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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2026年08月27日

【厚生労働省】第5回障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会(令和8年6月30日)

「施設待機者」から本人が望む暮らしの把握へ。強度行動障害のある人も支える「居住支援」を議論

【今回の検討会のポイント】
・障害者支援施設の待機者について、自治体による把握方法を報告
・施設入所だけでなく、グループホームや一人暮らしを含めた本人の居住ニーズを議論
・地域移行から地域生活の維持までを一体的に捉えた「居住支援」を検討
・居住支援法人「あんど」が、強度行動障害のある人などの地域生活を支える実践を紹介

【今回の検討会のポイント】

・障害者支援施設の待機者について、自治体による把握方法を報告

・施設入所だけでなく、グループホームや一人暮らしを含めた本人の居住ニーズを議論

・地域移行から地域生活の維持までを一体的に捉えた「居住支援」を検討

・居住支援法人「あんど」が、強度行動障害のある人などの地域生活を支える実践を紹介

待機者数だけでは見えないニーズ
「施設に入りたい」のは誰なのか

 厚生労働省は令和8年6月30日、第5回「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」を開催した。今回は、自治体における障害者支援施設の待機者の把握方法を報告するとともに、地域移行や地域生活を支える「居住支援」について議論した。

 令和6年度の調査(令和6年度障害者総合福祉推進事業「障害者の地域支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る調査研究」)では、都道府県、指定都市、中核市の129自治体のうち、施設待機者を「把握している」「一部把握している」としたのは80自治体だった。

 把握方法は大きく、施設事業者等が入所申請を受けて待機者名簿を作成する方法と、市町村が申請を受け、本人や介助者の状況やサービス利用状況などを評価したうえで、調整機関が優先順位を付ける方法に分かれた。ただし、待機者の具体的な定義を設けている自治体は少なく、自治体の規模や施設数なども異なることから、全国一律の方法を示すことには難しさがあるとされた。

 一方、構成員からは、「施設待機者」という人数だけでは本人のニーズを十分に把握できないとの意見が相次いだ。

入所希望理由、「家族が希望」51.1%、
「本人が希望」4.0%

 入所希望理由を把握した過去の調査では、「家族が希望している」が51.1%だったのに対し、「本人が希望している」は4.0%だった。構成員からは、家族介護の限界や地域での生活への不安などを背景に、施設入所を希望しているケースがあることや、ショートステイ、日中活動、相談支援などを充実することで地域生活を継続できる場合もあるとの指摘があった。

 こうした意見を踏まえ、待機者の人数だけでなく、本人がどのような暮らしを希望しているのか、そのためにどのような支援が必要なのかを把握することの重要性が議論された。

施設、グループホーム、在宅を別々に考えない
地域生活を支える「居住支援」へ

 事務局は、障害者支援施設、グループホーム、在宅支援などを個別に捉えるのではなく、地域生活移行から地域生活の維持までを一体的な「居住支援」として検討していく考え方を示した。

 背景には、施設入所者の重度化・高齢化や地域の受け入れ体制不足などにより、地域生活移行者数が伸び悩んでいることがある。また、利用者の希望を踏まえた地域移行の取り組みを実施していない施設が約35%あり、施設入所者のニーズが十分に把握されていない可能性も示されている。

 一方、障害者支援施設については、地域での生活が難しくなった場合の一時的な受け入れや、専門的な支援の地域への還元、緊急時・災害時の地域拠点など、地域生活を支えるセーフティネットとしての役割も検討課題として示されている。

 事務局資料では、本人が望む暮らしを起点に、一人暮らし、グループホーム、障害者支援施設といった住まいの選択肢に、相談支援、訪問系サービス、居住支援、日中活動・就労などを組み合わせ、必要に応じて障害者支援施設の専門性や一時的な受け入れ機能を活用する考え方が整理されている(図)。

 議論では、支援ニーズの高い人への対応も取り上げられた。構成員からは、過去の全国調査で、施設が利用を断る理由として「医療的ケアが必要」「強度行動障害がある」がそれぞれ6割以上だったとの指摘があったほか、重度の障害がある人を地域で支える体制を整備する必要性について意見が出された。

本人が望む暮らしを地域で支えるイメージ

強度行動障害があっても地域で暮らす
居住支援法人「あんど」の実践を紹介

 検討会では、地域生活を支える取り組みとして、千葉県船橋市の居住支援法人「あんど」からヒアリングを行った。同法人は、グループホームなどでも受け入れが難しいとされてきた強度行動障害がある人への住まいの提供などに取り組んでいる。

 報告では、「強度行動障害」「重度知的障害」といった障害の状態だけでなく、本人が好きなことや得意なこと、できることなどに着目して支援する実践が紹介された。住まいについても、地域での活動につながる生活の拠点として捉えているという。

 例えば、噛みつき行動などから受け入れ先が見つからなかった人について、本人が好きで得意だった絵を活かし、その絵をモチーフにしたクッキーを商品化。販売による工賃を得て、希望していた外出につなげた事例が紹介された。

 また、別の事例では、居住支援法人が住まいを提供し、障害福祉サービス事業者による重度訪問介護を組み合わせることで一人暮らしを支援。本人が料理をしたり、地域の活動に参加したりしている様子が報告された。

 ヒアリングでは、一人暮らしやグループホームといった居住形態を先に決めるのではなく、本人が希望する生活を踏まえ、住まいや障害福祉サービス、日中活動などを組み合わせて支援する考え方が示された。

【用語解説】「居住支援法人」は障害福祉にどうかかわる?

 居住支援法人は、住宅の確保に配慮が必要な人の民間賃貸住宅への入居などを支援する法人で、住宅セーフティネット法に基づいて都道府県が指定する。令和8年3月31日時点で全国1167法人が指定されている。

 主な業務は、賃貸住宅への円滑な入居に向けた情報提供・相談、家賃債務保証、入居後の見守りなどで、障害者も支援対象となる。

 障害福祉との関係では、施設やグループホームから地域生活へ移行する際などに、福祉サービスだけでは対応しにくい住まいの確保について、不動産事業者など地域の関係者との橋渡し役を担うことが期待される。

本人が望む暮らしを起点に

 今回の検討会では、障害者支援施設、グループホーム、在宅支援などを個別に捉えるのではなく、地域移行から地域生活の維持までを一体的な「居住支援」として検討する方向性が示された。

 重度の障害がある人の地域生活については、相談支援や訪問系サービス、居住支援、日中活動などを組み合わせるとともに、必要に応じて障害者支援施設の専門性や一時的な受け入れ機能を活用することなどが議論された。

 また、施設入所者についても、本人の地域生活への意向を把握する必要があるとの意見が出された。事務局は、今年度から義務化された地域移行に関する意向確認について、その実施状況を確認していく考えを示した。

 今後は、地域移行や居住支援に取り組む法人へのヒアリングなどを続け、障害者支援施設の役割や地域生活を支える体制について、さらに検討を進める。


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