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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2026年1月27日

【厚生労働省】第207回社会保障審議会医療保険部会(令和7年12月12日開催)

出産費用無償化、「別建て現金給付」と「移行時期」で議論
医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進策を了承

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長=田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が12月12日に開催され、@医療保険制度における出産に対する支援の強化について、A医療保険制度改革について、B後期高齢者医療の保険料の賦課限度額について、C医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について(案)を議題に議論が交わされた。

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長=田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が12月12日に開催され、@医療保険制度における出産に対する支援の強化について、A医療保険制度改革について、B後期高齢者医療の保険料の賦課限度額について、C医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について(案)を議題に議論が交わされた。


 議題@の「出産に対する支援の強化」は、出産にかかる費用保障のあり方を、現行の「医療保険者から被保険者に定額を支払う方式」(出産育児一時金)から、「施設に対して医療保険者から全額直接支払う方式」(出産独自の新たな現物給付)へと切り換えることで「出産の無償化」の実現を図るもの。その方向性は前回の第201回部会(2025年12月4日)で合意できていたものの、「妊婦本人に対する現金給付」「新たな給付体系への移行時期」の2点で積み残しがあったため、そこを詰めた。

 議題Aの「医療保険制度改革」は、我が国最大の医療保険者である協会けんぽ(全国健康保険協会によって運営されている「協会管掌健康保険」)における保険者機能強化の取り組みの現状と方向性について、報告と意見交換が行われたものである。

 議題Bの「後期高齢者医療の保険料の賦課限度額」は、後期高齢者医療制度における保険料の賦課限度額を引き上げる提案を事務局が行い、部会側で意見交換のうえ、概ねこれを了承した。

 議題Cの「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性」は、医療提供体制の持続可能性を確保するための環境整備の促進策について事務局が提案し、部会側で意見交換のうえ、概ねこれを了承した。

医療処置にかかる3割負担、別途の現金給付で無償化の方向

 議題@の「出産に対する支援の強化」における一つ目の論点は、妊婦本人に対する現金給付のあり方についてであり、正常分娩の費用を無償化する全体の仕組みは前回会合までに集約されてきたものの、「帝王切開をはじめ医療処置が行われた場合の『保険診療にかかる自己負担(3割負担)』をどう取り扱うか」については積み残しとなっていた。

 また、現行制度では出産育児一時金(50万円)から分娩費用を支払ったあとに余剰が残れば、それを出産準備全般の諸経費に充てることができるが、無償化によって“余剰が残らない”仕組みになることで、かえって妊産婦にとって不利益変更となる場合があるという問題も、未消化となっていた。これらの課題に対応するうえで、「別建ての現金給付」の必要があるのかないのか、事務局はその検討を部会に求めた。


 3割負担分の取り扱いについては、「『療養の給付』として提供すべき医療行為は、現行制度と同様、引き続き保険診療として対応するとともに、当該自己負担分に活用可能な現金給付の新設が必要ではないか」「医学的な理由で医師の判断により行われる以上、妊婦にとって選択的なものではない。ならば、それによって生じる費用負担(保険診療の自己負担分)を何らかの形で軽減する必要があるのではないか」と、対応を求める意見が相次いだ。ただ、そのあり方として、「出産に伴う一律の経済的支援策というより、個別に生じることのある保険診療の自己負担の軽減策として整理することもできるのではないか」と、使途を絞った給付とする案も出された。

「既存制度のメリット維持」を巡り意見が交わされる

 既存制度のメリット維持を巡っては、「分娩費用との差額を出産準備等に充てることができなくなることで、かなりの数の妊婦さんが『新制度になって、支援が減った』という実感を持つことになるのではないか」として、子育て世代への一貫したメッセージを発するうえで別建ての現金給付の必要性を訴える意見が出された。また、「町村部では一次施設(注:主にリスクの低いお産を担当する地域の産婦人科クリニック)が少ないため、分娩にあたって長距離移動や宿泊を伴うことが多く、出産費用以外の負担が大きい。現物給付化によって妊婦の負担が増すことのないよう、地域の実情に配慮した制度としていただきたい」と、アクセス費用の考慮を求める意見も出された。


