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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2026年08月27日

【厚生労働省】第260回 社会保障審議会 介護給付費分科会(令和8年7月9日)

収支差率が低迷する施設系サービスでは
基本報酬の引き上げや加算の見直し等が求められる

 2026(令和8)年7月9日、第260回介護給付費分科会(分科会長:岩村正彦・東京大学名誉教授)が開催された。前回に引き続き、令和9年度介護報酬改定に向けて施設系サービスに関する内容を検討した。介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、特定施設入居者生活介護について建設的な論議が交わされた。

 2026(令和8)年7月9日、第260回介護給付費分科会(分科会長:岩村正彦・東京大学名誉教授)が開催された。前回に引き続き、令和9年度介護報酬改定に向けて施設系サービスに関する内容を検討した。介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、特定施設入居者生活介護について建設的な論議が交わされた。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

 介護老人福祉施設は、要介護高齢者のための生活施設で、入浴、排せつ、食事等の介護やその他日常生活の世話、機能訓練や健康管理及び療養上の世話を行う。多床室とユニット型個室の2類型がある。新規入所者は要介護3以上の高齢者に限定されているが、やむを得ない事情、あるいは地域の実情を踏まえて要介護1、2の利用者でも特例入所が認められている。

 請求事業者数、利用者数はゆるやかに増加傾向にある。介護老人福祉施設の入所者の平均要介護度は3.92、令和6年度決算の収支差率は1.4%である。食事、居住費の負担軽減となる補足給付の対象となる低所得者が全体の6割を占めている。

 令和6年度介護報酬改定(前回改定)では、透析が必要な人に対する特別通院送迎加算の新設、協力医療機関に関する要件の見直し、感染症対応力の向上、経過的小規模介護老人福祉施設は一体的運営施設の基本報酬に統合が行われている。要件を満たす協力医療機関を定めている介護老人福祉施設は全体の67.9%と介護老人保健施設や介護医療院に比べやや低い状況、感染症対策向上加算を算定していない介護老人福祉施設は約7割を占めていることがその後の調査研究等で明らかになっている。

 令和9年度介護報酬改定(今回改定)における論点として、今後も中重度の高齢者が増加することが見込まれるなか、入所者のニーズに応え安定的なサービスを提供するにはどうしたらよいか。また、前回改定の審議報告を踏まえ、特別な基本報酬を算定しているサービス類型の報酬についてどう考えるかがあげられている。各委員から次のような意見が出されている。

・令和6年度の老健事業「特別養護老人ホームにおけるサービス提供のあり方に関する調査研究事業」で、同施設は対応できる人数に上限があり、入所を断る医療処置のケースが、胃ろう・腸ろうの管理、血糖値測定とインスリン注射、痰の吸引、導尿の順であげられている。これらの人たちへの受け入れ対応の課題は、夜間に対応可能な看護職員の人員配置である。現行の看護体制加算では単位数が低い。

・中重度の入所者が増えるなかで、介護福祉士など専門性の高い人材を常勤雇用することがポイントだが、現状は雇用の多様化が進み、フルタイムでなく短時間勤務あるいは夜勤専従の人材も増えている。こういった実態を調査等で把握し、明らかにしたうえでどう対策していくかが重要である。

・透析が必要な人に対する送迎評価として、特別通院送迎加算が創設されているが、加算の取得率を見ると低調である。医療機関の少ない地域も含め理由を詳しく分析したうえで、算定要件を緩和するなど改善策が必要ではないか。

介護老人保健施設

 介護老人保健施設は、心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要な要介護者に対して、施設サービス計画に基づき、看護、医学的管理のもと、介護及び機能訓練、その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行う施設である。

 請求事業所数、利用者数ともに平成30年以降わずかに減少傾向で、要介護3以上の利用者が全体の約7割を占める状況である。令和6年度決算の収支差率は0.6%であった。

 前回改定において、協力医療機関との連携体制の構築にあたり、関連加算の拡充、ターミナルケア加算の見直し、高齢者施設等感染対策向上加算の新設、新興感染症等施設療養費の新設、認知症短期集中リハビリテーション加算の見直し、リバビリテーション(機能訓練)・口腔・栄養の一体的取り組みの推進に関する諸加算の拡充・新設、退所時栄養情報連携加算の新設等が行われた。

 審議報告では、リハビリテーションにおけるアウトカム評価のあり方についての具体的評価方法のさらなる検討と、LIFE活用も含めた報酬上の評価についての検討の必要性、在宅復帰・在宅療養支援機能の促進、ユニットケアの質向上、普及促進についての意見があげられている。

 今回改定における介護老人保健施設の主な論点としてあげられたのは、医療・介護の複合ニーズ等を抱える高齢者の増加が見込まれるなか、安定的サービス提供体制の整備、医療ニーズへの対応強化、看取り対応の充実、適切な薬剤調整の推進等の観点から、在宅復帰・在宅療養支援機能促進に向けた方策をどう考えるかである。各委員から次のような意見が出されている。

