認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)制定までの経緯と概要について
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T 新オレンジプランとは

 2015(平成27)年1月27日、厚生労働省は、「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜(新オレンジプラン)」を取りまとめ、公表しました。これは、内閣官房、内閣府、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省といった、関係省庁と共同して策定したもので、今日、認知症高齢者等の日常生活全体を支えていくための基盤となっています。
 このような関係省庁が連携した、横断的な新しい認知症施策を制定するに至った経緯と、新オレンジプランの概要について、紹介します。

U 増え続ける認知症

 認知症とは、アルツハイマー病や脳血管疾患、レビー小体病など、さまざまな原因により脳が病変し、一旦正常に発達した知能が低下し、日常生活に支障が出ている状態を言います。症状は大きく、中核症状と行動・心理症状(BPSD)に分けることができます。中核症状とは、認知症になると必ず生じる症状で、記憶障害や見当識障害、理解・判断力の低下などがあります。一方、行動・心理症状とは、本人がもともと持っている性格や生活環境、人間関係などの、様々な要因がからみ合って生じる症状で、不安や抑うつ、興奮、徘徊、不眠、妄想、不潔行為などがあります。
 「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)」によると、国内の認知症の人の数は増え続け、2012(平成24)年に約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。正常と認知症との中間の状態である軽度認知障害(MCI)と推計される約400万人を合わせると、高齢者の約4人に1人が認知症の人またはその予備群と言われています。高齢化の進展に伴い、今後、認知症の人は更に増加が見込まれており、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025(平成37)年には、認知症の人は約700万人前後になり、高齢者に対する割合は、現在の約7人に1人から約5人に1人に上昇することが見込まれています。

V 認知症施策の歴史

 認知症は以前、「ボケ」「痴呆」などと呼ばれ、「年をとれば仕方がない」など、専門的な視点での対応が十分ではありませんでした。認知症の人は、その病気や症状が理解されず、疎んじられ、適切なケアがされないどころか、身体拘束や虐待の対象にもなり得てきました。
 1986(昭和61)年に、厚生省は、痴呆性老人対策本部を設置。以来、1989(平成元)年に、老人性痴呆疾患センターの創設、1997(平成9)年に、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の制度化、2001(平成13)年には、認知症介護研究・研修センターの開設など、施策の充実を図ってきました。
 2003(平成15)年、当時の厚生労働省老健局長の私的研究会であった高齢者介護研究会が、「2015年の高齢者介護〜高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて〜」という報告書をまとめました。この中で、「新しいケアモデルの確立:痴呆性高齢者ケア」として、痴呆性高齢者を取り巻く状況や、痴呆性高齢者の特性やケアの基本をふまえ、「痴呆性高齢者ケアの普遍化」や「地域での早期発見、支援の仕組み」の必要性が示されました。
 その後、2004(平成16)年、厚生労働省の「『痴呆』に替わる用語に関する検討会」の報告を受け、「痴呆」という用語が侮蔑的な意味合いを含んでいることや、症状を正確に表していないことなどをふまえて、「痴呆」から「認知症」へと呼称が変わりました。これに続いた「認知症を知り地域をつくる10ヵ年」の構想の展開などにより、認知症についての理解は、一定程度進みました。また、高齢者の介護を支える介護保険制度においても、2006(平成18)年に、認知症対応型通所介護や小規模多機能型居宅介護などを含む地域密着型サービスを創設し、介護サービスの整備や地域ケア体制の構築による支援も図ってきました。
 そのような中、2008(平成20)年に、今後の認知症対策を一層効果的に推進し、たとえ認知症になっても安心して生活できる社会を早期に構築することが必要との認識のもと、厚生労働大臣の指示で、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」が組まれました。このプロジェクトでは、厚生労働省内の横断的な検討が進められ、プロジェクトの報告書には、今後の認知症対策の具体的な内容として、「認知症の人の実態把握」「アルツハイマー病の予防方法や治療薬などの研究・開発」「早期診断の推進と適切な医療の提供」「適切なケアの普及及び本人・家族の支援」「若年性認知症対策」が掲げられました。
 一方、近年になっても、未だ国民全体の認知症に関する理解は十分ではなく、認知症の人への支援が適切に行われないため、行動・心理症状などが発症し、家族などの対応も困難となり、精神科病院への入院に至るケースが後を絶ちませんでした。そこで、2010(平成22)年、厚生労働省の審議会「新たな地域精神保健医療体制を構築するための検討チーム(第2ラウンド)」で「認知症と精神科医療」について議論が交わされ、更に協議を重ねるために、厚生労働省は「認知症施策検討プロジェクトチーム」を設置。このチームが、過去10年間の認知症施策を再検証した上で、今後目指すべき基本目標とその実現のための認知症施策の方向性について検討し、2012(平成24)年6月に、「今後の認知症施策の方向性について」をとりまとめ、公表しました。
 「今後の認知症施策の方向性について」では、「認知症の人は、精神科病院や施設を利用せざるを得ない」という考えを改め、「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を目指すため、次の7つの視点からの取り組みを掲げました。

