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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2026年08月20日

【厚生労働省】第34回社会保障審議会(令和8年4月27日)

社会保障改革の進捗と令和8年度予算を報告。人口減少下のサービス提供体制、人材確保などを議論

【今回のワーキンググループのポイント】
・年金、医療、介護、福祉など社会保障制度改革の進捗状況を横断的に報告
・医療・介護・障害福祉では、賃上げや物価高への対応として報酬改定を実施
・福祉人材の確保に向け、都道府県に協議会を設置する仕組みなどを盛り込んだ社会福祉法等改正案を報告
・人口減少地域でサービスを維持するため、人材確保、連携、DXなどが課題に

【今回のワーキンググループのポイント】

・年金、医療、介護、福祉など社会保障制度改革の進捗状況を横断的に報告

・医療・介護・障害福祉では、賃上げや物価高への対応として報酬改定を実施

・福祉人材の確保に向け、都道府県に協議会を設置する仕組みなどを盛り込んだ社会福祉法等改正案を報告

・人口減少地域でサービスを維持するため、人材確保、連携、DXなどが課題に

社会保障改革の「現在地」を確認
年金、医療、福祉などを横断

 厚生労働省は令和8年4月27日に第34回社会保障審議会を開き、社会保障制度改革の進捗状況と令和8年度厚生労働省予算について報告した。

 今回は、年金、医療、介護、福祉など幅広い分野について、これまで進めてきた改革を横断的に整理し、その「現在地」を確認する内容となった。

 厚生労働省は、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」に基づく取り組みとして、被用者保険の適用拡大、新たな地域医療構想、医師偏在対策、医療DXなどの進捗を報告した。

 当時国会で審議されていた健康保険法等改正案や社会福祉法等改正案についても説明。社会福祉法等改正案には、身寄りのない高齢者等の日常生活や入院等の手続、死後事務を支援する事業の位置づけ、中重度等の要介護者を入居させる有料老人ホームへの登録制度の導入、福祉人材確保に向けた仕組みなどが盛り込まれている(表)。


表:社会保障制度改革をめぐる主な動き

分野 主な内容
年金 被用者保険の適用拡大など、年金制度改革を推進
医療 新たな地域医療構想、医師偏在対策、医療DXなどを推進
医療保険 OTC類似薬、金融所得、高額療養費などの見直しを含む健康保険法等改正案について報告
福祉 身寄りのない高齢者等への支援、有料老人ホームの登録制度、福祉人材確保策などを含む社会福祉法等改正案について報告
報酬改定 診療報酬+3.09%、介護報酬+2.03%、
障害福祉サービス等報酬+1.84%
給付と負担 現役世代の保険料負担抑制に向けた社会保障制度改革を推進
社会保障と税 給付付き税額控除や消費税負担のあり方など、「社会保障と税の一体改革」を社会保障国民会議で検討

※厚生労働省「社会保障制度改革等について(報告)」および第34回社会保障審議会議事録をもとに作成

物価高、人手不足への対応
介護・障害福祉は期中改定

 医療・介護・障害福祉では、物価上昇や人手不足のなかで、経営の安定と従事者の処遇改善をどう進めるかが課題となっている。令和7年度補正予算では、「医療・介護等支援パッケージ」として、経営改善・処遇改善のため1.4兆円規模の措置を実施した。

 さらに令和8年度は、賃上げや物価への対応などを含め診療報酬を+3.09%改定。介護報酬は令和9年度の通常改定を待たず+2.03%、障害福祉サービス等報酬も+1.84%(一部のサービスを除く)の期中改定が行われる。

 一方、物価や賃金の上昇が続けば、改定後も事業者の経営環境が厳しくなる可能性がある。審議会では、社会経済情勢の変化に応じた機動的な対応や、安定的な経営を支える取り組みを求める意見が出された。

人口減少地域でサービスをどう残すか
人材確保に加え、連携やDXも

 もう一つの大きな課題が、人口減少と人手不足が進むなかで、地域の医療・介護・福祉サービスをどう維持するかである。

 地方では人材不足に加え、介護保険での訪問介護を中心にサービス事業者の撤退も課題となっている。今後は現役世代だけでなく高齢者人口も減少し、サービスの担い手と利用者の双方が減っていく地域も増える。

 こうした地域で提供体制を維持するには、人材確保や財政面の支援だけでなく、事業者や行政の連携、地域の実情に応じた柔軟なサービス提供、DXやAIなどの活用を組み合わせていくことが求められる(図)。

 DXについても、導入自体を目的とするのではなく、業務負担の軽減や生産性向上につながっているかという視点が重要になる。


図:人口減少下でサービス提供体制を維持するために

人口減少下でサービス提供体制を維持するために

※第34回社会保障審議会の資料、議論をもとに作成

社会保障関係費は34.7兆円
経営安定や人材確保などに重点

 令和8年度厚生労働省予算は一般会計総額35兆433億円で、このうち社会保障関係費は34兆7088億円となった。社会保障関係費は前年度当初予算から7205億円、2.1%増加している。

 重点事項には、医療・介護・障害福祉分野の賃上げ・経営安定・人材確保のほか、地域の医療・介護提供体制、医療・介護DX、地域共生社会の実現などが位置づけられた。

 こうした予算措置を、地域の実情に応じたサービス提供体制の確保にどのようにつなげていくかも重要となる。


[委員からの主な意見]

○福祉人材確保のため都道府県に設置する協議会は、地域の課題や社会資源に応じて柔軟に対応できる仕組みとし、国が十分な財源を確保する必要がある。

○物価や賃金が急激に上昇した場合には、報酬改定後であっても適時適切に見直し、医療・介護・障害福祉事業者の安定的な経営に向けた対策を講じる必要がある。

○身寄りのない高齢者への支援では、社会福祉関係機関だけでなく、民間企業やNPOなど地域のさまざまな主体との連携を進める必要がある。

○利用者も担い手も減少する地域では、人員配置や施設、資格などについて柔軟な仕組みを検討するとともに、サービス提供側だけでなく行政側の連携も進める必要がある。

○DX・AIなどの活用を進めるに当たっては、小規模介護事業者に対し、人材や情報面も含めた支援が必要である。

○DXは導入率だけでなく、業務効率化や現場の負担軽減など、実際の成果を評価することが重要である。

○人口減少や高齢化の進み方は地域によって異なるため、将来人口推計などを活用し、限られた資源をどこに重点配分するかを長期的な視点で考える必要がある。

 社会保障を持続可能なものにするには、給付と負担の見直しとともに、必要なサービスを地域で実際に途切れることなく届けられる環境をどのように整えるかという視点が欠かせない。

 今回の審議会では、人口減少や物価上昇が進むなかで、制度を支える基盤そのものをどう維持していくかが、分野を超えた課題として浮かび上がった。今後は、こうした方向性を個別制度や地域の現場にどう具体化していくかが問われることになる。


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