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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2026年04月15日

【厚生労働省】第9回地域医療構想および医療計画等に関する検討会(令和8年1月16日開催)

「必要病床数」や「病床機能・医療機関機能報告」で詰めの議論
次年度から新規診療所開業の歯止めを行う対象候補地を公表

 厚生労働省の地域医療構想及び医療計画等に関する検討会(座長=遠藤久夫・学習院大学長)の第9回会合が2026年1月16日に開催され、「新たな地域医療構想策定ガイドライン」に盛り込む必要病床数の推計方法や病床機能・医療機関機能報告制度の設計にかかる詰めの検討が行われるとともに、医師偏在是正策として2026年度から実施に移される「外来医師過多区域」での新規診療所開業の“歯止め”策について、議論が交わされた。

 厚生労働省の地域医療構想及び医療計画等に関する検討会(座長=遠藤久夫・学習院大学長)の第9回会合が2026年1月16日に開催され、「新たな地域医療構想策定ガイドライン」に盛り込む必要病床数の推計方法や病床機能・医療機関機能報告制度の設計にかかる詰めの検討が行われるとともに、医師偏在是正策として2026年度から実施に移される「外来医師過多区域」での新規診療所開業の“歯止め”策について、議論が交わされた。

新構想の必要病床数、「改革モデル」で推計
75歳以上の急性期の5割は「包括期」の需要と見込む

 議題の一つ目、「新たな地域医療構想」(以下、本記事では「新構想」と表記)は、2040年を射程に人口構造や地域の医療ニーズの質・量の変化を見据えて、今後どのような医療提供体制に見直していくかを都道府県単位でまとめた、いわば“医療提供の中長期計画”のこと。新構想は2028年度までに策定するものと位置づけられ、2026年度初頭から各都道府県で策定作業が一斉に始まる。それに先立って、策定手順や留意事項を整理した“ガイドライン”を国が2026年3月末までに発出する流れとなっている。その中身を詰めるために、本検討会で2025年7月から議論が重ねられている。

 この日は、医療需要や必要病床数の推計にあたっての考え方・方法・手順について、厚生労働省事務局が“論点”として具体案を提示し、これをもとに構成員による質疑・意見表明が行われた。

 厚生労働省が検討会に示した具体案の概要は以下のとおり。

○医療需要の設定にあたっては、構想区域ごとに、診療実績データに基づき患者単位の日ごとのデータを用いて、人口推計を活用し、病床機能区分ごとに推計する(用いるのは2024年度のNDBデータ) ○必要病床数の推計にあたっては、医療の高度化・低侵襲化、在院日数短縮、在宅医療や外来医療の充実、介護への移行等に係る取組などによる効果や、受療率の変化を反映させる趣旨で、現在の地域医療構想における見込みと実際の医療需要との差分等を反映させた、「改革モデル」を用意する ○必要病床数の推計にあたっては、これまで「急性期」と区分してきた75歳以上の患者のうち、5割を引き続き「急性期」の需要として見込み、残りの5割の患者を「包括期」の需要として見込むこととする ○必要病床数の推計にあたっては、入院から在宅等まで切れ目なく必要なリハビリテーションを提供する体制を構築し、効果的・効率的な提供の推進による平均在院日数の短縮をさらに進めることを見込むこととする ○必要病床数の算出に用いる病床稼働率は、現構想と同様、高度急性期75%、急性期78%、包括期90%、慢性期92%とする ○必要病床数は、医療計画の見直しのタイミングにあわせ、2030年・2036年に必要に応じて見直しを行うこととする

 委員からは、病床稼働率に関して、「高度急性期と急性期の病院では、病床稼働率75〜80%では利益が出ないから、緩やかにダウンサイジングしながら稼働率を上げることで、経営安定を図る方向に向かわざるをえない。しかし、稼働率90%の急性期病院が、季節性の変動に対応できるかどうか」といった不安の声が聞かれた。コロナ禍における教訓から、「感染症における有事対応の局面でも通常医療との両立が避けられなくなる。必要病床数の推計においても、『サージキャパシティ』の観点から一定の考慮が必要ではないか」という意見も出された。


 サージキャパシティ(surge capacity)

 緊急時対応可能能力のこと。


「病床機能報告」の客観性担保に向け、入院料との対応関係を明示

 このほか、地域の医療提供体制の現況を把握する政策的手段である「病床機能報告制度」も俎上に載せられた。同制度は、各病院が地域の中で自院の病床が果たす機能を「@高度急性期機能、A急性期機能、B包括期機能、C慢性期機能」の中から自主的に選択して、報告する仕組みであるが、どのような条件を満たせば@ABCのいずれに該当するかという基準はなく、報告内容の客観性が担保されていないという課題があった。そこで、診療報酬で算定している「入院料」の種類と区分@〜Cの対応関係を“目安”として示すことで、各病院の自主性を損なうことなく、報告の客観性を確保してはどうか――という案が、厚生労働省事務局から提示された。すでに考え方そのものは第5回検討会(2025年10月15日)で示されていたが、この日は具体的な対応関係も含めた案として示された(図表@)。


