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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2025年12月22日

【厚生労働省】第20回成年後見制度利用促進専門家会議(2025年10月21日開催)

成年後見制度に関する民法改正を控え、認知症高齢者や身寄りのない高齢者への権利擁護支援が新たな焦点に

 10月21日、成年後見制度改正に向けた、第20回成年後見利用促進専門家会議(委員長:菊池馨実・早稲田大学法学学術院教授)が開催された。令和7年2月12日に第19回成年後見制度利用促進専門家会議で第二期基本計画に関する中間報告に向けたとりまとめが行われ、「第二期成年後見制度利用促進基本計画に係る中間検証報告書」が出されているが、本会議では、成年後見制度の見直しに向けての民法改正の議論や、「判断能力の十分でない人の権利擁護支援」の拡充に向けての社会福祉法改正の議論に関して、法務省・厚生労働省から報告を受け、意見交換が行われた。

 10月21日、成年後見制度改正に向けた、第20回成年後見利用促進専門家会議(委員長:菊池馨実・早稲田大学法学学術院教授)が開催された。令和7年2月12日に第19回成年後見制度利用促進専門家会議で第二期基本計画に関する中間報告に向けたとりまとめが行われ、「第二期成年後見制度利用促進基本計画に係る中間検証報告書」が出されているが、本会議では、成年後見制度の見直しに向けての民法改正の議論や、「判断能力の十分でない人の権利擁護支援」の拡充に向けての社会福祉法改正の議論に関して、法務省・厚生労働省から報告を受け、意見交換が行われた。

「成年後見制度の課題解決」と「権利擁護支援の拡充」

 審議会での検討状況について、法務省・厚生労働省から以下のような報告があった。

@法務省からの報告

 法制審議会の民法(成年後見等関係)部会で、成年後見制度の見直しに向けて、以下のような点について調査審議中である。

<法定後見の終了について>

 ・「判断能力が回復しない限り利用をやめることができない」「後見を利用する本人の自己決定が必要以上に制限される場合がある現状」に対し、法定後見の必要性を開始要件としたうえで、その必要性がなくなれば終了できる方向へ向けて見直しを検討中。

<成年後見人の選任・解任・交代について>

 ・「認知症高齢者や身寄りのない高齢者等、本人の意に沿った成年後見人の選任がなされず、交代・解任もできないため、各人のニーズに合った保護を受けられない」という点については、本人の意向を重視し、新たな解任事由を設けることで解任や交代が行えるよう見直しを検討する。

<任意後見人の事務の監督開始について>

 ・「任意後見契約の本人の判断能力が低下した後も、適切な時機に任意後見監督人の選任申立てができない」という現状に対し、本人が任意後見契約の際、公正証書において指定した者に申立て権を認めるなど、申立て権者の範囲について見直しを検討する。

@厚生労働省からの報告

 社会保障審議会福祉部会で、社会福祉法改正に向けて、以下のような施策について調査審議中である。

<身寄りのない高齢者等への対応>

 ・身寄りのない高齢者等への相談支援機能の強化

 ・日常生活支援(日常的金銭管理や福祉サービス等利用の支援)、入院入所手続支援、死後事務支援等を提供する第二種社会福祉事業を新設

 ・身寄りのない高齢者等を支えるネットワークの構築

〈成年後見制度見直しへの対応〉

・ 判断能力が不十分な人の地域生活を支える事業(前述の第二種社会福祉事業)の新設

・ 中核機関の法定化(権利擁護支援の地域連携ネットワークのコーディネートや家裁からの意見照会に対応する機関として位置づけ)

身寄りのない高齢者等への対応と権利擁護支援は、分けて考えるべき

 上記を受けて討議の場で交わされた意見は、以下の通りである。

@「身寄りのない高齢者等」「成年後見制度の見直し」に対応した新しい事業について

〇 新事業が身寄り問題を中心に展開されており、後見終了後を見据えた議論が十分になされていない。

〇 身寄りのない高齢者への支援と、判断能力が十分でない人に向けての権利擁護支援とは、分けて考えるべきではないか。

〇 本事業には市町村がしっかり関与することが重要。そのための仕組みづくりや工夫が必要ではないか。

〇 支援を必要とする人に安定的にサービスが提供されるように、実施機関における実施体制の整備や財政基盤の確保といった観点も十分に踏まえていただきたい。

〇 意思決定支援を担うサポーター等の役割を必須要素として組み込むべきではないか。

A中核機関について

〇 個別支援にとどまらず、地域の仕組みづくりまでしっかり担えるように、中核機関におけるコーディネート機能のさらなる強化が必要である。

〇 後見利用の有無にかかわらず、地域で安心して暮らせるよう、ソーシャルサポートネットワークを構築するための議論が各地でなされる必要がある。

〇 中核機関が安定的に支援を行うためには、人員の確保を初めとする十分な実施体制の確保についても留意が必要

〇 小規模自治体では、新たな専門職を確保するのも、社会福祉協議会等に委託するのも困難。人材育成や情報提供にかかる手厚い支援を要望したい。。

B権利擁護支援について

〇 後見制度を終わることができるようになったときに、権利擁護が必要な「判断能力が十分でない人」が放置されてしまうことがないように、仕組みを構築しておく必要がある。

〇 市民後見人が後見終了後も「意思決定支援サポーター」として継続して関わり続けるスキームも考えられる。専門職にはない独自の役割が果たされるよう、今後も市民参加を促進・応援していくことが大切だ。

〇 権利擁護支援は中核機関だけで担うのではなく、重層的支援体制整備事業の「参加支援」や「地域づくり」と連動するような働きかけも必要である。

C任意後見制度について

〇 適切に任意後見監督人選任の申し立てがなされるように、定期的に任意後見受任者に対して照会をかけるなどの取り組みが必要ではないか。

〇 任意後見の利用促進にあたっては、「利用しやすさ」が大事。制度の周知や広報に加え、相談体制の充実、様々な担い手の確保・育成、ニーズ把握のための調査が必要。


 これらの意見は、法制審議会民法(成年後見等関係)部会および社会保障審議会福祉部会にフィードバックされ、それぞれの検討に反映されていく見通しだ。

新年度から「第三期基本計画」策定に向けた検討に着手

 現行の第二期成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は「令和4〜8年度」となっているため、専門家会議では新年度以降、第三期基本計画の策定に向けて、改正法成立後を見据えた施策の具体化をめぐる検討に着手する。

 厚生労働省事務局は、今後の検討の進め方として、「@成年後見制度の見直し後を見据えた後見制度の運用のあり方について検討を行うワーキンググループ」と「A地域の権利擁護支援体制の整備強化について検討を行うワーキンググループ」という2つのワーキンググループを設置する考えを表明。委員の賛同を得た。


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