 一方で、目的・趣旨について疑義を申し立てる意見も相次いで提起された。

・これまで制度の意図されないところで発生していた“差額”を「維持すべきだ」という理屈は正当化しづらい ・「差額分の補填」は、法的期待利益の観点からも、配慮の必要性は低い。金銭給付を行うとすれば、どのような趣旨のもとに行うのか。性格づけが重要 ・2024年の子ども・子育て支援法改正で、妊娠期の負担の軽減のため「妊婦のための支援給付」が創設され、10万円相当の経済的支援策が導入された。その財源は、医療保険料に上乗せされる「子ども・子育て支援金」であり、来年度から徴収が開始される。こうした経済的支援策とは別に、「医療保険本体の保険料財源を活用して一律に行うべき金銭給付」とは何か。 ・「妊婦本人に対する現金給付」は本来、公費で検討すべき子育て支援策であり、医療保険で給付するべきものではない。保険料負担者の納得感、自治体から支給されている妊婦支援給付との整合性にも鑑みて、慎重に検討すべきだ

 また、「仮に現金給付を創設する場合、給付額については、保険財政の影響等を十分に配慮したうえで設定する必要がある」という意見も出された。

新旧両制度「並走方式」の留意事項を議論

早期に新給付体系の移行を促すインセンティブを

 議題@のもう一つの論点、「新たな給付体系への移行時期」に関しては、速やかな実施を求める声と、十分な準備期間を求める声が交錯。その間をとる形で、「妊婦が希望に応じて施設を選択できるようにしたうえで、可能な施設から新制度に移行する」という2制度“並走”方式を事務局が提案したのが前回部会で、今回はその際の留意事項をめぐる議論が交わされた。

 この日の部会では、「従来制度での運用はあくまで『例外』としての取り扱いとなるよう、対応策を検討していただきたい」と念を押す意見が出され、これに呼応する形で「新給付体系への移行にあたっての経過措置は法律の附則に規定し、時限的な経過措置として位置づける必要がある」と具体策の提案もあった。2制度が並走することについては、「新旧どちらの産科医療機関にするかを選べる妊婦もいれば、地域によっては選べない妊婦も発生することとなり、不平等が生じる」との懸念が提起され、早い段階での一本化を求める声が相次いだ。「新たな給付体系の移行を促すための措置や、現物給付化を図る施設に対する相対的優遇に向けた配慮が取られてよい」とインセンティブを設ける案も出された。

協会けんぽ、「きめ細かい予防・健康づくり」を強化

「けんぽアプリ」で直接加入者に結びつくパーソナルな健康づくり支援

 議題A「医療保険制度改革」に関しては、協会けんぽの保険者機能強化に向けて、@加入者の年齢・性別・健康状態等の特性に応じた“きめ細かい予防・健康づくり”、A毎年度の収支見通しの作成――の2点を保険者として実施するべき措置として明確化するべく検討中であると事務局が報告。これらはいずれも、すでに協会けんぽで取り組んでいるものであり、同会理事長である北川委員は「協会けんぽを応援していただく趣旨と受け止める」と反応。

 あわせて、協会けんぽの現在の取り組み状況について「協会けんぽでは令和8年1月に『けんぽアプリ』をリリースする。今後10年計画となるが、本アプリを通じて直接加入者とパーソナルに結びつく健康づくり支援を展開していきたい。健保連さんや国保中央会さんとも既に連携体制をとっており、将来的には更なる広いインフラに成長していくことを期待している」(北川委員・協会けんぽ理事長)と説明した。

 これに対して、研究者の立場の委員から「予防・健康づくり事業を進めるうえで、独立した立場からの検証が重要になってくる。そのためのデータ整備とデータ利用の機会の設定をお願いしたい」との要望が出された。また、国に対しても「協会けんぽだけではなく、全ての保険者で同様の取り組みが進むよう、国として支援をしていただきたい」との意見があった。

後期高齢者医療、保険料賦課限度額を5万円引き上げへ

中間所得層の保険料上昇抑制図る

 議題Bの「後期高齢者医療の保険料の賦課限度額」に関しては、後期高齢者医療制度に関して、令和8年度に予定されている保険料改定にあわせて、保険料の賦課限度額(年間保険料の上限額)を現行の「80万円」から「85万円」へと引き上げることを事務局が提案。

 引き上げの理由について、「物価・賃金が上昇傾向にあり後期高齢者の所得、医療給付費ともに増加が見込まれること、令和8年度は出産育児支援金の激変緩和の終了等の施行の影響があること等を踏まえて、賦課限度額の超過被保険者の割合等も勘案して設定した」と説明したうえで、試算を示した。

