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2026年08月27日

【厚生労働省】第157回社会保障審議会障害者部会(令和8年7月10日)

意思決定支援ガイドライン第2版案を提示。本人の意思・選好をより重視、現場への浸透も論点に

【今回の検討会のポイント】
・意思決定支援ガイドラインの第2版案を提示
・「本人の最善の利益」の記載を削除し、「意思と選好に基づく最善の解釈」へ見直し
・委員から多様な意見が示され、厚生労働省は内容や発出までのプロセスを改めて検討
・人材確保、生産性向上、経営基盤の確立を障害福祉計画などに位置づけ

【今回の検討会のポイント】

・意思決定支援ガイドラインの第2版案を提示

・「本人の最善の利益」の記載を削除し、「意思と選好に基づく最善の解釈」へ見直し

・委員から多様な意見が示され、厚生労働省は内容や発出までのプロセスを改めて検討

・人材確保、生産性向上、経営基盤の確立を障害福祉計画などに位置づけ

意思決定の主体は、あくまでも「本人」
ガイドラインを9年ぶりに大幅改定へ

 厚生労働省は令和8年7月10日の社会保障審議会障害者部会で、「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(以下、ガイドライン)の第2版案を示した。現行ガイドラインは平成29年3月に策定されており、9年以上を経て大幅に見直す。

 第2版案では、「意思決定の主体」はあくまでも本人であることを「理念・信条」として明示。意思決定支援について、支援者が本人に代わって意思を決めるのではなく、本人が自らの意思、選好、価値観に基づいて意思決定できるよう、環境調整などを通じてその過程を支える取り組みと位置づけた。

「本人の最善の利益」の記載を削除

 大きな変更点の一つが、「the best interest of a person(本人の最善の利益)」の取り扱いである。国連障害者権利委員会の総括所見(令和4年10月)から、本人にとって何が最善かを支援者が判断することで、本人自身の意思や選好よりも他者の判断が優先されるおそれがあるとの懸念が示されたことなどを踏まえ、第2版案ではこの記載を削除した。

 実務上可能なあらゆる支援を尽くしても本人の意思と選好を明確に確認することが困難な場合には、表情や行動の記録、これまでの生活史や人間関係などの情報を踏まえ、根拠を明確にしながら「本人の意思と選好に基づく最善の解釈」を行う考え方に改める。

意思決定支援のプロセスを新たに整理

 また、「どのような障害があっても、本人に意思決定能力があることを前提に意思決定支援を行う」とする考え方を新たに明記。意思決定支援のプロセスについても、本人の選好や価値観に根差した意思の形成を支える「意思形成支援」、本人が意思を障壁なく表明することを支える「意思表明支援」、本人の意思の実現に向けて伴走する「意思実現支援」の3つに整理した。

 支援現場では、本人参加のもとで意思決定支援会議を開き、本人の意思、選好、価値観を確認する。本人のこれまでの生活全体を理解し、意思決定支援の根拠となる情報を記録するとともに、写真や動画、クラウドなどICTツールの活用も想定する。また、障害特性に応じた合理的配慮や情報アクセシビリティの確保、ガイドラインを活用した職員研修なども盛り込んだ(表)。


表:意思決定支援を進めるための主な枠組み

項目 内容
意思決定支援責任者 意思決定支援計画の作成に中心的に関わり、意思決定支援会議の企画・運営などを進める
意思決定支援会議 本人参加のもと、関係者が情報を持ち寄り、本人の意思、選好、価値観を確認する。明確な確認が困難な場合は、「意思と選好に基づく最善の解釈」を試みる
計画作成・サービス提供 本人の意思決定を反映したサービス等利用計画や個別支援計画(意思決定支援計画)を作成し、サービスを提供する
モニタリング・評価・見直し 意思決定支援の状況をモニタリングし、評価・見直しを行う
記録 本人の生活全体を理解し、意思、選好、価値観の状態や変化を記録する。写真・動画、クラウドなどICTツールの活用も検討する
意思疎通・合理的配慮 必要な情報を本人が理解できる形で提供し、障害特性に応じた環境整備やアクセシビリティを確保する
職員の知識・技術の向上 ガイドラインを活用した研修や、意思決定支援に関する事例検討を重ねる
関係者・機関との連携 事業者、家族、成年後見人、その他の関係者等と連携して支援を進める
本人・家族等への説明責任 意思決定支援計画や会議の内容、苦情解決の手順などについて丁寧に説明する

資料:厚生労働省「第157回社会保障審議会障害者部会」資料3の7頁をもとに作成

現場への浸透や表現について意見
内容をさらに精査し、発出へ

 部会では、改定の方向性にはおおむね賛同が示された一方、実際の支援場面でのガイドラインの定着の方策や表現の分かりやすさなどについて多様な意見が出た。

<委員からの主な意見>

○ 相談支援専門員やサービス管理責任者の研修などに位置づけ、事業所内で日々の支援を振り返る機会につなげることが必要。

○ 「意思と選好に基づく最善の解釈」の趣旨が現場に適切に伝わるよう、表現をさらに検討してほしい。

○ 本人が意思を表しやすい環境や、さまざまな生活を体験できる機会を整えるとともに、障害特性に応じた事例や合理的配慮を充実させてほしい。

○ 意思決定支援会議が計画作成の手続きとして形式化せず、本人の意思や選好を丁寧に確認する場となることが重要。

 厚生労働省は、ガイドラインの決定後、自治体や関係団体に事務連絡で周知するほか、今年度、施設・事業所の従業者が学習するための動画コンテンツを作成する予定であることを説明した。

 当初は今回の部会を経てガイドラインを発出することを想定していたが、委員から示された意見を踏まえ、内容をさらに精査するとともに、発出までのプロセスについても改めて検討する考えを示した。

人材確保・生産性向上を障害福祉計画へ
令和9年度から基本指針を改正

 部会ではこのほか、令和8年6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)について報告された。

 改正法では、福祉人材確保のための協議会の設置を都道府県の努力義務とするとともに、生産性向上等に係る協議会の設置を義務化する。また、人材確保や生産性向上、経営改善支援などの取り組みの促進を国・都道府県の責務として位置づける。

 これを受けて基本指針(「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」)も改正し、人材確保、生産性向上、経営基盤の確立などに関する取り組みを、都道府県障害福祉計画・障害児福祉計画の必須記載事項、市町村障害福祉計画・障害児福祉計画の任意記載事項として盛り込む。施行は令和9年4月1日の予定。

 委員からは、人材確保のための協議会を実効性のある取り組みにつなげることや、AIなどを活用した業務効率化への支援を求める意見があった。また、中山間・人口減少地域で地域の実情に応じた配置基準などを導入できる「特定地域サービス」については、サービスの質や地域間の格差にも配慮した運用を求める意見が示された。


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社会保障審議会障害者部会

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