平成30年度報酬改定のポイント 介護報酬編
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 平成30年度報酬改定のポイント 介護報酬編

 平成30年度は、診療報酬・介護報酬の同時改訂の他、障害福祉サービス等の報酬改定も行われます。ここでは介護報酬の改定のポイントと、事業者の対応について解説します。

T 自立支援・重度化防止に資するサービスを評価

 平成30年度の介護報酬改定は、全体で+0・54%となっている。医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる体制の整備、自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの充実に1%を充当する一方で、通所介護サービス等は適正化で約0・5%引き下げる。主な改定内容は、次の通り。

 

●訪問介護

 身体介護と生活援助の報酬については、身体介護に重点を置く改定となっている。

身体介護と生活援助の報酬
 

 訪問介護事業所における人材確保を進めるため、介護福祉士は身体介護を中心に担うこととし、生活援助中心型については、これまでの訪問介護員の要件(130時間以上の研修)は求めないこととなった。このため、生活援助中心型のサービスに従事する者向けの新たな研修カリキュラムが創設される。また、訪問介護員は、事業所ごとに常勤換算方法で2・5以上置くこととされているが、前述の新しい研修修了者もこれに含める。この場合、どちらがサービスを提供しても両者の報酬は同様に扱う。
 同一建物の居住者にサービス提供する場合、これまでは養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に居住する者に限って10%減算(20人以上の場合)が行われていたが、利用者の人数が1月当たり50人以上の場合は、15%減算されることとなった。
 サービス提供責任者の任用要件については、初任者研修課程修了者と旧2級課程修了者は廃止する。ただし、現に従事している者については1年間の経過措置を設けている。また、これらの修了者を配置している場合の減算についても、平成30年度は現に従事している者に限定し、平成31年度以降は廃止する。

●特養・地域密着型特養

 人件費率の高まりにより、収支差率が悪化していた特養については、基本報酬が全体的に引き上げられている。

特養・地域密着型特養
 

 配置医師が施設の求めに応じ、早朝・夜間または深夜に施設を訪問し入所者の診療を行った場合を評価する配置医師緊急時対応加算(早朝・夜間 650単位/回、深夜1300単位/回)を創設する。また、常勤医師配置加算の要件を緩和し、同一建物内でユニット型施設と従来型施設が併設され、一体的に運営されている場合、1人の医師によって双方の施設で適切な健康管理・療養上の指導が行われている際には、双方の施設で加算を算定できることになった。
 外泊時に特養から提供される在宅サービスを利用した場合の費用の取扱いについては、560単位/日を新設。1月に6日を限度として所定単位に加えて算定できる(外泊の初日と最終日には算定できない。また外泊時費用を算定している場合の併算定もできない)。
 夜勤職員配置加算については、改定前は「夜勤職員の最低基準+1人分の人員を多く配置していること」が要件であったが、見守り機器(介護ロボット)を導入した場合の要件を緩和し、「+0・9人分の人員配置」、「入所者数の15%以上に見守り機器を設置」、「見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し必要な検討等が行われていること」となった。

U 療養病床の介護医療院への早期移行を促す

 介護療養病床と一部の医療療養病床の転換先として創設される介護医療院の報酬は、表のようになっている。

介護療養病床と一部の医療療養病床の転換先として創設される介護医療院の報酬
 

 移行の経過措置期間は平成36年3月31日までであるが、移行の届出を行った日から1年間限定で算定できる移行定着支援加算(1日93単位)があり、転換を促進する内容となっている。なお、この加算は平成33年3月31日までの時限措置であり、1年間算定するには、平成32年4月1日までに転換する必要がある。
 転換の際の基準は、入所者1人当たりの療養室の床面積は8・0m2を6・4m2、廊下幅は1・8m以上を1・2m以上に緩和しているが、廊下幅1・8m(中廊下2・7m)以上を満たさない場合の療養環境減算T(マイナス25単位/日)、療養室が床面積8・0m2/人を満たさない場合の療養環境減算U(マイナス25単位/日)があることに留意する必要がある。
 なお、介護医療院は、自治体の介護保険事業(支援)計画の枠内で新設も可能である。

V その他の新設・廃止の基準や加算等

●訪問系サービス

  • 看護職員による居宅療養管理指導を、算定実績を踏まえて廃止。廃止までの一定の経過措置期間は、平成30年9月30日までとなっている。
  • ターミナルケアの実施数が多い訪問看護事業所に、看護体制強化加算(T)(600単位/月)を新設。

●通所系サービス

  • 通所介護の基本報酬を2時間単位から1時間単位刻みに変更。大規模型の事業所の単位を引き下げた。
  • 事業者へのアウトカム評価として、ADL維持等加算(利用者全員に(T)月3単位あるいは(II)月6単位)を新設。一定期間事業所を利用した人のうち、ADLの維持や改善度合いが一定水準を超えた場合に、利用者全員を評価する。総数20人以上で要介護3〜5の利用者が15%以上等の要件を満たした事業所が算定可能。

●施設・居住系サービス

  • 看護職員を手厚く配置している認知症グループホームに、医療連携体制加算(U)49単位/日、同(III)59単位/日を加算。
  • たんの吸引等を行う特定施設の入居継続支援加算(36単位/日)を新設。

●多機能型サービス

 サービス供給量を増やして効率化を図るため、看護小規模多機能型居宅介護のサテライト型事業所(サテライト看多機)を新設。新たな基準として登録者の人数規定を追加し、上限を18人(うち通いのサービスの登録定員を12 人、宿泊サービスを6人まで)としている。

●居宅介護支援

 居宅介護支援事業所の管理者はケアマネジャーであることを要件とした(経過措置期間は平成33年3月31日まで)。
 居住系サービス、施設系サービスに定めている身体拘束の適正化については、@対策検討委員会を3カ月に1回以上開催し、結果を介護職員やその他の従事者に周知徹底する、A指針を整備する、B介護職員やその他の従事者に研修を定期的に実施する、の3点を基準に追加し厳格化した。

すべての表… 社保審・介護給付費分科会/平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について(平成30年1月26日)より

※ この記事は月刊誌「WAM」平成30年4月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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