 @標準的な認知症ケアパス(状態に応じた適切なサービス提供の流れ)
 A早期診断・早期対応
 B地域での生活を支える医療サービスの構築
 C地域での生活を支える介護サービスの構築
 D地域での日常生活・家族の支援の強化
 E若年性認知症施策の強化
 F医療・介護サービスを担う人材の育成

 これに基づき、厚生労働省は、7つの取り組みにかかる具体的な数値目標を定めた「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」(平成25年度から29年度までの計画)を策定し、2012(平成24)年9月に公表したのです。

W 「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」について

オレンジプランの内容は、以下の通りです。

(1)標準的な認知症ケアパスの作成・普及
○「認知症ケアパス」(状態に応じた適切なサービス提供の流れ)の作成・普及
  • 平成25〜26年度:各市町村において「認知症ケアパス」の作成を推進
  • 平成27年度以降:市町村介護保険事業計画に反映
(2)早期診断・早期対応
○かかりつけ医認知症対応力向上研修の受講者数(累計)
  • 平成24年度末見込:35,000人 → 平成29年度末:50,000人
○認知症サポート医養成研修の受講者数(累計)
  • 平成24年度末見込:2,500人 → 平成29年度末:4,000人
○「認知症初期集中支援チーム」の設置
  • 平成27年度以降:モデル事業の実施状況等を検証し、全国普及のための制度化を検討
    ※認知症初期集中支援チームは、地域包括支援センター等に配置し、家庭訪問を行い、アセスメント、家族支援等を行うもの。
○早期診断等を担う医療機関の数
  • 平成24〜29年度:認知症の早期診断等を行う医療機関(認知症疾患医療センター等)を、約500か所整備

