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2026年08月17日

【厚生労働省】第32回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ(令和8年5月29日)

救急時の情報閲覧と情報共有の拡大を議論
安全管理ガイドライン第7.0版案も了承

【今回のワーキンググループのポイント】
・電子カルテ情報共有サービスで共有するアレルギー情報の範囲を整理
・薬局から医療機関への報告や歯科診療情報の電子的な共有を検討
・救急時医療情報閲覧で、院内処方の薬剤情報も確認できるよう改修
・地域医療情報連携ネットワークの実利用や費用対効果を評価
・安全管理ガイドライン第7.0版案とサイバーセキュリティ対策チェックリスト案を了承

【今回のワーキンググループのポイント】

・電子カルテ情報共有サービスで共有するアレルギー情報の範囲を整理

・薬局から医療機関への報告や歯科診療情報の電子的な共有を検討

・救急時医療情報閲覧で、院内処方の薬剤情報も確認できるよう改修

・地域医療情報連携ネットワークの実利用や費用対効果を評価

・安全管理ガイドライン第7.0版案とサイバーセキュリティ対策チェックリスト案を了承


 第32回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループでは、医療情報の共有範囲の拡大や救急時の情報閲覧、サイバーセキュリティ対策などについて議論した。

 電子カルテ情報共有サービスで共有するアレルギー情報は、「重篤なアレルギー等」とする。まずは、アナフィラキシーまたはその疑いがある場合の情報を登録し、劇症肝炎などが見られた場合も、医師等の判断で登録できるようにする。

 情報を過度に登録すると、重要な情報を見つけにくくなるため、具体的な症状が記載された情報を対象とする。食品アレルギーについては、食品表示法に基づく食品表示基準に定める29品目を優先して標準コードに対応させる。

 判断や登録のばらつきを抑えるため、入力する情報の考え方や入力時期、具体例などを盛り込んだ医療従事者向けの利用指針も作成する方針である。

医療機関と薬局の連携を紙やFAXから電子データへ

 全国医療情報プラットフォームで共有する情報の拡大も検討された。

 具体例として示されたのが、薬局から医療機関に送るトレーシングレポートなどの電子化である。トレーシングレポートは、患者の服薬状況、副作用、残薬、服薬後の変化など、緊急性は高くないものの、次回の診療や薬の処方時に医師へ伝える必要がある情報を薬剤師が報告するものである。

 現在は紙やFAXによるやり取りが多く、医療機関では電子カルテへの転記や文書の保存が必要となっている。厚生労働省は、電子カルテ情報共有サービスの基盤などを活用した電子的な連携方法を検討する(図)。


図 :医療機関・薬局間の情報連携のイメージ

医療機関から薬局への情報提供依頼と、薬局から医療機関への報告を電子的に行う仕組みを検討する。

医療機関・薬局間の情報連携のイメージ

出典:厚生労働省「第32回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ」資料2


 歯科診療についても、診療情報提供書を歯科医療機関間や医科・歯科間で送受信できるようにするとともに、各歯の状態など歯科特有の情報の共有範囲を検討し、項目を順次標準化する。

 また、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)※に関する情報も検討対象となった。ACPでは、本人の意思が時間の経過や心身の状態によって変化する可能性がある。過去の意思表示が現在の意向として扱われ、救急現場などの医療判断に影響し、本人に不利益が生じることのない仕組みが必要である。

 厚生労働省は、別事業における共有項目の検討結果をふまえ、全国医療情報プラットフォームでの共有方法を検討していく。


※ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
将来の医療やケアについて、本人を中心に家族や医療・ケア関係者と繰り返し話し合い、本人の意思決定を支える取り組み。

地域独自のネットワークと全国共通基盤の共存を検討

 地域医療情報連携ネットワークに関する調査結果も報告された。

 地域医療情報連携ネットワークは、医療機関や介護事業所などが地域内で患者・利用者の情報を共有する仕組みである。調査では、登録されていても実際には利用していない施設がある一方、全国共通の電子カルテ情報共有サービスでは共有されない、より詳細な診療情報への需要も確認された。