 それによると、例えば年金収入400万円の人の保険料は、限度額引き上げがなければ令和8年度に「年額30万円」(5.3%増)となるところ、限度額を引き上げることで「年額29万7000円」(4.2%増)に抑えられるという。

 一方で、負荷限度額を超える所得層の保険料負担は、以下のように変化する。
【据置き】「年収971万円超の人の保険料額:一律80万円」(年金収入のみの場合)
【引上げ】「年収1021万円超の人の保険料額:一律85万円」(同)


保険料の賦課限度額:

 応能負担を貫徹すれば高所得者にとっては看過しがたい“掛け捨て”が生じることになってしまうため、バランスを勘案して、所得が一定ラインを超えたらそれ以上の応能負担は課さないとしているルールのこと。限度額を引き上げると、高所得層の保険料負担額が増す一方、中間所得層の保険料の上昇が抑えられるという効果を生む。

                          資料3「後期高齢者医療の保険料賦課限度額について」2P


 部会では、対象者の理解を得られるよう「丁寧な説明」についての要望があったほかは、特段異論が出ず、提案は了承された格好である。

 なお、国民健康保険(国保)の保険料についても、同じく令和8年度から賦課限度額を引き上げる(医療分92万円→93万円)旨の提案が、前々回の第205回医療保険部会(11月27日)でなされ、既に了承されている。

データ収集・分析を進めつつ、「診療報酬上求める基準」を柔軟化

「認定制度」創設で業務効率化・職場環境改善の後押しも

 議題C「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性」に関しては、2040年に向けて、医療従事者を安定的に確保し、質が高く効率的な医療提供体制を構築するために、「医療機関の業務効率化・職場環境改善による生産性向上」「タスク・シフト/シェアの推進」「地域における医療職種の養成体制の確保や養成課程を含めた環境整備」といった取り組みが必要であるとして、以下のような具体策(方向性)を事務局が提案した。


〇業務のDX化にかかる継続的な支援の在り方を検討 〇統一的な基準により、労働時間の変化、医療の質や安全の確保、経営状況に与える影響等に関するデータを医療機関から収集、分析 〇業務の効率化を図る場合における「診療報酬上求める基準」の柔軟化を検討 〇業務効率化に資する機器やサービスの価格・機能・効果を、透明性をもって把握できる仕組みの構築 〇都道府県の医療勤務環境改善支援センターの体制拡充・機能強化を図り、労務管理等の支援に加え、業務効率化の助言・指導等も行うことを明確化 〇業務効率化や職場環境改善に積極的・計画的に取り組む病院を、公的に「認定・公表」する仕組みの創設 〇医療法および健康保険法上に、医療機関の責務として「業務効率化・勤務環境改善に取り組むよう努める」旨の規定を追加(現状では医療法に勤務環境改善の努力義務が定められているのみ) 〇業務のDX化への取り組みに際して、併せてタスク・シフト/シェアの実施や業務プロセス自体の見直しが図られるよう促進 〇地域や養成校の実情に応じて、遠隔授業の実施やサテライト化の活用などをはじめ、地域における安定的な養成体制の確保に向けて検討 〇医療関係職種の各資格間における既修単位の履修免除の活用や、養成に係る修業年限の柔軟化など、若者・社会人にとって参入しやすい養成課程に向けての検討 〇意欲・能力やライフコースに合わせて働き方・キャリアの選択が可能なように、各種支援、環境整備、リカレント教育の検討 〇歯科衛生士・歯科技工士の業務範囲や、歯科技工の場所の在り方について検討

         資料4「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について(案)」を整理・要約


 これに対し、委員からは「診療報酬上求める基準の柔軟化」という提案事項に関して、「人員の確保が難しくなっている状況のもとでは、業務を効率化した分、他の業務に従事できるようにならないと現場は苦しい」と専従要件の緩和を求める声が上がったが、一方で「基準の柔軟化は、医療の質や安全が確保されることが大前提」「患者に提供される医療・看護の安全の担保、職員の労務負荷への影響を十分に考慮し、慎重に検討する必要がある」との意見も出された。

 また、業務効率化や職場環境改善に積極的・計画的に取り組む病院の「認定制度の創設」という提案事項に関して、「認定取得病院が都市部の病院や大規模な病院に偏って、地方の病院または中小病院が非認定という傾向が出ると、地域医療の信頼性に悪影響を与える恐れが考えられる」として、評価の在り方について慎重な検討を求める意見が出された。


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