○ 法の対象となる「生活困窮者」とは、「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」(法第2条第1項)である。 ※ ただし、モデル事業においては、生活保護受給者も含めて対応することとしている。○ その上で、住居確保給付金、就労準備支援事業、一時生活支援事業については、具体的な資産・収入要件を定めることとしているが、自立相談支援事業においては、相談事業の性格上、資産・収入に関する具体的な要件を設けるものではなく、複合的な課題を抱える生活困窮者がいわゆる「制度の狭間」に陥らないよう、できる限り幅広く対応することが必要である。 ※ また、生活困窮者の中には、社会とのつながりが薄れ、自らサービスにアクセスできない者も多いことから、対象者の把握は、アウトリーチも含め早期支援につながるよう配慮することが重要である。○ 法の目的は、生活困窮者の自立の促進を図ることにある。このため、必要な方にその状態に応じた就労支援を行うなど、包括的な支援により支援効果を最大限高めていくことが必要である。一方同時に、支援は生活困窮者の状態に応じて個別に検討するとともに、制度のめざす自立には、経済的な自立のみならず、日常生活における自立や社会生活における自立も含まれることに留意することが必要である。 また、生活困窮者が自立するためには、働く場などを拡大していくことも必要であり、また例えば地域から孤立したままでは、課題の解決は困難となることも考えられることから、新制度では、困窮者支援を通じた地域づくりも目標の一つであり、孤立状態の解消などにも配慮することが重要である。○ このように、自立相談支援事業においては、生活困窮者を幅広く受け止め、包括的な支援を行うが、一方で、自立相談支援機関において対応可能な範囲を超えないようにすることが必要である。この点、生活困窮者への支援は、当該自立相談支援機関のみが担うのではなく、法に定める各種事業、法外の関連事業、インフォーマルな取組などと連携することが重要であり、相談は幅広く受け付けた上でその後の支援については、自立相談支援機関が調整機能を適切に担いつつ、他の適切な支援機関につないでいくことやチームとして支援することが重要である。また、既存の社会資源では生活困窮者の課題に対応できない場合には、地域における関係者との協議を通じて、新たな社会資源を開発していくことが求められる。○ なお、対象者の考え方については、以上のとおりであるが、生活困窮者からの相談を排除することなく対応することを前提に、とりわけ制度の立ち上げ当初においては、地域の実情に応じ、より重点的に対応する者を設定することは可能である。問2 経済的困窮の判断は、個人単位か世帯単位か。(答)○ 対象者については問1参照。○ なお、住居確保給付金、就労準備支援事業、一時生活支援事業については、生活困窮者自立支援法施行規則(平成27年厚生労働省令第16号。以下「省令」という。)第4条等において、一定の資産・収入要件を課しており、その際の判断は世帯単位で行うこととしている。
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