平成30年度報酬改定のポイント 診療報酬編
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 平成30年度報酬改定のポイント 診療報酬編

 平成30年度は、診療報酬・介護報酬の同時改定の他、障害福祉サービス等の報酬改定も行われます。ここでは診療報酬の改定のポイントと、事業者の対応について解説します。

T 入院医療は基本的評価部分と実績評価部分の2つに再編統合

 中央社会保険医療協議会(中医協)は2月7日、平成30年度の診療報酬改定案について了承し、加藤厚生労働大臣に答申した。今回の改定では、@地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進、A新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実、B医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進、C効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上、の4つを柱に据え、改定率は+0・55%(薬価等を除く)となっている。これを各科ごとにみると、医科+0・63%、歯科+0・69%、調剤+0・19%となっている。一方、薬価はマイナス1・65%、医療材料マイナス0・09%となっている。
 主要な改定項目をみると、入院医療では、@基本的な医療の評価部分、A診療実績に応じた段階的な評価部分、の2つの評価体系に再編・統合される。新たな評価体系となる入院料は、急性期医療、急性期医療〜長期療養、長期療養の3つに大別される。
 急性期医療については、改定前の7対1と10対1の一般病棟入院基本料が急性期一般入院基本料となり、入院料1〜7の7段階の報酬体系となる(図1)。

一般病棟入院基本料(7対1、10対1)の再編統合イメージ
 

 これまでは、7対1と10対1では報酬の差が大きく、また管理単位が異なると弾力的な傾斜配置ができないことから、7対1から10対1への届出変更は実質的に困難な状態であったが、今回改定で、入院ニーズに応じた円滑な対応が可能となる。なお、200床未満の病院には経過措置(※1)がある。
 13対1、15対1の一般病棟入院基本料については、地域一般入院基本料となり、入院料1〜3の3段階の報酬体系となる(図2)。

一般病棟入院基本料(13対1、15対1)の再編統合イメージ
 

 入院料1と2は、13対1以上(7割以上が看護師)の配置と、平均在院日数が24日以内という要件は同じで、違いは重症度、医療・看護必要度の測定の有無(入院料1では必要)である。入院料3は、15対1以上(4割以上が看護師)、平均在院日数60日以内となっている。
 療養病棟入院基本料1と2は、看護職員配置を20対1に一本化し、医療区分2・3の該当患者割合に応じた2段階の評価に見直す(図3)。

療養病棟入院基本料の再編統合イメージ
 

 地域包括ケア病棟入院料・入院管理料については、これまでの入院料1と2を、新たに1〜4に見直す。13対1以上(7割以上が看護師)の看護職員配置、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰やリハビリテーションに係る職員の配置の要件は基本部分として共通とし、実績部分で差を出している(表1)。

地域包括ケア病棟入院料入院医療管理料1〜4の内容
 

 回復期リハビリテーション病棟入院料については、これまでの入院料1〜3を、新しく1〜6にわけ、15対1の看護職員配置、PT2人・OT1人の要件を基本部分としたうえで、重症者の割合や在宅復帰率等の実績で差をつけている(表2)。

回復期リハビリテーション病棟入院料1〜6の内容
 

 在宅復帰機能強化加算では、在宅に退院した1年間の患者数を1年間の1日平均入院患者数で除した数を、これまでの10%から15%に引き上げ、点数も1日10点から50点に引き上げている。
 なお、在宅復帰については、急性期一般入院料1(在宅復帰・病床機能連携率)は復帰先に介護医療院が含まれる。地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料の復帰先についても、自宅以外は介護医療院、介護サービスを提供している有床診療所となり、地域包括ケア病棟入院料から療養病棟、老健が対象外となった。

 

※ 1… 平成30 年3 月31 日時点で許可病床数200 床未満の病院で7 対1 一般病棟入院基本料の届出を行っている病棟が、急性期一般入院料2 または3 を届け出る場合は、平成32 年3 月31 日までの間に限り、重症度、医療・看護必要度の評価において、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Tを用いても差し支えない。

U 在宅医療・訪問看護を推進する評価をさまざま新設

 在宅医療をさらに進めるため、複数の疾病等をもつ在宅療養患者に、複数の医療機関による訪問診療が可能となる在宅患者訪問診療料1を新設した。他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合、830点(同一建物居住者以外)もしくは178点(同一建物居住者)が算定できる(月1回を限度)。
 また、在宅療養支援診療所(在支診)以外の診療所が、連携医療機関等と協働して24時間の往診と連絡体制を確保したうえで訪問診療を行う場合、在宅時医学総合管理料(在総管)と施設入居時等医学総合管理料(施設総管)の加算(継続診療加算)216点(1月につき)を新設している。
 一方、在総管・施設総管の月2回以上訪問した場合の評価は、従来より100点下げ、月1回の場合は20点(在支診・在支病)もしくは50点(在支診・在支病以外)引き上げる。より多くの患者へ訪問診療が行われるようにすることを意図している。
 なお、併設する介護施設等への訪問診療は、訪問と外来の中間的な診療形態となることを踏まえ、在宅患者訪問診療料2(1日につき)144点を新設している(患者1人につき週3回を限度)。
 訪問看護については、機能強化型訪問看護管理療養費3(8400円)が新設される。同1(1万2400円)や2(9400円)よりも施設基準が緩和され、常勤看護職員は4人以上等となっている。また、障害福祉サービス等との連携を進めるため、同1・2の要件「同一敷地内に居宅介護支援事業所を設置すること」が見直され、特定相談支援事業所や障害児相談支援事業所でも認められることとなった。さらに、訪問看護ステーションと開設者が同じ療養通所介護事業所、児童発達支援を行う事業所、放課後等デイサービスの事業所を同一敷地内に設置している場合は、これらの事業所の常勤職員のうち1人までを、訪問看護ステーションの常勤職員に含めることができる。

V オンライン診療料の新設、ICTによる死亡診断の明確化などで負担を軽減

 今回の改定では、オンライン診療料(1月につき70点)が新設されている。算定が可能なのは、特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料、地域包括診療料などを算定している初診以外で、かつ初診から6カ月以上を経過した患者(初診から6カ月は毎月同一の医師による対面診療を行っている場合に限る)である。ただし、連続する3カ月は算定できない。
 このほか、オンライン医学管理料、在宅時医学総合管理料オンライン在宅管理料、精神科在宅患者支援管理料精神科オンライン在宅管理料(各100点/1月につき)も新設される。
 一方、これまでオンライン診療で算定されていた電話等再診は、定期的な医学管理を前提として行われる場合は算定できない旨が明確化された(※2)。
 また、情報通信機器(ICT)を用いた死亡診断については、定期的・計画的な訪問診療を行っていること、直接対面で死亡診断を行うまでに12時間以上を要することが見込まれる状況であること、連携先の離島地域等に居住している患者であること等の要件が、死亡診断加算(在宅患者訪問診療料)で明確化された。

※ 2…平成30年3月31日までに算定していた場合、一連の管理が終了するまでは引き続き算定可能

図1〜3、表1〜2… 中医協・個別改定項目について/参考資料(平成30年2月7日)より

※ この記事は月刊誌「WAM」平成30年4月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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