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サービス取組み事例紹介
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特定非営利活動法人浦戸福祉会

浦戸諸島の高齢者の生活を支援する

宮城県塩竃市の浦戸諸島で高齢者への支援活動を行っている特定非営利活動法人浦戸福祉会の取組みを紹介します。

浦戸諸島について

 浦戸諸島は、日本三景松島の湾内に浮かぶ桂島、野々島、寒風沢島、朴島の4つの有人島と多くの無人島から構成されていて、宮城県塩竃市に属します。震災前の人口は約600人。島の産業は、海苔や牡蠣、ワカメの養殖などの漁業が中心です。

 塩竃港から定期船が運航されており、30分ほどで内陸側に一番近い桂島に行くことができます。 4島では高齢化が進み、高齢化率は50%を超えています。また、スーパー、交番、医療機関がなく、いわゆる限界集落の状況となっており、買い物については内陸のショッピングセンターに定期船で通うことになります。

▲塩竈港と浦戸諸島を結ぶ定期船。内陸から一番近い桂島までは定期船で約30分かかります。  ▲内陸側の桂島港のすぐそばには、まとめられたがれきが山積みにされています。


震災をきっかけに信頼関係が生まれる

 平成16年に設立された浦戸福祉会は、当初、対岸の塩竈のスタッフなどによる観光案内や海の清掃などのボランティアからスタートし、その後高齢者の方々の健康維持のための活動を行っていました。しかし、もともとは島外の人々で構成された団体だったので、事業を始めた当初は、内陸とあまり関わりを持たずに暮らす島の人々から信頼を得るのは大変だったようです。

 そのような状況の中、東日本大震災が発災し、団体事務所がある桂島にも大きな津波が押し寄せ、太平洋側に面する部分の住宅が60戸ほど流されてしまいました。但し、多くの島の人々は高台にある旧小学校校舎に避難して無事だったそうです。

 震災直後、浦戸福祉会は支援物資の搬送などを行いました。他の被災地と同様、外部からの支援が必要な状況でしたが、島では「島の人間で何とかする。」という意識が強く、支援を求める状況にありませんでした。一方、内陸のボランティアセンターからも、余震の懸念があるために島へはボランティアが派遣されないという厳しい状況になってしまいましたが、震災前から島で活動していた浦戸福祉会が間に入り、調整を行うことになりました。

 浦戸福祉会の調整により、初めてボランティアが島に入ったのは発災から2ヶ月以上経過した5月下旬ですが、6月には市社協のボランティアセンターが閉鎖してしまったので、浦戸福祉会が自らボランティアセンターを立ち上げて、浦戸諸島でボランティアをしたいという他の団体の窓口となりました。

 こうした努力が浸透していくうちに、段々と団体と島の人々との信頼関係が深まるようになりました。震災をきっかけとして、島の人々との距離が縮まり、現在では島のリーダーともいえる区長さんをはじめ島の人々から大きな信頼を得ています。並行して、島の人々のボランティアへの対応も開放的になってきて、ボランティア活動がほぼ一段落した今でも、島の人々に会いに島を訪れる方がいるほどです。

▲多くの方々が高台に避難して無事でしたが、太平洋側の家は津波で流されてしまいましい、現在は更地になっています。 ▲太平洋側にある桂島海水浴場。打ち上げられたヨットは、まだ片付けられていませんでした。


島の人々の生活再建支援へ

 震災より1年半経過した現在は、島の高齢者の方々の健康保持、孤立防止といった生活支援を中心に活動しています。見守り活動は、3人のヘルパーを中心に定期的な見回りを行い、そこで発見されたニーズに対応しています。見回りの際は、専門的な聞き方をすると相手が構えてしまうので、何気ない会話の流れでニーズを聞きとるように注意をしています。生活支援のニーズとしては、やはり買い物支援が多く、船で届く物資の各家庭への配達を行っています。また、高齢ながらパソコンを覚えたいという方もいて、内陸にいる孫とメールで写真のやり取りをしたい、年賀状を作りたい、といったニーズがあったため、実験的にパソコン教室を開催しました。

