こども家庭庁は、2026年(令和8年)2月16日に「第6回今後の障害児入所施設の在り方に関する検討会」を開催し、報告書のとりまとめに向けた詰めの議論を交わした。本検討会は、強度行動障害や医療的ケア、被虐待児など、施設を利用する児童の状態像が多様化・複雑化している現状を受けて、2025年5月に設置されたものである。こどもの権利保障を最優先の観点とし、施設利用経験のあるこども・若者からのヒアリングも交えながら、地域の包括的な支援体制の構築や社会的養護との連携も含め、入所施設が果たすべき役割について検討が行われてきた。
障害児入所施設改革における7つの「基本的な方向性」
報告書案では、今後の改革に向けて以下の7つの基本方向が示された。
@こどもと家族のウェルビーイングの保障:家庭的養育と家族支援の推進
Aこどもの権利の保障:パーマネンシー保障の理念、意見表明等支援の推進
Bこどもの最大限の発達の保障:育ちの支援と合理的配慮
C専門性の保障:専門的ケアの強化と専門性の向上
D質の保障:人材育成・自己評価・透明性の確保等を整備
E包括的支援の保障:地域の障害のあるこども及びその家族への支援強化、切れ目ない支援体制
の整備、他施策との連携
F社会的養護施策との連携の推進:社会的養護施策への後方支援の強化
【用語解説】
社会的養護:保護者のいない児童や養育が不適当な児童を、公的責任のもと施設入所や里親委託等で保護・養育し、困難を抱える家庭を支援する施策。行政が専門的知見からこどもにとって最善の保護・支援を決定します。
パーマネンシー:児童福祉において「継続的かつ安定した養育者・養育環境」を意味し、こどもが安心して頼ることができる関係性や居場所を指します。
新たな制度体系と施設の再編
制度体系の変更として、主に2つの新たな暮らしの場のあり方が打ち出された。
1. 「こどもホーム(仮称)」の創設(法改正予定) 多様な障害を持つこどもが、地域や親から離れずに家庭的環境のもとで専門的ケアと養育を受けられる「地域密着型の小規模入所施設」として新設される。こどものニーズに応じた職員を配置し、通所事業所や訪問看護との併用も可能。多様性を尊重する「こどもまんなか社会」の実現を目指す観点から、当初案の「障害児ファミリーハウス」から名称が変更された。
2. 「こども発達支援ホーム(仮称)」への類型一元化 現在の「福祉型障害児入所施設」は、知的・自閉症・肢体不自由・盲・ろうあの5類型に細分化されてるが、障害の重複や被虐待といった複合的ニーズへの対応力強化と、身近な地域で支援を受けられるようにする目的で基準が一元化される。「障害」という文字を外し、こどもが親しみを持ち、家族も安心して関係を築ける名称への変更が掲げられている。
地域支援機能の強化と社会的養護との連携
地域で暮らす障害児とその家族に向けて、相談支援やレスパイト(休息)利用等の短期入所を通じた「地域支援機能」を充実させることが重要視されている。施設の多機能化や親子でのレスパイト環境、施設移行後のアフターケアなどの検討が求められている。 また、近年は社会的養護を担う施設(里親、児童養護施設、乳児院など)でも障害のあるこどもが生活している現状を踏まえ、訪問支援や短期入所を通じた後方支援の強化や緊密な連携が求められている。
検討会での質疑・意見と今後のスケジュール
検討会では、医療・福祉両制度の適用を受ける「医療型障害児入所施設」における小規模化等のイメージについて質疑があり、事務局は「現段階では医療連携や訪問看護を通じて生活できるホームを想定しているが、詳細は別途議論の場が必要」と回答した。その他、支援者支援の追加や、子どもの権利条約等を踏まえる旨の追記が求められました。
これらの議論を反映した報告書案が、2026年3月12日の第7回会合で提示され、最終調整の意見出しを経て、座長預かりで了承された。