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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2026年08月17日

【厚生労働省】第55回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(令和8年4月28日)

令和9年度報酬改定の議論を開始
人材確保、サービスの質、制度の持続可能性が焦点に

【今回のワーキンググループのポイント】
・令和9年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた検討を開始
・人材確保や経営状況、サービスの質、地域の提供体制など6つの視点で関係団体からヒアリング
・中山間・人口減少地域に設ける「特定地域サービス」の基準や報酬評価も今後検討
・やむを得ない人員不足について、人員基準欠如減算を最長3か月猶予

【今回のワーキンググループのポイント】

・令和9年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた検討を開始

・人材確保や経営状況、サービスの質、地域の提供体制など6つの視点で関係団体からヒアリング

・中山間・人口減少地域に設ける「特定地域サービス」の基準や報酬評価も今後検討

・やむを得ない人員不足について、人員基準欠如減算を最長3か月猶予

令和9年度報酬改定に向け制度の持続可能性を重視

 厚生労働省は令和8年4月28日、第55回障害福祉サービス等報酬改定検討チームを開き、令和9年度の報酬改定に向けた議論を開始した。

 障害福祉サービス等に係る予算額は、障害者自立支援法の施行時から4倍以上に増加している。令和6年度報酬改定後には、総費用額が前年度比12.1%増となった。検討チームでは、利用者数の増加だけでなく、1人当たり費用額が伸びている要因についても分析が必要との意見が出された。厚労省は、人材確保が引き続き課題となる一方、制度の趣旨に沿わない加算算定やサービスの質の低下も懸念されるとしている。

 令和9年度改定では、従事者の処遇改善とともに、報酬や加算が支援の質の向上に結びついているかを検証し、制度の持続可能性を確保することが主要な論点となる。

6つの視点で団体ヒアリング 現場から具体的な対応策を求める

 今後は、6月中旬から8月初めにかけて、53の関係団体を対象に6〜7回程度のヒアリングを行う。8月までに意見の取りまとめと論点整理を進め、9月以降に各サービス、11月頃にサービス横断的な報酬・基準のあり方を検討する。12月に基本的な考え方を整理し、令和9年2月頃に改定案を取りまとめる予定である。

 今後の団体ヒアリングに当たり、厚労省は次の6つの視点を示した。

[団体ヒアリング時の6つの視点]

○給付費が増加する中で、制度を持続可能なものとするための課題と対処方策

○人材の確保・育成、専門性の向上、業務負担の軽減・効率化

○令和6年度・令和8年度報酬改定後の経営状況、賃上げや物価高への対応

○地域で過不足のないサービス提供体制を確保するための方策

○多様な事業者の参入に伴うサービスの質のばらつきへの対応

○地域生活支援、重度化・高齢化、他制度との連携などへの対応

 検討チームでは、これまでの団体ヒアリングが報酬の増額要望に偏りがちであるとの意見も出された。今回のヒアリングでは、現場の課題に加え、その背景や要因を分析した上で、具体的な対応策を示すことが求められる。

人口減少地域に対応する「特定地域サービス」

 「社会福祉法等の一部を改正する法律案」(注:令和8年6月25日に公布)には、中山間・人口減少地域で、地域の実情に応じた人員配置や包括的な報酬評価を可能とする「特定地域サービス」の創設が盛り込まれている。

 人口減少が進む地域では、全国一律の人員配置基準を満たしながらサービスを維持することが難しくなることも想定される。法の成立を受けて、特定地域サービスの対象地域や配置基準、包括的な評価のあり方などを、報酬改定検討チームで議論する見通しである。

 地域の実情に応じた柔軟な運営を認めながら、利用者への支援の質をどのように担保するかが重要となる。

賃上げや処遇改善加算の効果を調査

 令和8年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査の実施についても了承された。8月上旬から9月上旬にかけて調査を行い、秋以降に結果を公表する。

 施設・事業所と従事者を対象に、給与や労働時間、処遇改善加算の取得状況などを把握する。今回は、令和8年度改定で拡充された処遇改善加算や、令和7年度の賃上げ支援事業による賃金改善の状況も調べ、令和9年度報酬改定の基礎資料とする。

やむを得ない人員不足では減算を最長3か月猶予

 検討チームでは、人員基準欠如減算の特例的な取り扱いも報告された。

 日中活動系、居住支援系、訓練系、就労系、障害児通所系サービスでは、生活支援員、看護職員、世話人、児童指導員等が人員基準を下回った場合、原則として報酬が3割減算される。

 今回、突発的で想定が困難な事象により人員不足が生じた事業所・施設について、一定の要件の下で、減算を最長3か月猶予することとした(表)。


表:やむを得ない人員不足における減算猶予

項目 内容
対象となる事情 突発的で想定が困難な事象による、やむを得ない人員不足
必要な対応 ハローワークの活用など、職員確保に向けた取り組みを実施
猶予期間 3か月を超えない期間
適用回数 1年に1回
対象外 生活支援員、看護職員等が人員基準上必要な人数から1割を超えて不足する場合
今後の検討事項 職員確保の取り組みを報告する時期や方法などを具体化

※厚生労働省「やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱い」をもとに作成


 人員基準欠如減算を避けるため、高額な紹介手数料を支払って、職員を確保せざるを得ないとの指摘をふまえた措置である。限られた職員で運営する小規模事業所などにとっては、採用活動を続けるための一定の猶予となる。

 一方、特例は人員基準そのものを緩和するものではない。欠員時にも利用者への支援の質と安全を確保し、残る職員に過度な負担が生じないようにする必要がある。職員確保の取り組みを報告する時期や方法など、具体的な運用は今後検討される。


 令和9年度報酬改定では、人材不足や物価高への対応に加え、増加する給付費の中で、限られた人材や財源をどの分野に重点的に配分するのかが問われる。地域によるサービス提供体制の違いや利用者の支援ニーズに応じ、必要なサービスを確保するための具体的な議論が今後進められる予定だ。


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