「資料1「新たな地域医療構想策定ガイドラインについて」
(医療需要の推計等、 医療機関機能報告・病床機能報告)」
38頁

現在の医療機関機能、2040年時点の機能、構造設備・人員、診療実績を報告

 また、新構想のもとでは従前の病床機能報告制度に加えて、先の医療法等改正(2025年12月12日公布)で「医療機関機能報告制度」が導入されることとなっており、各医療機関は自院が地域で求められる役割について、「@急性期拠点機能、A高齢者救急・地域急性期機能、B在宅医療等連携機能、C専門等機能」の中から1項目ないし複数項目を選んで都道府県に報告する必要がある。検討会では、機能選択にあたっての目安や「急性期拠点機能の集約化に向けた議論の進め方」などについて検討を重ねてきており、この日は、「報告を求める内容」について、厚生労働省事務局がたたき台を示した。それによると、(1)現在担っている機能に近い医療機関機能、(2)2040年に向けて担う医療機関機能のほか、(3)構造設備等、(4)人員にかかる内容等、(5)医療機関機能に関する内容(診療実績)といったデータ類を報告するべき旨が掲げられている(図表A)。

 委員からは、「『現在担っている機能に近い医療機関機能』と『2040年に担う機能』について、各病院がこぞって複数の機能を報告したら、機能分化に向けての議論が進まなくなる。どのような場合に複数報告できるか、あらかじめ整理しておくべきではないか」といった意見が出された。


「資料1「新たな地域医療構想策定ガイドラインについて」
(医療需要の推計等、 医療機関機能報告・病床機能報告)」
44頁

「急性期拠点機能」を巡って“過当競争”の懸念

 このほか検討会では、「急性期拠点機能」(手術や救急医療等の医療資源を多く要する症例を集約化した医療提供や、災害医療・新興感染症などへの対応、医育などの機能)を担う医療機関を“決定”するプロセスに議論が集まった。前回の第8回検討会(2025年12月12日)に初出の資料として提示し、この日も再掲として配布した事務局案に、@急性期拠点機能の医療機関は「人口20〜30万人に1医療機関」を目安とすること、A遅くとも2028年までに、どの医療機関が地域で急性期拠点機能を担うのかを各都道府県の地域医療構想調整会議で決定すること――といった数量・スケジュールが記されている(図表B)。

 これに対して、複数の委員から「期限を切ると、病院間の過当競争が起きる可能性がある。急患の取り合いになって、救急医療の拡大につながる懸念があるので、書きぶりには注意してほしい」「特に大都市部で、指定をめぐる激しい競合・競争が発生すると考えられる。自主性と話し合いで決められるケースばかりではないと想定される」といった注意喚起の声が上がった。

 また、地域医療構想調整会議での議論が膠着しないように、「各医療機関がどのような医療を行っているかを地域で共有できるように、国が主導してデータを出していただきたい。主要診断群分類ごとに細かい診療実績データが示されないと、なかなか地域で役割分担の話が進まない」との意見もあがった。


「資料1「新たな地域医療構想策定ガイドラインについて」
(医療需要の推計等、 医療機関機能報告・病床機能報告)」
43頁

東京・京都・大阪・福岡・兵庫の9圏域で「外来医師過多」

 もう一つの議題である医師偏在是正策を巡っては、2026年度から実施に移される「外来医師過多区域」での新規診療所開業の“歯止め”策について、議論が交わされた。厚生労働省事務局からはこの日、外来医師過多区域の候補地として、要件に該当する9圏域が公表された(図表C)。


「資料3「医師確保計画の見直し等について」24頁


 改正医療法の施行後(2026年4月1日以後)、都府県が指定手続きをとることで、これらの候補地は「外来医師過多区域」となる。当該圏域内で無床診療所を開設するには、開業6か月前に事前届出を出さなければならず、当該地域で不足する医療機能等の提供を要請されることとなり、これを重ねて拒否すれば、保険医療機関の指定期間短縮等のペナルティが課せられることになる(図表D)。


「資料3「医師確保計画の見直し等について」35頁


 委員からは、「9区域とはあまりに少ないという印象だ。新規開業に条件をつける対象区域がこれだけでいいのか。外来医師多数区域(全国に330ある二次医療圏のうち外来医師偏在指標が上位33.3%に当たる圏域)についても、対応がとられるべきではないか」と今後の対象拡大を求める声が上がった。一方、対処の取り方として「東京で診療所の医師が多いのは、昼間人口が多いからではないか。対症療法として新規開業を減らす方法だけではなく、根本原因を調べて対応する必要もあるのではないか」とする問題提起も出された。また、「新規開業希望者に開業の再検討を促すメッセージとして『圏域内ですでに足りている医療機能』を公表することも大事ではないか」という意見も出された。


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