○地域包括支援センターにおける包括的・継続的ケアマネジメント支援業務の一環として多職種協働で実施される「地域ケア会議」の普及・定着
  • 平成24年度:「地域ケア会議運営マニュアル」作成、「地域ケア多職種協働推進等事業」による「地域ケア会議」の推進
  • 平成27年度以降:すべての市町村で実施
(3)地域での生活を支える医療サービスの構築
○「認知症の薬物治療に関するガイドライン」の策定
  • 平成24年度:ガイドラインの策定
  • 平成25年度以降:医師向けの研修等で活用
○精神科病院に入院が必要な状態像の明確化
  • 平成24年度〜:調査・研究を実施
○「退院支援・地域連携クリティカルパス(退院に向けての診療計画)」の作成
  • 平成24年度:クリティカルパスの作成
  • 平成25〜26年度:クリティカルパスについて、医療従事者向けの研修会等を通じて普及。あわせて、退院見込者に必要となる介護サービスの整備を介護保険事業計画に反映する方法を検討
  • 平成27年度以降:介護保険事業計画に反映
(4)地域での生活を支える介護サービスの構築
○認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくために、必要なグループホームや小規模多機能型居宅介護等の介護サービスを整備・充実
(5)地域での日常生活・家族の支援の強化
○認知症地域支援推進員の人数
  • 平成24年度末見込:175人 → 平成29年度末:700人
    ※各市町村で地域の実情に応じて、認知症地域支援推進員を中心として、認知症の人やその家族を支援するための各種事業を実施
  • ○市民後見人の育成・支援組織の体制を整備している市町村数
    • 平成24年度見込:40市町村
    • 将来的に、すべての市町村(約1,700)での体制整備
    ○認知症の人やその家族等に対する支援
    • 平成24年度:調査・研究を実施
    • 平成25年度以降:「認知症カフェ」(認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき、集う場)の普及などにより、認知症の人やその家族等に対する支援を推進
    (6)若年性認知症施策の強化
    ○若年性認知症支援のハンドブックの作成
    • 平成24年度〜:ハンドブックの作成。医療機関、市町村窓口等で若年性認知症と診断された人とその家族に配付
    ○若年性認知症の人の意見交換会開催などの事業実施都道府県数
    • 平成24年度見込:17都道府県 → 平成29年度:47都道府県
    (7)医療・介護サービスを担う人材の育成
    ○「認知症ライフサポートモデル」(認知症ケアモデル)の策定
    • 平成24年度:前年度に引き続き調査・研究を実施
    • 平成25年度以降:認知症ケアに携わる従事者向けの多職種協働研修等で活用
    ○認知症介護実践リーダー研修の受講者数(累計)
    • 平成24年度末見込:2.6万人 → 平成29年度末:4万人
    ○認知症介護指導者養成研修の受講者数(累計)
    • 平成24年度末見込:1,600人 → 平成29年度末:2,200人
    ○一般病院勤務の医療従事者に対する認知症対応力向上研修の受講者数(累計)
    • 新規 → 平成29年度末:87,000人

X オレンジプランから「新オレンジプラン」へ

 2013(平成25)年より、オレンジプランによる取り組みが実施される中、2014(平成26)11月、「認知症サミット日本後継イベント」が開催されました。世界10か国以上から、300人を超える専門家等の参加があり、「新しいケアと予防のモデル」をテーマに、活発な議論が交わされました。このイベントの開会式で、安倍内閣総理大臣が、「我が国の認知症施策を加速するための新たな戦略を策定するよう、厚生労働大臣に指示いたします」「新たな戦略は、厚生労働省だけでなく、政府一丸となって生活全体を支えるよう取り組むものとします」と宣言しました。その上で、内閣総理大臣より厚生労働大臣に対して、認知症施策を加速させるための戦略の策定について指示がありました。その指示を受け、オレンジプランを修正してできたのが「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」です。厚生労働省は、2015(平成27)年1月7日に自民党に提示。その後に公明党の了承を得て、正式に発表されました。

Y 新オレンジプランについて

 「新オレンジプラン」は、オレンジプランから引き継ぎ、改変した7つの柱で構成しています。そして、オレンジプランの内容をベースに、新しい項目の追加や、目標値の引き上げなどを行いました。また、オレンジプランは厚生労働省内で策定したのに対して、新オレンジプランは関係省庁が共同して策定し、認知症の人の生活全般に及んでいることが特徴です。以下にその概要を紹介します。
  まず、基本的な考え方として、「認知症高齢者等にやさしい地域づくりを推進していくため、認知症の人が住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けるために必要としていることに的確に応えていくことを旨としつつ、以下の7つの柱に沿って、施策を総合的に推進していく」としています。

