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DPCデータを活用した経営改善策

全6回にわたって、病院内のさまざまな部署で、そのようにDPCデータを活用し経営につなげていくかをみていきます。


<執筆> NPO法人病院経営支援機構  藤井 将志

第6回:外来EFファイルを活用した収益改善策


診療材料・薬剤・医療機器購入に活用する


 連載の最終回になる本稿では、事務部門におけるDPCデータを活用した経営改善について扱います。
 DPCデータとは、入院の情報を指しますが、DPC対象病院の多くは「データ提出加算」を届けており、「外来EFファイル」も作成しているでしょう。この外来EFファイルはその名の通り、DPCの入院EFファイルの外来版です。このデータを活用すると、病院の収益のほとんどをデータで取り扱うことができます。
 まず、診療材料を購入する部門のデータ活用事例です。診療材料には診療報酬が算定できる@償還対象の材料、A加算などで評価される材料、B診療報酬では評価されない材料があります。B以外は入外のEFファイルを使い突合することで、使用量データと算定件数を比較し、差が生じていないか確認できます。どの医療機関でも「漏れているはずがない」という声を聞きますが、実際にデータで検証しているところは少ないです。
 薬剤の購入データについても同じような使用量と算定件数の差を比較することで、漏れがないか確認できます。電子化されていれば通常はオーダリングで医事課に情報が届くので、漏れることは考えにくいのですが、一部伝票で払い出している場合などもあり、やはり定期的に費用のデータと突合することをお勧めします。
 また、薬剤に関しては平成26年度診療報酬改定でDPCの病院機能評価係数Uに「後発医薬品指数」が設けられました。後発医薬品をどれだけ使用しているかを評価する指数であり、後発品の切り替えの促進は必須です。いまだに「後発医薬品は先発品よりリスクが高い」という医師もいるかもしれませんが、国としても医療費の適正化のために力を入れている分野です。トップダウンで切り替えを進めるべきでしょう。DPCデータでまだ切り替わっていない薬剤のうち、使用量が多いものから順次切り替えていくことが指数の向上に効果的です。
 医療機器を購入する部門においても、入外EFファイルを活用することができます。医療機器の購入については機器が古くなったから、故障したから、といった理由や、声が大きい医師の意見で更新されてしまうところも少なくないでしょう。数百万〜数千万円もする投資ですので、本来はその投資が収益に見合うのかどうか、購入後に想定していた収益を生んでいるのか、検証することが必要です。入外EFファイルを用いれば購入した医療機器で診療報酬の算定件数がどのくらい変化したのか、数字化することができます。当初の目論見よりも件数が低い場合は改善策を検討することもできるでしょう。買いっぱなしにせず、資産の有効活用をしたいものです。

医師別・診療科別収益の情報


  続いて、人事や経営管理などの部門におけるDPCデータ活用についてです。DPCデータと外来EFファイルには医師の番号も含まれています。つまり、医師ごとの収益や診療科ごとの収益を可視化することができます。診療部門と経営層とのヒアリングを実施している医療機関では、こうした収益情報をもとにヒアリングに臨めば、より踏み込んだ話ができるでしょう。
 ただし、注意したいのが他の診療科と比較するのは避けたほうが無難だということです。診療科の性質上、どうしても収益が低い科もあります。診療報酬そのものが低いのですから仕方ないことです。「内科は外科に比べて収益が低い」などと議論をしても意味がありません。時系列で比較し、増えているのか減っているのかを議論した方が建設的です。

収益インパクトが大きいコーディング適正化


 最後に、医事部門における経営改善についてです。医事部門で最も収益に直結するのは、DPCのコーディングを適正化することです。病院によってコーディングの運用フローはさまざまで、医事、医師クラーク、病歴室(カルテ室)などが関わっているところもあるでしょう。どのような運用フローでも、コーディングが適正かどうかを確認する仕組みを設けるべきです。
 DPCでは「医療資源を最も投入した傷病名」で診断群が決まり、それに伴い点数が変わってきます。合計3000弱もの診断群分類があるうえ、2年に1度は見直されるので、ベテラン職員であってもすべて網羅的に把握するのは至難の業です。また「医療資源を最も投入した傷病」が何なのか、ということは入院が一通り終わってからでないと判断がつきにくいものです。
 手術目的で入院したが、術後の合併症により入院が長期化し、合併症への対応の方が投下した医療資源量が多ければ、コーディングが変わってきます。また、疾病によっては主たる疾病以外に副傷病があるかないかでコーディングが変わることもあります。こうしたことを退院時に医師が的確に判断できるケースは多くないでしょう。
 そこで、コーディングに関わる部門で現在選択されている診断群で出来高計算と比較し大きく点数差が生じている場合は、医療資源病名の選択が正しかったのか検証する必要があります。場合によっては事務部門の知識だけでは判断が難しいこともあるので、アドバイスができる医師がいると望ましいでしょう。副傷病の有無だけでも1患者あたり数万円、医療資源病名が違えば数十万円もの差が生じることがあります。
 こうした確認を退院時の会計計算までに確認できると望ましいのですが、もし難しければ月末のレセプトチェックの際に、主治医に医療資源病名を確認することでもよいでしょう。レセチェックの際に「医療資源病名を再検討してください」というだけでは、医師も検討がつかないことがあるので、候補となりそうな想定病名を事務側から提示するべきです(図表参照)。DPCコーディングを支援するソフト*「選択の種」などを利用すると、手間をかけることなく医師に病名を確認してもらえます。病院によってはこれらのチェックだけで月に数百万円の増収になることがあります。


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さいごに


 これまで6回にわたり、DPCデータを活用した経営改善の視点を紹介してきました。医事課だけでなく看護部や連携室、コメディカル部門などあらゆる部署でDPCデータを活用しながら経営改善することができます。せっかく作成しているデータです、厚生労働省に提出するだけでなく、院内の改善にもぜひ有効活用してください。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成26年3月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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