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2025年7月18日

【厚生労働省】第4回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会

住宅型有料老人ホーム 「囲い込み」問題や「指導監督」のあり方に一石

 第4回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(座長:駒村康平・慶應義塾大学経済学部教授)が6月20日開催された。

 第2回・第3回で議論された、有料老人ホームに係る現状と課題についての整理案が示されたもので、かねてより問題視されてきた住宅型有料老人ホームのいわゆる「囲い込み」対策や指導監督のあり方など、踏み込んだ内容が示された。今回の検討会においては、ヒアリングで抽出された3つの課題が掲げられ、議論が交わされた。

 第4回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(座長:駒村康平・慶應義塾大学経済学部教授)が6月20日開催された。

 第2回・第3回で議論された、有料老人ホームに係る現状と課題についての整理案が示されたもので、かねてより問題視されてきた住宅型有料老人ホームのいわゆる「囲い込み」対策や指導監督のあり方など、踏み込んだ内容が示された。今回の検討会においては、ヒアリングで抽出された3つの課題が掲げられ、議論が交わされた。

課題1 有料老人ホームの運営及びサービス提供のあり方

 単身高齢者や身寄りのない高齢者など、住まいの問題を抱える高齢者が増えている中で、有料老人ホームにおける入居者は多様化している。特に「住宅型」の有料老人ホームは、介護度の高い高齢者や複合的な医療・介護ニーズを持ち、専門的ケアを必要とする高齢者の受け皿ともなっている。本来であれば、適切なケアプランに基づいたサービスの提供が望まれるケースだが、住宅型有料老人ホームは介護保険制度の範疇にないため(老人福祉法)、設備基準や夜間体制、生活相談等に関わる人員配置基準の定めがなく、ケアの質の担保やコンプライアンス面で問題が生じることが多い。このような現状を鑑み、人員体制の明確化、中重度の入居者に対する安全確保面での責任の所在、経営者をはじめ職員の倫理観の醸成、そのための研修等の必要性等が指摘された。

 また、住宅型有料老人ホームにおいては、入居契約のみで介護契約は交わされないが、併設の居宅介護支援事業所と訪問介護事業所等が外付けサービスとして一体的に提供されているケースが多い。入居者自身が、自らの意思でケアマネジャーや訪問介護事業所を選択する自由はほとんどなく、契約締結前の情報提供のあり方や説明義務について、より検討する必要性が言及された。

課題2 有料老人ホームの指導監督のあり方

 届出制や標準指導指針による現行制度(老人福祉法)の課題として、たとえ請求内容と実態に乖離があると疑われるケースでも、書類さえ整っていれば「囲い込み」とはならないということが挙げられる。住宅型有料老人ホームは届出制なので、参入のハードルが低く、多くの事業者の参入を可能にしている。また、高齢者福祉への理解が不十分な事業者も一定数存在するという中で、悪質な事業者に対する事業制停止命令を検討する際に明確な処分基準がなく、各自治体が対応に苦慮することが多いという現状も浮き彫りにされた。

 より良いサービスの質や透明性の確保を目指すため、標準指導指針に法的拘束力を持たせることも提案された。

課題3 有料老人ホームにおけるいわゆる「囲い込み」対策のあり方

 「入居費用を抑えつつ、出来高報酬型の介護保険サービスを一体的に提供することで収益を補う」という住宅型有料老人ホームの事業経営モデルについて、踏み込んだ問題提起がなされた。

 また、過剰なサービスを前提とするケアプランが作成されている事実についても言及。ケアマネジャー自身が区分限度支給額まで使い切るケアプランを作成せざるを得ない状況、さらにそれを望まず拒否したことで、ケアマネジャーが離職を迫られるという理不尽な事例も報告された。そして、アセスメントが不十分となった結果、入居者の状態が悪化することや、事故や虐待に繋がるという事案もあると指摘している。



高齢者向け住まいの事業者については、
事前にチェック・規制できる仕組みが重要

 検討会では、以下のような補足意見が構成員より示された。

 ○ 今回検討すべき課題は、「市場で供給されるサービス」と「擬似市場・準市場で供給されるサービス」を複合的かつ一体的に供給する際の接点において生じる問題で、これに対し新たな枠組み(情報公開や意思決定面)での対応が検討できるのではないか。

 ○ 「囲い込み・使い切り型ケアプラン」の最大の要因は、高齢者向け住まいの事業者のビジネスモデルにある。届出が行われる際に行政が事前のチェック、ある種の規制を行う仕組みを設けてはどうか。

 ○ 行政が給付状況を把握できるのは、有料老人ホームの中でも特定施設入居者生活介護(介護付き)の指定を受けたもののみで、住宅型は現状把握しづらい現状にある。自治体による計画策定における基盤整備にも関連してくるため、住宅型有料老人ホームに関する情報を今後簡便な方法で把握する仕組みを検討する必要がある。

 ○ 高齢者向け住まいにおけるケアプラン点検を実施している保険者は、全国でも半数にとどまっている。国として好事例を紹介するなど、保険者における取り組みが進むような配慮が必要ではないか

 ○ 事業者側として、サービス提供に関わる契約書や重要事項説明書をホームページに開示したり、入居予定者に十分に説明することで透明性を高め、もっと情報提供を行っていくことが必要である。また、一部の不適切な事業者への対応のためだけに、民間施設全体の創意工夫や効率性を削ぐことのないように配慮いただきたい。

 ○ 有料老人ホームを契約する側にとって、人生における大きな買い物である認識を事業者側にも持ってほしい。時間的制約もある中でサービスを選択しなければならない現実や、契約者側が情報量と理解力の面で脆弱な状態にあることをもっと理解すべき。ホームの運営方針や介護保険施設との違いについて事前の説明を確実に行い、重要事項説明書を事前に交付するなど配慮が必要ではないか

 ○ 入居紹介事業者については、行政がリーダーシップを取ってあるべき姿を詰めていく必要がある。


 なお、今後、秋ごろ行われる取りまとめに向け、引き続き検討会を重ねていく予定。


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