出典:厚生労働省資料を改編

次に、7つの柱に沿った主な具体的な施策を紹介します。

(1)認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  • 広告等を通じて、認知症への社会の理解を深めるための全国的なキャンペーンを展開する。
  • 認知症に関する正しい知識と理解を持って、地域や職域で、認知症の人やその家族を手助けする認知症サポーターの養成を進める(認知症サポーターの人数〔累計〕の目標数値を、800万人〔平成29年度末〕に引き上げ)。
  • 学校において、高齢者との交流活動など、高齢社会の現状や認知症の人を含む高齢者に対する理解を深めるような教育を推進する。
(2)認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
  • 本人主体の医療・介護等を、その提供に携わるすべての者が、認知症の人が置かれた環境の下で、認知症の容態の変化に応じたすべての期間を通じて、共有すべき基本理念であることを改めて徹底し、医療・介護等の質の向上を図っていく。
  • 認知症の発症予防については、運動や口腔機能の向上、栄養改善、社会交流、趣味活動など日常生活における取り組みが、認知機能低下の予防につながる可能性が高いことを踏まえ、住民主体の運営によるサロンや体操教室の開催など、地域の実情に応じた取り組みを推進していく。
  • 認知症の症状や発症予防、軽度認知障害(MCI)に関する知識の普及啓発を進め、本人や家族が小さな異常を感じたときに速やかに適切な機関に相談できるようにするとともに、かかりつけ医による健康管理や、かかりつけ歯科医による口腔機能の管理、かかりつけ薬局における服薬指導のほか、地域や職域等の様々な場における、町内会、企業や商店、ボランティアやNPO、警察等による様々なネットワークの中で、認知症の疑いがある人に、早期に気づいて適切に対応していくことができるような体制を構築していく。
  • 認知症の疑いがある人については、かかりつけ医等が専門医、認知症サポート医等の支援も受けながら、必要に応じて認知症疾患医療センター等の専門医療機関に紹介の上、速やかに鑑別診断が行われる必要がある。認知症疾患医療センターについては、認知症疾患医療センター以外の鑑別診断を行うことができる医療機関と併せて、計画的に整備を図っていく。また、早期に認知症の鑑別診断が行われ、速やかに適切な医療・介護等が受けられる初期の対応体制が構築されるよう、認知症初期集中支援チームの設置を推進する(かかりつけ医認知症対応力向上研修の受講者数〔累計〕の目標数値を60,000人〔平成29年度末〕、認知症サポート医養成研修の受講者数〔累計〕の目標数値を5,000人〔平成29年度末〕に引き上げ。認知症初期集中支援チームを、2018〔平成30〕年度からすべての市町村で設置するよう目標引き上げ)。
  • 認知症の人に行動・心理症状(BPSD)や身体合併症等が見られた場合にも、医療機関・介護施設等で適切な治療やリハビリテーションが実施されるとともに、当該医療機関・介護施設等での対応が固定化されないように、退院・退所後も、そのときの容態にもっともふさわしい場所で適切なサービスが提供される循環型の仕組みを構築する。
  • 認知症の人は、その環境に応じて、居宅で家族等の介護を受け、独居であっても地域の見守り等の支援を受けながら、訪問・通所系サービスを受けたり、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)などの居住系サービスを利用したり、介護保険施設に入ったりと、様々な形で介護サービスと関わりながら生活をしていくこととなる。介護保険事業計画等に沿って、介護サービス基盤の整備を進めていく。
  • 認知症の人への介護に当たっては、認知症のことをよく理解し、本人主体の介護を行うことで、できる限り認知症の進行を遅らせ、行動・心理症状(BPSD)を予防できるような形でサービスを提供することが求められている。このような良質な介護を担うことができる人材を、質・量ともに確保していく。
  • 人生の最終段階にあっても、本人の尊厳が尊重された医療・介護等が提供されることが重要であり、その在り方について検討を進める。特に認知症の人には意思能力の問題があることから、例えば延命処置など、将来選択を行わなければならなくなる場面が来ることを念頭に、多職種協働により、あらかじめ本人の意思決定の支援を行っておく等の取り組みを推進する。
  • 認知症の人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、認知症の容態の変化に応じ、すべての期間を通じて必要な医療・介護等が有機的に連携したネットワークを形成し、認知症の人への支援を効果的に行うことが重要である。このため、市町村ごとに、地域包括支援センター、市町村、認知症疾患医療センター等に認知症地域支援推進員を配置し、認知症疾患医療センターを含む医療機関や介護サービス及び地域の支援機関の間の連携を図るための支援や、認知症の人やその家族を支援する相談業務等を行う(認知症地域支援推進員を、2018〔平成30〕年度から、すべての市町村に配置するよう目標引き上げ)。
