない、高校のボランティアクラブも活動に来てくれるなど、地元の学生が福祉の現場を知ってもらう場となっております。
 また隣に他法人の保育所もあり、自然と高齢者と児童の交流が生まれているとのことでした。

今後も地域住民にとっての施設を目指して


 今後の展開としては、石巻市が現在かさあげ工事や復興公営住宅を建設しており、復興公営住宅が完成した際にはデイサービス事業を行いたいとのことです。
 また、震災から一定時期が経ち心に問題を抱える人が多くなっている(PTSD等)ので、今後そういった方の心のケアもしていきたいとのことでした。
地域との連携がうまくとれ、非常時においても助け合えるように普段から協力体制が整っており、地域住民との関係は良好なため「オラホ(石巻の方言で私たちの)施設」と言われていています。このように特別養護老人ホーム花水木は、石巻地域の高齢者にとってなくてはならない施設になっていると言えるでしょう。


<< 法人概要 >>
法人名 社会福祉法人一視同仁会 理事長 遠藤 早苗 氏
法人施設 特別養護老人ホーム花水木(ユニット型)ショートステイ、デイサービス
施設所在地 宮城県石巻市鹿又字八幡前15番
法人設立時期 平成10年11月
施設設立時期 平成12年9月
URL http://hanamizuki1999.com/


取材動画


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