・在宅復帰・在宅療養支援の機能強化に向けて、評価指標の取得状況も踏まえながら、見直しを図るべき。

・医療ショートを実施している施設に関しては、検査、処置、内服薬の持ち出しを含み評価する必要性がある。

・数年間リピート入所ののち介護老人福祉施設に入るケースも多く見られる。その際には在宅復帰率には含まれない。ところが病院からの退院先としては在宅と位置付けられている。このダブルスタンダードの是正を検討してはどうか。

・在宅復帰・在宅療養支援の6項目のうち、経管栄養実施割合が低いが、現実として経管栄養の入所者が減ってきている。この項目に関して実態に則した見直しを行ってはどうか。

・収支差率は全サービスにおいて際立って低い状況にある。今回改定において大幅な基本報酬、基本施設サービス費の引き上げが必要である。

介護医療院

 介護医療院は、主として長期にわたり療養が必要な要介護者に対して、施設サービス計画に基づき、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。

 請求事業者数、利用者数に関しては増加傾向にあり、要介護度別利用者の割合は、要介護4以上が8割を占める。令和6年度決算の収支差率は3.5%であった。

 前回改定においては、協力医療機関との連携体制の構築が求められ、協力医療機関連携加算の新設、看取り対応の充実、高齢者施設等感染対策向上加算の新設、新興感染症施設療養費の新設、認知症チームケア推進加算の新設、長期療養生活移行加算の廃止等が行われた。

 審議報告では、医療の必要な要介護者の長期療養施設としてさらなる機能強化を図るための対応を検討していく必要性、慢性期医療のニーズを有する人の受け入れ、高齢者の入院・退所後を支える役割を担うことが求められている。

 今回改定の論点として、医療・介護の複合ニーズを抱える高齢者が増えるなか、安定的サービスを提供するための体制整備、長期療養が必要な利用者に対する生活施設としての機能を兼ね備えた場所として医療ニーズへの対応、看取り対応、医療と介護の切れ目ない連携を行い、引き続き必要な医療と介護を提供することがあげられた。各委員から次のような意見が出されている。

・物価高騰や人件費の増加を理由に廃止に追い込まれる施設も出てきている。特にサービス資源の少ない離島・中山間地域においては重要な機能を果たしている。これ以上廃止施設が増えないためにも基本報酬の引き上げが必要ではないか。

・介護テクノロジーの導入が介護老人福祉施設、介護老人保健施設に比べて進んでおらず58%にとどまっている。進まない理由を精査してはどうか。

・ターミナルケアや看取りの評価をより検討すべきではないか。

特定施設入居者生活介護

 特定施設入居者生活介護は、特定施設に入居している要介護者を対象に提供される日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話を行うサービスである。特定施設の対象となるのは、有料老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、養護老人ホームである。一般型と異なり、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護もある。これは、特定施設の事業者から委託を受けた指定居宅サービス事業者が、介護その他日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話を行うものである。一般に「介護付き」有料老人ホームと呼ばれている。

 請求事業者数、利用者数に関しては増加傾向、入居者の平均要介護度は特定施設で2.7、地域密着型特定施設で2.8ある。令和6年度の収支差率は、特定施設で5.3%、地域密着型特定施設で0.4%であった。

 前回改定において、協力医療機関との連携体制構築について要件を満たす医療機関を定めることが努力義務となっている。審議報告ではこの点に関し、原則入院できる体制確保も含め、協力医療機関との連携義務化に向け引き続き検討を行うことが求められた。また、住宅型有料老人ホームにおけるサービスが特定施設と変わらない場合は移行を促すことも盛り込まれている。

 今回改定に向けた論点では、協力医療機関との連携のあり方も含め、医療ニーズへの対応強化をどう図るか、入居者の尊厳を保持し自立支援に資するケアを推進するにはどのような方策があるか、有料老人ホームにおける囲い込み対策も含め運営の透明性の確保の観点から、外部サービス利用型の活用も含め特定施設への移行促進をいかに行うかについてあげられた。各委員から次のような意見が出されている。

・住宅型有料老人ホームでは中重度の利用者や医療ニーズを有する高齢者が増えている。入居者の安全・安心を確保する意味でも特定施設への移行を促す必要性を感じる。

・移行への促進は重要だが、一方で1月あたりの利用料は特定施設のほうが高いケースも多い。住宅型有料老人ホームに入居する身寄りのない認知症高齢者や低所得者の行き場がなくなることがないよう、十分な議論と配慮、適切な対応が必要になる。

・事業者に対しても、特定施設移行へのメリットをきちんと示していくことが重要。

・特定施設における看護師の人員配置が薄い状況にあるので、見直しが必要か。


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