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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2026年08月27日

【厚生労働省】第1回障害福祉分野における人材確保・生産性向上に関する検討会(令和8年7月28日)

障害福祉の生産性向上、ケアの充実と人材確保をどう両立するか
ガイドライン策定へ、実証研究で効果を検証

【今回の検討会のポイント】
・障害福祉分野の生産性向上ガイドラインを今年度策定へ
・約20事業所で実証し、生産性向上の取組や成果を検証
・共通編に加え、訪問・相談、入所・居住、通所、児童のサービス類型別に整理
・人材確保・定着や当事者目線でのケアの充実も重要な論点に

【今回の検討会のポイント】

・障害福祉分野の生産性向上ガイドラインを今年度策定へ

・約20事業所で実証し、生産性向上の取組や成果を検証

・共通編に加え、訪問・相談、入所・居住、通所、児童のサービス類型別に整理

・人材確保・定着や当事者目線でのケアの充実も重要な論点に

生産性向上ガイドラインを今年度策定へ
約20事業所で実証し、成果の評価方法も検討

 厚生労働省は、令和8年7月28日に第1回「障害福祉分野における人材確保・生産性向上に関する検討会」を開催した。

 この検討会では、人材確保が厳しさを増すなか、障害福祉サービスの質を維持・向上していくため、生産性向上の具体的な進め方を検討する。今年度は約20事業所で実証研究を行い、その成果を踏まえて「障害福祉分野における生産性向上ガイドライン」を策定する予定である。

 また、令和8年6月に成立した社会福祉法等改正法では、人材確保や生産性向上等の取組を国・都道府県の責務として位置づけた。今回の検討は、こうした制度改正を踏まえ、障害福祉現場での取組を具体化していく意味も持つ。

 実証では取組や成果の評価方法も検討し、令和9年度障害福祉サービス等報酬改定の検討に資する調査・分析とすることも念頭に置く。

「生産性向上」をどう捉えるか
Why・What・Howで共通認識を整理

 厚生労働省は昨年度、障害福祉分野で生産性向上を進めるに当たり、関係者が共有できる「考え方の土台」を整理した。

 背景には、「生産性向上」が単なる効率化や人員削減と同義に受け取られないよう、障害福祉で何のために取り組み、何を目指し、どう進めるかについて共通認識をつくる必要があった。

 そこで、「なぜ必要なのか(Why)」「何を目指すのか(What)」「どのように進めるのか(How)」という3つの視点を示し、支援や人を減らすのではなく、障害福祉固有の多様性などを踏まえ、当事者視点に立ったケアの充実につなげる取組であることを明確にした(表1)。


表1:障害福祉における生産性向上の基本的な考え方

視点 基本的な考え方
Why なぜ必要か 各法人・事業所が「あるべき姿」を実現し、当事者視点に立った「ケアの充実」につなげる
What 何を目指すか 支援者一人ひとりの力を引き出し、チームでその力を利用者に届けることで、新たな価値を生み出す
How どう進めるか 「人」を大切にし、共感、課題の見える化、解決策の検討、実践、振り返りのステップで進める

資料:厚生労働省「第1回障害福祉分野における人材確保・生産性向上に関する検討会」資料2(3頁)をもとに作成


 今回の意見交換でも、複数の構成員から「生産性向上」という言葉が効率化や省力化を優先するものと受け取られかねないとの指摘があった。その一方で、生産性向上によって生まれた時間や余力を、ケアの充実や職員の育成にどうつなげるかも論点となった。

業務時間の短縮だけでなく
その先の「ケアの充実」をどう測るか

 構成員からは、ICTやテクノロジーの導入による業務時間の短縮だけでは、生産性向上の成果を十分に捉えられないとの指摘があった。実証では、利用者と向き合う時間、職員が支援を振り返る機会、専門性の向上、チーム内のコミュニケーションなどを捉え、その変化が利用者への支援の充実にどうつながったかまで検証する必要があるとの意見が出た。

 事務局も、時間や業務負担の削減だけでなく、その先の「ケアの充実」を見ることが重要との認識を示し、アンケートに加えてヒアリングも行う方針である。

人材確保を生産性向上と一体で捉える
法人運営や育成・定着も検討課題に

 人材確保も、今回繰り返し挙げられた課題である。

 構成員からは、人手不足による事業所の休止・閉鎖や、人材紹介会社への高額な手数料、採用後の早期離職など、人材確保・定着をめぐる厳しい実情が紹介された。

 また、法人本部の採用・育成・労務管理機能や経営層の関与の重要性も指摘された。生産性向上で生み出した時間や余力を職員の育成や支援の振り返りに充て、人材の定着や支援の質の向上につなげる必要があるとの意見もあった。経営者と現場職員では必要な情報や働きかけが異なるため、それぞれに応じた情報発信の工夫も求められた。

 厚生労働省は今年度、仕事の魅力に関する戦略的な広報や、都道府県によるワンストップの支援体制づくりなども進める予定であり、これらの取組についても検討会で報告するとしている。

事業所側の評価だけでよいのか
本人が感じる支援の変化をどう捉えるか

 構成員からは、言葉で意思を表しにくい人を含め、利用者本人が支援の変化をどのように感じているのかをどう把握し、評価に反映するかという課題が提起された。

 本人と家族では支援に対する受け止めが異なる場合もあることから、誰の評価をもって「ケアが充実した」と判断するのかも論点となる。

 事務局は、事業所側の変化だけでなく、当事者がどのように感じているのかを捉える必要性を認め、ヒアリングなどを通じて深掘りしていく考えを示した。

 また、厚生労働省はガイドライン策定に当たり、当事者団体等への書面調査を行い、その結果を第2回検討会で報告する予定である。

全サービスを、共通編と4類型に整理
支援内容や業務特性を踏まえ具体化へ

 ガイドラインは、全サービスに共通する考え方や取組を「共通編」として整理した上で、支援内容やサービスの特性を踏まえ、@訪問系・相談支援系、A施設入所系・居住支援系、B通所系、C児童系の4類型別に具体化する方向が示された(表2)。

 類型化では、「省力化が可能な業務」という観点を重視する。児童系は、保護者支援など支援内容や取組に異なる要素があることから、別類型として整理する。

 実証では、記録・請求業務やスケジュール作成など、サービス横断で取り組みやすい業務や属人化しやすい業務、人材確保への影響が大きい業務をテーマに、介護テクノロジー等の導入前後の変化を検証する。


表2:生産性向上ガイドラインの構成イメージ

構成 主な対象
共通編 障害福祉事業所に共通する事項
サービス類型別  
 @ 訪問系・相談支援系 訪問系サービス、相談支援など
 A 施設入所系・居住支援系 施設入所支援、共同生活援助など
 B 通所系 日中活動、就労支援など
 C 児童系 @ 〜 B類型とは別に、保護者支援などの特性も考慮

資料:厚生労働省「第1回障害福祉分野における人材確保・生産性向上に関する検討会」資料2(28頁)をもとに作成


 今後は、第2回で当事者団体等から寄せられた意見を報告し、第3回でガイドライン共通編の暫定版、第4回で実証研究の結果と各サービス編の暫定版を検討する。12月頃には社会保障審議会障害者部会とこども家庭審議会障害児支援部会でガイドライン暫定版を審議し、令和9年2月頃の第5回で今年度の取組を最終報告する見通しである。その後、3月を目途に生産性向上推進フォーラムでガイドライン等を全国に周知する。

 業務の効率化にとどまらず、その成果がケアの充実や人材の育成・定着、当事者本人が感じる支援の変化にどうつながったかを、どのように評価するかが今後の焦点となる。


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