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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2026年08月27日

【厚生労働省】第259回社会保障審議会介護給付費分科会(令和8年6月29日開催)

在宅介護の要である訪問介護サービスの
維持継続に向け、丁寧かつ慎重な議論が求められる

 2026(令和8)年6月29日、第259回介護給付費分科会(分科会長:岩村正彦・東京大学名誉教授)が開催された。当会議では引き続き、令和9年度介護報酬改定に向け各サービスに関する内容を検討。在宅系サービス(訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、居宅介護支援・介護予防支援、福祉用具・住宅改修)について活発な議論が交わされた。

 2026(令和8)年6月29日、第259回介護給付費分科会(分科会長:岩村正彦・東京大学名誉教授)が開催された。当会議では引き続き、令和9年度介護報酬改定に向け各サービスに関する内容を検討。在宅系サービス(訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、居宅介護支援・介護予防支援、福祉用具・住宅改修)について活発な議論が交わされた。

訪問介護

 訪問介護は、訪問介護員等が利用者の居宅を訪問し、入浴、排せつ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除等の家事等を提供するサービスで、その内容に応じて、身体介護、生活援助、通院等乗降介助の3類型に区分される。請求事業者数は微増、利用者数は増加傾向にあり、要介護度1と2の利用者が全体の約6割を占める。要介護度が高くなるほど身体介護を中心に利用する人の割合が高いのが特徴である。収支差率を見ると令和6年度決算で9.6%であった(全サービスの平均は4.7%)。

 令和6年度介護報酬改定(前回改定)では、重度者へのサービス提供、中山間地域でのサービス提供を評価するため、特定事業所加算の見直しを行った。また、同一建物減算(利用者の一定割合以上が同一建物に居住するサービスの場合)として12%減算の新たな枠を設けている。

 令和9年度介護報酬改定(今回改定)における論点としては、訪問介護事業所の収支差率において、全国平均の多寡を見るのではなく、サービスの特性を踏まえた丁寧な検討が必要とされた点である。前回改定でマイナス改定となった訪問介護事業所の維持継続について、委員より多くの意見が示された。訪問介護員の人員不足は大きな課題で、安定したサービス提供体制の整備が求められた。各委員から次のような意見が出された。

・前回改定で平均収支差率の数字のみを根拠に議論が進み、マイナス改定となった。そのため小規模事業所の運営が厳しくなり限界に達している。事業所の特性をきめ細かく分析し、実態に即した慎重な議論を望む。

・在宅生活を送るにあたり、最も重要な介護サービスの類型であって、要介護者やその家族が安心して暮らすための大切なインフラ。目先の社会保障費抑制のためにサービス自体を壊してしまうことがないように願う。

・中小や地域密着型の訪問介護事業所が協働して事業を継続することを国として支援していくことが必要ではないか。

訪問入浴介護

 訪問入浴介護は、利用者が可能な限りその居宅で自立した生活を営めるように、入浴援助を行うことで身体の清潔を保持し、心身機能の維持等を図ることを目的とするサービス。請求事業所数は減少しており、利用者数も減少傾向にある。平均要介護度は4.2と高く、3以上の人が約9割を占める。令和6年度決算で収支差率は5.3%であった。

 前回改定において、看取り期にある利用者へのサービス提供を評価するため看取り連携体制加算を新設したほか、認知症専門ケア加算についても利用者の受け入れに関する要件の見直しを行っている。サービス状況は、燃料費の高騰や人員不足、利用者の減少等による廃業が1.8%であり、要介護度5の利用者も多いことから、急な容態変化によるキャンセルも多い。医療的ケアの提供を受けている人は全体の約66%を占める。

 今回改定にあたり、重度者や医療と介護の複合ニーズを有する高齢者への対応が求められるなか、安定的なサービス提供体制の整備が論点となっており、各委員から次のような意見が出された。

・深刻な人手不足のなか、訪問派遣職員やスポットワーカーなど多様な働き手を組み合わせたサービス提供が行われている。サービス提供体制強化加算の健康診断要件を満たしていなかった派遣元があったために加算取り下げや返還を求められた事業所もある。

・今後短期人材をより活用していくために、健康診断を受ける機会の確保等に関する明確な基準を定めることが重要になる。

訪問看護

 疾病や負傷により継続して療養を受ける状態の利用者に対し、療養上の世話や必要な診療の補助を居宅において看護師等が行うサービス。利用者は年齢や疾患、状態によって医療保険または介護保険が適用される(介護保険の給付が優先)。訪問看護ステーションの事業所数は年々増加しており、法人種別で見ると医療法人と営利法人が多く、特に営利法人の事業所数の増加が著しい。利用者数も増加している。令和6年度決算で収支差率は10.3%。2040年に向け訪問看護の需要は増えると予測される。

 前回改定においては、看取り対応の強化としてターミナルケア加算の評価の見直し、24時間対応体制の充実、理学療法士等による訪問看護の減算が行われた。

 今回改定では、医療ニーズの高い在宅療養者が増加しているなか、緊急対応体制や関係機関との連携が求められているが、より質の高い訪問看護サービスを効果的・効率的に提供する事業所をいかに評価するかが論点となる。各委員から次のような意見が出された。

・単身高齢者が増える状況下、軽症や中等症の救急搬送が増えている。訪問看護による予防ケアの機能に着目して要介護度にかかわらず必要なときに訪問看護が入れるように環境整備を検討する必要があるのではないか。

・医療ニーズの高い在宅療養者が増加しているなかで、入院加療後の在宅療養支援として円滑な移行ができるように訪問看護の体制を整えて評価する必要がある。医療保険では体制強化の評価の枠組みがあるが、介護保険においても同様の枠組みをつくるべきではないか。