(3)若年性認知症施策の強化
  • 若年性認知症については、初期症状が認知症特有のものではなく診断しにくく、また、本人や周囲の人が何らかの異常には気づいても、受診が遅れることが多いといった特徴があることから、改めて若年性認知症についての普及啓発を進め、若年性認知症の早期診断・早期対応へとつなげていく。
(4)認知症の人の介護者への支援
  • 認知症の人の介護者の負担を軽減するため、認知症初期集中支援チーム等による早期診断・早期対応を行うほか、認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う認知症カフェ等の設置を推進する(認知症カフェ等を、2018〔平成30〕年度から、すべての市町村に配置される認知症地域支援推進員等の企画により、地域の実情に応じ実施するよう目標引き上げ)。
(5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  • 高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを安心して続けるためには住まいの確保は基本であり、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなど、多様な高齢者向け住まいの確保を支援するとともに、高齢者の生活支援を行う施設の住宅団地等への併設を促進する。また、認知症の人を含め、自動車を運転することができない高齢者や、自動車の運転を避けたいと考えている高齢者に、自ら運転しなくても移動できる手段を確保できるよう、公共交通の充実を図る。
  • 認知症の人やその家族が安心して暮らすためには、地域によるさりげない見守り体制づくりが重要であることから、独居高齢者の安全確認や行方不明者の早期発見・保護を含め、地域での見守り体制を整備する。また、行方不明となってしまった認知症高齢者等については、厚生労働省ホームページ上の特設サイトの活用等により、家族等が地方自治体に保護されている身元不明の認知症高齢者等の情報にアクセスできるようにしていく。
  • 認知症の人や認知機能が低下している人による交通事故を未然に防止するための制度を充実する。
  • 認知症の人や高齢者の消費者被害を防止するために、地域の関係者による見守りや相談体制を整備するとともに、引き続き、関係機関等と連携して注意喚起等を行う。
  • 認知症の人や高齢者の権利擁護のため、財産の管理や契約に関し本人を支援する成年後見制度や、利用者からの問い合わせ内容に応じて、法制度に関する情報や相談機関・団体等に関する情報を無料で提供する日本司法支援センター(法テラス)の制度周知や利用促進を行う。
(6)認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
  • 認知症は未だその病態解明が不十分であり、根本的治療薬や予防法は十分には確立されていない。研究等を推進し、認知症の病態等の解明を進め、認知症の早期発見や診断法を確立していく。さらに、発症前の先制治療の可能性についても追求しながら、根本的治療薬や効果的な症状改善法、有効な予防法の開発につなげていく。また、認知症の人の自立支援や介護者の負担軽減に資する観点から、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用した機器等の開発支援・普及促進を行う。
(7)認知症の人やその家族の視点の重視
  • 早期診断・早期対応を実効あるものとするためにも、まずは認知症の人が、住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けるために必要と感じていることについて、実態調査などを行う。
  • 認知症の人やその家族の視点を認知症施策の企画・立案や評価に反映させるための、好事例の収集や方法論の研究を進め、これを発信することで全国的な取り組みを推進していく。

  新オレンジプランでは、「終わりに」として、「認知症高齢者等にやさしい地域の実現には、国を挙げた取組みが必要。関係省庁の連携はもとより、行政だけでなく民間セクターや地域住民自らなど、様々な主体がそれぞれの役割を果たしていくことが求められる」「認知症への対応に当たっては、常に一歩先んじて何らかの手を打つという意識を、社会全体で共有していかなければならない」としています。認知症の人やその家族に対して、地域や職域などで、できることを行っていきたいものです。



執筆者:

  石橋亮一  介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・福祉住環境コーディネーター2級
          東京電機大学工学部・未来科学部 非常勤講師(介護福祉論・生活支援工学)

  川上由里子 ケアコンサルタント。看護師・介護支援専門員・産業カウンセラー