 厚生労働省は、全国医療情報プラットフォームに含まれない情報や機能を備え、地域で活用されているネットワークは今後も生かす考えである。登録施設数や登録患者数だけでなく、実際の利用状況や費用対効果も評価する方針である。

救急時の薬剤情報に院内処方も追加

 救急時医療情報閲覧では、患者の薬剤情報や診療情報などをまとめた「救急用サマリー」に、院内処方の情報を追加する。

 これまで表示されていた院外処方の調剤結果に加え、入院中や外来で院内処方された薬剤も時系列で表示し、救急時に薬剤情報をより幅広く把握できるようにする。

 院内処方の追加に伴い、情報の網羅性と見やすさをどう両立させるかも課題となる。

小規模医療機関にも対応 安全管理指針を改定

 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版案も了承された。

 改定案では、パスワードの使い回し禁止やアカウントロックを追加する一方、定期的なパスワード変更は、セキュリティの向上にあまり寄与しないとして要件から削除する。二要素認証※については、対象となる端末やサーバーを明確にする。令和9年4月1日時点での対応が難しい医療機関等には、次回のシステム改修時までの対応を認める。

 また、セキュリティの専門人材を確保しにくい小規模医療機関等を念頭に、「保守委託機関編」を新設する。保守を外部委託する医療機関等は、同編に沿って対応することで関連する安全管理上の項目にも対応しているものとみなす。

 令和8年度版のサイバーセキュリティ対策チェックリストでは、医療機関用と薬局用を統合する。事業者向けには事業継続計画(BCP)の策定項目などを追加し、医療機関と事業者の責任分担を確認しやすくする。

 「病院における医療情報システムのサイバーセキュリティ対策に係る調査」では、医療情報システム安全管理責任者を設置している病院は86%であったが、責任者が情報処理に関する資格をもつ割合は16%であった。職員への情報セキュリティ研修の実施率は63%、サーバーや端末に定期的にセキュリティパッチを適用している割合は6割程度にとどまった。

<構成員・オブザーバーからの主な意見>

○ACPは、救急時などに必要となる項目に絞って共有し、本人にあらかじめ示すなど、丁寧な運用が必要である。医療だけでなく、介護との情報共有も考慮すべきである。

○歯科診療情報の標準化では、診療後に情報を追加入力する場合があるなど、歯科医療現場の特性をふまえる必要がある。歯科情報は、災害時などの身元確認にも活用できる。

○全国共通の仕組みと地域独自のネットワークをすみ分け、現場の負担を増やさず共存させることが重要である。

○救急時医療情報閲覧は、マイナ保険証が手元にない場合の利用方法も検討すべきである。スマートフォンに搭載したマイナンバーカード機能も、本人が生体認証や暗証番号の入力を行えない状況では利用できないため、救急時の制約を国民に周知する必要がある。

○院内処方の情報共有は有用であるが、院内処方が多い歯科診療所などでも導入しやすい仕組みとし、費用面にも配慮する必要がある。

○サイバーセキュリティ対策では、医療機関とシステム事業者の責任分担を明確にし、事業者任せにしない仕組みが必要である。

※二要素認証
パスワード、スマートフォン、生体情報など、異なる種類の認証要素を2つ組み合わせて本人確認を行う方法。


 医療情報の共有が広がれば、救急医療や医療機関・薬局間の連携が円滑になり、文書作成や転記の負担軽減も期待できる。一方、必要な情報を短時間で確認できる表示方法に加え、情報の更新方法や共有範囲の設定、サイバーセキュリティ対策の整備も欠かせない。

 全国共通の情報基盤と地域独自のネットワークをどう共存させ、小規模な医療機関でも無理なく利用できる仕組みにするかが、今後の焦点である。


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