訪問リハビリテーション

 訪問リハビリテーションは、居宅において利用者の心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるためのリハビリテーションを行うサービス。請求事業所数は増加傾向にあり、利用者数も年々増えている。なかでも要支援1、2の人が多く、要介護3?5は減少傾向にある。令和6年度決算の収支差率10.8%であった。

 前回改定で、医療機関のリハビリテーション計画書受け取りの義務化、認知症短期集中リハビリテーション実施加算の新設を行った。認知症リハビリテーションの推進やリハビリテーションにおけるアウトカム評価のあり方、診療未実施減算に係る検証について各方面からの意見を整理中である。

 今回改定は、リハビリテーションの実施内容やリハビリテーションマネジメントの実施状況を踏まえ、サービス提供内容をどうしていくかが論点となる。各委員から次のような意見が出された。

・IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作。調理・買い物・金銭管理など自立した社会生活を営むための複雑な動作)あるいは社会参加に資するリハビリテーションを推進するための評価が重要である。

・認知症短期集中リハビリテーション実施加算では、対象利用者把握のために認知症カフェを企画する地域包括支援センターや居宅介護支援事業所等との連携が促進されるような取り組みも検討してはどうか。

・実施時期については、随時必要なときに提供できるように見直すべきではないか。

居宅療養管理指導

 医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士等が、通院が困難な利用者の居宅を訪問して、療養上の管理・指導を行うサービス。請求事業所数は増加傾向で推移しており、令和7年度で5万件に達しており、利用者数も増加している。前回改定後の各職種別の算定回数推移を見ると、医師、薬局の薬剤師、管理栄養士の回数が多くなっている。

 それぞれの職種によりサービス内容がさまざまで課題も多岐にわたるが、共通して言えるのは、利用者の療養の場に応じた職種ごとの専門性をいかに発揮できるか、多職種でどう連携するかが論点である。各委員から次のような意見が出された。

・栄養介入の必要性がないと判断された人たちのなかに低栄養、もしくはその恐れのある人が含まれるという点は注目したほうがよいのではないか。

・日常的に低栄養の予防事業や医療と介護の栄養連携等を通じて、管理栄養士を中心とする多職種が栄養スクリーニングを行い、医師による迅速な指示につなげていくようなタスクシフト、タスクシェア型の制度設計が必要ではないか。

居宅介護支援・介護予防支援

 居宅介護支援は、居宅の要介護者の居宅サービス計画書を作成し、計画に基づくサービス提供が確保されるようサービス事業者との連絡調整を行う。また、介護保険施設等への入所が必要な場合における紹介等を行う。事業所ごとに常勤の介護支援専門員を配置。管理者は主任介護支援専門員を置く(令和9年3月末まで猶予措置あり)。介護予防支援は、居宅の要支援者が介護予防サービスを利用するための介護予防ケアプアンを作成する。

 請求事業所数は、居宅介護支援の場合、平成30年度をピークに減少傾向。利用者は増加。事業所あたりの利用者が増加している。介護予防支援は、令和6年4月より居宅介護支援事業者が指定を受けて実施できるようになり増加した。居宅介護支援の令和6年度決算の収支差率は6.3%であった。

 前回改定において、特定事業所加算の見直し、オンラインモニタリングの導入、ケアプランデータ連携システムの推進、入院時情報連携加算における評価の見直しが行われている。

 今回改定での論点は、担い手不足解消と生産性向上で、主任介護支援専門員の管理者要件も話し合われる予定。各委員から次のような意見が出された。

・居宅介護支援事業所のターミナルケアマネジメント加算は、前回改定で必要な算定回数が15回以上に変更されている。しかし事業所の規模により対応する回数に限度があるため、そのことを考慮に入れて、算定回数を再検討してはどうか。

・本来は介護予防に重点を置き、重度化を防止すべきであるが、居宅介護支援事業所が介護予防支援の指定を受けて実施するには、報酬面でインセンティブが働きにくい状況がある。

・ケアマネジャーの人材不足は深刻。さらなる処遇改善を行うべきではないか。

福祉用具・住宅改修

 要支援者・要介護者の日常生活の便宜を図るための用具及び機能訓練のための用具で、居宅要介護者等の日常生活の自立を助けるためのものを対象としている。請求事業所数は、おおむね横ばいの状況、利用者については増加傾向にある。貸与の保険給付額を見ると、要介護2以下の比較的軽度者が7割弱(66%)を占める。販売については近年増加傾向にある。貸与の令和6年度決算の収支差率は5.4%であった。

 住宅改修は、福祉用具導入の際に必要となる段差の解消や手すりの設置などを保険給付の対象としている。保険給付の費用はここ数年横ばいとなっており、要介護2以下の人が約8割を占める。

 前回改定では、一部の福祉用具を対象に貸与と販売の選択制を導入した。また、対象用具の選定にあたっては、福祉用具専門相談員は利用開始後6ヵ月以内にモニタリングを行って、その記録を介護支援専門員に交付することを義務付けている。

 今回改定においては選択制運用のあり方や上限価格の仕組みの検討に加え、福祉用具を適時適切に利用者に提供するにはどうしたらよいかが論点になっている。各委員から次のような意見が出された。

・福祉用具貸与の上限価格の仕組みにより減額を余儀なくされている商品数が88.7%あり、物価上昇を勘案した見直しの検討が必要ではないか

・住宅改修の支給限度額についても基準額の引き上げを検討してはどうか。

・福祉用具専門相談員の業務を適切に評価するとともに処遇改善加算を検討してはどうか。


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