福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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| 主な論点 | 検討の方向性(要旨) |
|---|---|
| 1.持続可能なサービス提供体制の確保 | 物価高への対応と処遇改善で担い手を確保し、業務の効率化を利用者へのケアの充実につなげる。 |
| 2.希望する地域等での生活の支援や多様なニーズへの対応 | 本人が望む暮らしを選べるよう、相談支援体制や重度の障害のある人の受入体制を整え、障害児と家族への支援を充実させる。 |
| 3.サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保 | 質の高い支援に資源が届くよう、支援の実態に応じて報酬を見直し、不適切な事業運営への対応を強める。 |
| 4.地域差や人口減少への対応等 | 地域区分や国の費用負担を検討し、人口減少地域でもサービスを維持できる職員配置・報酬の仕組みを探る。 |
※厚生労働省・こども家庭庁「資料2 令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」pp1〜9をもとに作成。論点は今後の議論で変更される場合がある。
支援の質をどう評価するか
重度の障害のある人が排除されない仕組みを
支援の質を報酬に反映する方法について、アドバイザーから次の意見が出た。
○成果を重視しすぎると、改善が見込める障害のある人の受入れが優先されかねない。重度の障害のある人などが排除されない評価が必要である。
○強度行動障害のある人の受入れを増やすとともに、地域での活動を通じて本人の生活の質を高める支援を評価することが重要である。
○時間や工賃だけでなく、日々の本人への関わり、関係機関との連携、地域への貢献も評価してほしい。
法人内部の運営管理と外部の指導監査を強める意見もあがり、グループホームでは、指定・運営基準や支給決定の仕組みが支援の質につながっているか、検証を求める声があった。
就労継続支援B型では、一部の事業所で短時間の作業でも高い工賃が得られるため、一般就労を目指せる人もB型の利用を続けている可能性が指摘された。利用者の工賃水準に応じて事業所への報酬を評価する仕組みの見直しが求められた。就労支援全般では、医療や障害者雇用施策と連携し、本人の希望・能力に応じた就職と就職後の支援につなげる意見もあった。
処遇改善と採用後の育成を重視
重度の障害のある人を支える人員体制も課題
人材確保では、福祉分野を志す若者が減っているとの声があり、全産業の平均との賃金差を縮め、職員が安定して暮らせる見通しを示す必要があるとの意見があった。
職員育成では、資格の有無だけで判断せず、多様な経験を生かし、採用後の研修を重視すべきとの意見があった。人材紹介会社の紹介手数料の負担や早期離職への懸念も示され、公的な就職支援の情報を求職者に届ける工夫が求められた。
重度の障害のある人や行動障害のある人を支える事業所では、手厚い職員配置による人件費負担が課題となった。必要な人員を確保できる基準・報酬と、小規模事業所の採用・定着、業務効率化を支える財源の確保が求められた。
本人が望む地域生活を支援
拠点・相談支援と日々の意思決定を充実
施設や病院から地域に移り、暮らし続けられるよう、地域全体の支援体制を報酬でどう評価するかが議論された。主な意見は次のとおり。
○地域生活支援拠点のコーディネーターが日頃から事業所をつなぎ、緊急時にも対応できる体制を評価する。配置の地域格差にも配慮が必要である。
○障害者支援施設が地域で暮らす障害者を支える機能も、適切に評価する必要がある。
○意思決定支援は、形式的な意向確認に終わらせず、障害特性に応じた意思疎通を通じ、日々の暮らしで本人の意思をくみ取る。
相談支援専門員の支援を希望しても受けられず、本人や家族が利用計画を作る「望まないセルフプラン」の解消も課題となった。自らの障害や病気の経験を支援に生かすピアサポーターの雇用や、意思決定支援での役割をふまえた加算の拡充も求められた。
住まいの確保に自治体がかかわることや、グループホーム以外の暮らしを支える自立生活援助の充実も求められた。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」は、構築状況を具体的に評価すべきとの意見が出た。
高齢期の看取りについては、事務局が施設の役割や医療・介護との連携を検討するなかで扱う考えを示した。
障害児支援は研修と家庭的な養育を議論
成人期に移った後の夕方の支援も課題
障害児支援では、医療的ケア児等への支援や家族支援、児童発達支援センターの機能強化、入所施設での家庭的な養育を論点とした。
職員が研修に参加できる人員配置や、事業所間で見学し学び合う仕組みが求められた。センターと自治体が連携し、地域の実情に合った研修を進めることも課題となった。
入所施設の小規模化では、こどもの障害特性に応じた職員配置と、移行中の経営を支える報酬が求められた。家族の休息を支える一時的な受入れ(レスパイト)では、利用が少ない時も受入体制を維持できる報酬が必要との意見があった。
障害の有無にかかわらず、こどもが共に過ごすインクルージョンは、保護者の不安に寄り添う家族支援と一体で進めるべきとの意見もあった。
児童発達支援や放課後等デイサービスの新規指定を制限する総量規制に伴い、対象外の保育所等訪問支援で事業者主導の利用拡大が進む懸念も示された。自治体の立場から、基準・報酬水準の検討が求められた。
放課後等デイサービスの利用が終わり、作業所など障害者支援施策への移行にあたっては、日中活動後の夕方の居場所や支援が不足するとの指摘もあった。事務局は、児童期から成人期へ切れ目なく支援をつなぐ課題として議論するとした。
地域差と人口減少に対応
地域の実情に応じた提供体制を検討
地域差への対応では、令和6年人事院勧告をふまえて地域区分を検討する。国庫負担基準のあり方も論点となった。中山間・人口減少地域では、共生型サービスの活用や、社会福祉法等改正法で新設されたサービス類型の人員配置・報酬を検討する。
児童・障害・高齢分野のサービスや人材を横断的に活用する提案もあった。自治体からは財政負担と人材不足の厳しさが示され、総量規制の実施状況や地域差の是正への効果の検証が求められた。
事務局は、次回を9月24日に開催する予定とした。
関連する行政情報
障害福祉報酬改定検討チーム(旧・障害福祉サービス等報酬改定検討チーム)