福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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● 対象者 |
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・判断能力が不十分な人や頼れる身寄りがいない高齢者等とし、地域で自立した生活をし続けるために、生活上の課題に関して支援を要する者 |
● 事業内容 |
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・判断能力が不十分な人や身寄りのない高齢者等に対する「日常生活支援」に加えて、 「入院・入所等の手続支援」と「死後事務の支援」の少なくとも一方を実施する |
● 利用料 |
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・原則として利用者負担とし、無料又は低額で利用できる要件に該当する者に対しては、利用料を減免。ただし、葬儀・納骨・家財処分に係る費用の実費相当は利用者が負担する ・利用料は、各地の最低賃金や新たな事業の運営等を踏まえ、各実施主体で設定 |
● 実施主体 |
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・事業の実施主体に制限は設けない ・都道府県内の区域であまねく事業が実施されるようにするため、現行の日自事業と同様、都道府県社会福祉協議会・指定都市社会福祉協議会で実施 |
● チェック体制 |
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・実施主体は都道府県知事へ届出 ・都道府県知事は、必要に応じて事業経営の状況調査、制限、停止を行う。違反した場合は、罰則の適用もある ・実施主体ごとに、事業運営に関して適正な運営の確保を図る ・「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(令和6年6月)」の遵守が望ましい |
「求められるサービスの質の担保。負担増・人材不足への懸念も
以上のような制度案の提示を受け、部会では事業の枠組み自体について、「そもそも『判断能力が不十分な者』と『身寄りのない高齢者等』はニーズや状態像が異なる。それぞれ別の事業として法に位置づけるべきものではないか」「これらのニーズは新事業だけで対応するのではなく、包括的支援体制における『地域づくり』とも一体的に取り組むものではないか」と再考を促す意見や、「身寄り問題ばかりに焦点が当てられていて、後見終了後の支援をどう展開するのかについてもっと検討していただきたい」と訴える意見が出された。
また、実施主体に制限を設けず「多様な主体」の参入が可能となっていることについて、「サービスの質を担保するうえでも、人員配置や経営基盤など体制面について十分な事前チェックが必要ではないか」という意見や、「金銭を扱う事業は同意を得て実施しても、利用者との葛藤が起こりやすく、事業に関わる職員には一定の専門性が求められる。利用者の権利が侵害されないような実施体制や、都道府県知事等において着実に調査、制限、停止、罰則適用を行える体制が不可欠だ」という意見が出された。。
さらに、新事業創設で相談需要が掘り起こされるとの懸念から、「専門員のシャドーワークが心配」と案ずる声も上がった。現行の日常生活自立支援事業の現場では、対象や業務の拡大にともなう負担増や人材不足への懸念が高まっているとのことで、財政支援を求める意見が相次いだ。
DWAT法制化へ――チーム員の派遣元事業所に応じるべき“配慮義務”
「災害に備えた福祉的支援体制」に関しては、災害救助法改正(令和7年7月施行)により「災害時の福祉的支援」が法定化されたことを受け、平時から体制づくりを進められるように、たたき台には以下のような対応案が列挙された。
・社会福祉法や地域福祉計画策定ガイドラインに「防災との連携」関連の記述を追記
・DWATの法制化(登録制度、研修・訓練にかかる規定を創設)
・派遣要請時におけるDWATチーム員の派遣元使用者の配慮義務(努力義務)を規定
・DWATチーム員に対する秘密保持義務を規定
これを受けて部会では、DWAT法制化の提案に対して、相次いで賛意が示された。法整備にあたっては、「DWATが入る前後も視野に入れた『切れ目のない支援』が提供できるように検討が必要ではないか」といった意見がつけられた。一方、事業所の使用者に課せられる要員派遣への配慮義務に関しては、「派遣元の施設・事業者は、ただでさえ人材不足の中で人を派遣することになる」として、人員基準の弾力化や財政支援を求める声が上がった。
また、“受援”という観点から、「被災地となったときに、必要とする支援を的確に要請・調整して受け入れることができるように、平時から各地で仕組みを整えておくことが必要ではないか」という意見も出された。
中核的介護人材の確保・育成、プラットフォーム構築
「福祉介護人材の確保・育成・定着」に関しては、福祉人材確保専門委員会における「議論の整理」(とりまとめ)から、以下のような対応案が提示された。
・都道府県を設置主体とする「介護人材確保に関するプラットフォーム」の構築
・介護助手の活用によるタスクシフト/シェアの推進
・業務負担軽減と働きやすい環境づくりによる定着支援
・介護職チームを適切に機能させる「中核的介護人材」の確保・育成
・幅広い専門性取得への道を広げる国家試験受験資格等にかかる見直し
・介護福祉士届出制度の対象を現任者に拡大、キャリア形成支援
・小規模法人を対象とした外国人介護人材の確保・定着にかかるサポート
これを受けて部会では、「福祉介護人材を確実に確保するうえでは、処遇改善が欠かせない。賃金水準の底上げを重点的に検討いただきたい」「処遇改善と専門性の評価を一体的に議論する場を設けていただきたい」など、処遇改善に向けてのさらなる取り組みを求める声が相次いだ。
また、事業所サイドにおける工夫という側面から、「福祉人材の確保にあたっては、“多様な働き方”を保障する職場環境や、地域の暮らしに連なる取り組みなど、『仕事と暮らしのwell-being』の実現が 大事になってくるのではないか」という見解も示された。さらに、“多能工化”を進める観点から、「中山間人口減少地や離島などで、“なくなりつつもゼロにはならない福祉ニーズ”に対応するうえで、幅広い専門性や視点を有する人材が必要。複数の資格を取得しやすい仕組みの実現に向けて、検討をお願いしたい」との要望が出された。
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