 移動支援は、運行本数が限られている定期船とは別に、浦戸福祉会で所有している船で内陸へ移動し、ショッピングセンターへの買い物支援を行っています。

 また、集会所や民家を借りて茶話会サロンも開催しています。島に残っている高齢者でも、避難所・仮設住宅暮らしが長くなり足腰が弱くなってしまった方や、独居でひきこもってしまう方も中にはおられ、サロン・茶話会に連れ出すことで外出を促すことはとても重要になってきます。

 これらの取り組みは、WAMの平成24年度社会福祉振興助成事業として採択され、「浦戸の震災復興のための高齢者生活支援事業」として取り組まれています。

▲桂島にある浦戸福祉会の事務所。浦戸独自の
ボランティアセンターとしても機能しました。
▲浦戸福祉会の所有の船。島の方々の内陸や島間の
移動に使用しています。


 離島であるがゆえに地域の独自性が強く、ある意味、内陸と島との交流も少なかったため、多くの不便を強いられていましたが、震災をきっかけに、外部とのコミュニケーションがたくさん生まれ、島で暮らす方々には大きな刺激になっているようです。

 ただし、支援にはバランスが大事で、受け入れる側が望んでいなければ意味がなく、島の方々と支援する側が相互に理解し合って進めていかないと真の復興にはつながらない、とのことでした。

 現在は浦戸福祉会のほか、月に1回、塩釜市、地元自治会長、東北大・山形大の教授(同大学のゼミ生等がボランティアで発災時から支援)や他県NPOなどで構成する「復興会議」を開催しています。「これからの浦戸をどうするか、これからも浦戸に住んでもらうためにはどうするか」といったような島の人々の生活支援や島の産業復興について話し合いをしています。

今後の取り組み

 現在既に、瓦礫の処理等は終わりつつあります。これからは高齢者の生活をどのように支援して、地域コミュニティを再生できるかが大きな課題となっています。

 現在、島の1/3程の方々が、内陸の仮設住宅やみなし仮設に移住していますが、そこで生活されている高齢者の方は、日中何をしてよいか分からず、慣れない内陸で生活することにストレスを感じているそうです。今冬から桂島で災害公営住宅の建設が着工されるため、島を離れた方のほとんどは完成次第、島に戻ってくることを希望しています。

内陸で生活している方が島に戻ってきた時に、ある程度の生活の不便さが解消できているよう、たとえば災害公営住宅にサポートセンターを併設して、特に医療・介護面の支援を充実するようにしたいと考えています。

また、浦戸諸島には介護サービスの事業所がなく、島の人々のほとんどは要介護認定を受けていないという状況でしたが、島の60代の方から「介護サービスをやってほしい」というニーズがあったので、浦戸福祉会では島の方々が介護サービスを受けられるよう介護事業所を8月に内陸に立ち上げました。塩竈の仮設にいる人たちもわかるように「島の介護屋さん」という名称にして、9月から本格的な始動に向けて、スタッフ2名が研修を受けています。

 その他にも、民間企業と協働して、島にコンビニエンスストアを開設し、そこを拠点に仮設住宅に出張販売を実施するなど、島の方々のニーズに迅速に対応した取り組みも行っています。

▲島のコンビニ『わせねでや』の店内の様子。もとは酒店があった場所でしたが、民間企業との協働により6月に開店することができました。  ▲小学校跡地に建てられた仮設住宅。取材当日は、『わせねでや』の出張販売が行われていました。


 このように、浦戸福祉会では、これまでの活動で培ってきた地元住民、行政、大学、他NPOなどとの連携・ネットワークを活かして、内陸と島のつなぎ役として、福祉活動を主軸にニーズに合わせた活動を行っています。

 浦戸諸島の方々の生活再建、さらには産業を含めた地域の復興の実現に大きな役割を果たされることを期待したいです。


<< 法人概要 >>
法人名 特定非営利活動法人 浦戸福祉会 設立年月 平成 16 年 12 月(法人取得)
お問い合わせ先住所 宮城県塩竈市浦戸桂島字庵寺34番地 会員数 10名
URLhttp://ameblo.jp/npo-urato/取材日平成24年8月30日

 

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