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連載コラム
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トラブルに学ぶリスク対策

介護現場で起きた事例を踏まえ、原因とその防止策のポイントをお伝えしていきます。



<執筆>
株式会社安全な介護 代表取締役
山田 滋(やまだ しげる)
<プロフィール>
介護現場で積み上げた実践に基づくリスクマネジメントの方法論は、「わかりやすく実践的」と好評。著書に『安全な介護』(筒井書房)、『介護施設の災害対策ハンドブック』(中央法規)など多数

事例㉖:訪問介護ヘルパーの針刺し事故

こんな事故が起きました!

訪問介護のヘルパーが利用者の使用したインシュリンの注射器の針を、自分の指に刺すという事故が起こりました。利用者に「注射器を捨てて欲しい」と頼まれ、廃棄する時に間違って指に刺してしまったのです。事業所が利用者の感染症の有無を調べると、B型肝炎ウイルスのキャリアであることがわかり、すぐに労災事故扱いで受診して血液検査をしました。最終的な感染の有無の確認には6 カ月かかり感染は確認されませんでしたが、ヘルパーは6 カ月後には事業所を辞めてしまいました。事業所では、ヘルパーに「利用者の使用した注射器に触れてはならない」と厳しく指導しました。

事故原因と防止対策

インシュリンの注射は医療行為ですから、ヘルパーが在宅の利用者のインシュリン自己注射を手伝ってはいけないことはもちろんです。しかし、注射器を捨てることは医療行為ではありませんから、ヘルパーがこれを手伝うことは法には触れませんので、ヘルパーも気軽に応じてしまったのでしょう。事業所もまさかヘルパーが、利用者の注射器に触れて「針刺し事故」を起こすとは予想できませんでした。

訪問介護ヘルパーの針刺し事故

事業所としても想定外でしたから、事業所の管理者を責めるのは酷ですが、ヘルパーに「利用者の使用した注射器に触れてはならない」と指導するだけで、再発を防ぐことができるのでしょうか?

今後も医療依存度の高い在宅利用者が増えますから、その防止策と事故発生時の感染防止への対処を指導しなくてはなりません。訪問介護における針刺し事故防止対策と発生時の対処のポイントは次のとおりです。

訪問介護の針刺し事故の防止対策

事業所ではヘルパーが注射器に触れないよう家族に協力を依頼すると同時に、止むを得ず注射器に触れる時の留意点をヘルパーに指導しておく。

@ リキャップ(使用済み注射針にキャップをすること)は禁止。キャップをせずに注射針を捨てる。

A 廃棄のために注射針に触れる時には、素手で触れず厚い手袋かタオルなどを使う。

B リキャップされた注射器に触れる場合も、キャップには触れずに注射針の根元を持つ。

C 注射針を廃棄する容器を倒して注射針が散乱しないよう慎重に取り扱う。

針刺し事故発生時の対処

@ 患部の血液を搾り出し、次亜塩素酸ナトリウム溶液(1%)もしくはイソジンに3〜5分間浸す。

A ヘルパーは直ちに所長に電話で事故を報告し、所長は迅速に検査受診の手配を行う。

B 検査受診は事故から必ず48時間以内に実施し、針刺し事故である旨申し出て血液検査を実施する。

C 利用者の主治医に針刺し事故が発生したことを伝え、利用者の感染症の情報提供を依頼する。

D 医師の指示に従い、肝炎やHIVなどの必要な検査や医療処置を継続実施し、費用は労災扱いとする。

E 可能であれば事業所で利用者の感染情報を事前に取得しておく

トラブルを避ける事故対応

事故発生時に、事業所が「想定していなかったので対処が適切にできなかった」というケースもあるかもしれません。しかし、ヘルパーの生命の危険に関わる事故ですから、訪問看護や訪問診療の医師と連携して、想定できるリスクについてはその対処方法の備えをしなければなりません。針刺し事故に対しては事故予防も大切ですが、それ以上に事故発生時の適切な対処が重要です。なぜなら、針刺し事故から48 時間以内であれば、HBs ヒト免疫グロブリン筋注射とB型肝炎ワクチン接種によってB型肝炎の感染が防げるからです。

※ この記事は月刊誌「WAM」2017年5月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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