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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2026年08月27日

【厚生労働省】第261回社会保障審議会 介護給付費分科会(令和8年7月23日)

人口減少地域の介護サービス維持へ
約2割の保険者ですでに在宅サービスのピークを迎えている

2026(令和8)年7月23日、第261回介護給付費分科会(分科会長:岩村正彦・東京大学名誉教授)が開催された。今回の分科会のポイントとしては次の4点があげられる。
・人口減少やサービス需要の変化に応じた介護サービス提供体制を議論。
・在宅サービスは313保険者(19.9%)ですでに利用者数のピークを迎えている。
・中山間・人口減少地域で「特定地域サービス」を令和9年4月から創設。
・配置基準の弾力化と、訪問介護の包括的な評価の仕組みを検討。

 2026(令和8)年7月23日、第261回介護給付費分科会(分科会長:岩村正彦・東京大学名誉教授)が開催された。今回の分科会のポイントとしては次の4点があげられる。

・人口減少やサービス需要の変化に応じた介護サービス提供体制を議論。

・在宅サービスは313保険者(19.9%)ですでに利用者数のピークを迎えている。

・中山間・人口減少地域で「特定地域サービス」を令和9年4月から創設。

・配置基準の弾力化と、訪問介護の包括的な評価の仕組みを検討。

在宅サービス、約2割ですでに利用者数ピーク

 人口が減る地域で、必要な介護サービスをどう維持するか。令和9年度介護報酬改定に向けた大きな課題となる。全国的に見れば、在宅、施設サービスとも利用者数は2040年にピークを迎える見込みである。一方、地域別にみると様相は大きく異なる。

 第9期介護保険事業計画によると、在宅サービスではすでに2024年までに313保険者(19.9%)で利用者数が最大となっている。2035年までには906保険者(57.6%)がピークを迎える見込み。施設サービスでも2024年までに256保険者(16.3%)、2035年までには762保険者(48.4%)がピークを迎える。

事業者の撤退、訪問介護の「空白地域」も

 一方で、2040年に向けて85歳以上人口の増加と生産年齢人口の減少が進む。地域によって高齢化・人口減少のスピードには大きな差がある。すでにサービス提供体制の維持が難しくなっている地域もある。本分科会では、町村で介護事業者の撤退が進んでいるとの発言があったほか、「全国には訪問介護事業所が存在しない地域が約200か所ある」との指摘もあった。この委員からは、新たな事業所をつくるだけでなく、介護老人福祉施設や介護老人保健施設など既存の社会資源を生かして、訪問介護を補完する発想が必要との意見が出された。

 こうした人口減少・サービス需要の変化に対応するため、新たに創設する「特定地域サービス」の人員配置基準や報酬のあり方を議論した。前回(令和8年7月9日開催の第260回介護給付費分科会)までに各サービスについて一通り議論しており、今回から分野横断的なテーマの検討に入ったことになる。

「特定地域サービス」で提供体制を柔軟に

 特定地域サービスは、令和8年6月に成立した社会福祉法等の改正によって創設され、令和9年4月に施行される。対象となる特定地域の具体的な基準は今後省令で定める。

 中山間・人口減少地域では、高齢者人口が減少する一方、生産年齢人口の減少によって介護人材の確保も難しくなっている。特に訪問介護では、利用者の事情による突然のキャンセルや利用者宅間の移動負担、季節による繁閑などから、年間を通じた安定的な経営が難しく、サービス基盤の維持が課題になっている。

 新たな仕組みでは、介護(予防)給付として「特定地域サービス」を創設し、市町村に登録した事業者について、人員配置基準の弾力化や月当たり定額報酬による包括的な評価を選択できるようにする。あわせて、地域支援事業として「特定地域居宅サービス等事業」も創設する。市町村が介護保険財源を活用し、通常の訪問エリアを超えたサービス提供に伴う移動経費なども含めて事業者に事業費を支払う。既存のサービス事業所の機能を活用して訪問サービスを確保することなども想定されている(図表)。


図表:厚生労働省「特定地域サービス、特定地域居宅サービス等事業の創設」

特定地域サービス、特定地域居宅サービス等事業の創設

※厚生労働省「第261回社会保障審議会介護給付費分科会」資料1・10頁

配置基準をどこまで柔軟にするか

 第261回介護給付費分科会の中心的な論点の一つが、人員配置基準の弾力化である。

 厚生労働省は、特定地域サービスについて、人材確保が極めて厳しく、サービスの維持がすでに困難な中山間・人口減少地域に特化した対応と説明。職員の負担やサービスの質の確保に配慮しつつ、事業所間の連携やICT機器の活用などを前提として、管理者や専門職の配置基準を弾力化する方向を示した。

 委員からも、常勤・専従要件や専門職の配置を柔軟にする必要性を指摘する意見が相次いだ。一方、「単に人材不足を補う対応」となれば職員負担の増大やさらなる人材流出につながりかねないとの指摘や、ICTは職員を代替するものではないとして慎重な制度設計を求める意見も出た。

 サービスの質を確保するため、自治体やケアマネジャー、地域関係者など「外部の目」が入る仕組みも検討する。夜勤要件については、見守りICT機器の活用状況などを踏まえてさらに議論する。

訪問介護、月当たり定額報酬も選択肢に

 もう一つの柱が、訪問介護の「包括的な評価」である。

 中山間・人口減少地域では、利用者宅が広範囲に点在し、移動時間や移動コストが経営の負担となる。調査でも、訪問回数400回以下の事業所では、中山間・離島等で収支差率がマイナスとなる割合が高い傾向が示されている。

 厚生労働省は、こうした地域の個別訪問型事業所を念頭に、移動コストへの対応を含め、経営の健全性を高める報酬設計を検討する。特定地域サービスでは、現行の出来高払いとは異なる月当たりの定額報酬による包括的な評価を選択できる仕組みが想定されている。

 ただし、定額化すれば、必要なサービス提供を控えるなどの「モラルハザード」への対応も必要になる。このため、利用回数や利用形態などを考慮した複数段階の報酬設定や、自治体、ケアマネジャーなど外部の目による確認の仕組みが論点となった。

 委員からは、移動時間や突然のキャンセル、降雪、離島での移動などを報酬に反映するよう求める意見が出た一方、必要なサービス量の確保や利用者負担、保険料への影響を慎重に検討すべきとの指摘もあった。

通所系への加算拡大を求める意見も

 現行の中山間地域等に対する介護報酬上の加算についても議論になった。

 現在は、離島や振興山村などの事業所を15%評価する「特別地域加算」、「中山間地域等の小規模事業所加算」(10%評価)、「中山間地域等に居住する利用者へのサービス提供加算」(5%評価)などが設けられている。

 委員からは、現行の加算を取得していない事業所について、その理由を分析すべきとの意見があった。また、長距離の送迎など同様の負担を抱えながら、特別地域加算などの対象となっていない通所系サービスにも評価を広げるよう求める意見が複数出された。

 厚生労働省は今後、中山間・人口減少地域の事業所の収支状況や職員配置、移動時間・距離、利用者の状況などを調査する。その結果も踏まえ、配置基準の弾力化、包括的な評価、中山間地域等への加算の具体的なあり方を検討していく。


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