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身の回りの整理術

全12回に渡って、身の回りの整理をするためのヒントをお届けします。


<執筆>
坂戸 健司

第12回: 「仕事の基本の背骨」

仕事の基本を押さえ整理を考える

 仕事は「読み、書き、そろばん」。私の尊敬する方の言葉です。「まず基本がきちんとできるようになりましょう」ということを諭してくれているものです。この「読み、書き、そろばん」という「仕事の基本」ができない人は、人間的にも成長しないということを私は仕事の現場でみてきました。整理術とは少し話がそれますが、このことをお伝えしたいと思います。

@「読み」とは、たとえば部内や会社からの配布資料、メールの中に記述されていることを「理解」して、リクエストや指示があればそれに「答える」ということです。「行動」するということでもあります。上司のメールはある意味「命令書」といってもよいでしょう。
  メール文の記述に曖昧なところがある場合は、これまでに上司からいわれてきたことや部内の慣例などを思い起こして、「察する」あるいは「思考」した後に「質問」を整理する必要があるでしょう。文章を読んで「自分がするべきこと」を察して準備をする。それがビジネスの基本です。

A「書き」とは、ただ単に字を書くということではありません。たとえば打合せの時に話を聞くだけではなく、相手が自分に何をしてほしいのか、伝えたいのかを理解すること。それを忘れないで記録するという意味があります。「書く」ということで心がけたいことは、お客様だけではなく、上司や同僚、さらには後輩や部下の話も、肝心なことはメモをして後で見返し、要点は記憶するようにしましょう。文字を書くと物事を記憶できるばかりでなく、思考能力も向上する効果があります。「文字を書く」これこそが頭の整理に直結しているといえます。

B「そろばん」とは、単に計算ができるということではありません。「予算が立てられる」「経費がどれくらいかかるか」など、費用対効果を推し量るという意味です。「見積もりができる」ということは、その仕事ができる、わかっているということです。「継続可能な仕事ができるための計算をする」。これがここでいう「そろばん」の意味です。

 これらの仕事の基本を押さえたうえで、整理についてもう一度考えてみましょう。

「頭の整理」「こころの整理」「仕事の整理」

 私は手帳にメモを取ることで頭の整理をしています。そのメモを見返して仕事のリストや進め方を書き出します。たとえば打ち合わせのメモは、クライアントごとにファイルし、次回の打ち合わせの前に読み返すようにしています。忘れそうなことはもとより、自分の気持ちや心の中にある不安や焦り、漠然とした“ よどみ”なども、ノートに吐き出すように書き出しています。

 この書き出すという行為の効能がいくつかあります。紙に書くことでまず「頭の整理」ができるのです。書き終えると頭の中がすっきりとするのがわかると思います。あれこれ思い悩んで仕事の能率が上がらない人は、ぜひ今日からやってみてください。そして、その書き出したものの中から「明日するべきこと」を抜き出し、「To Doリスト」を作りましょう。そのリストを基に、1日の終わりには明日の「段取り」を決めること。できるだけ細かく作業方法なども記入し、「自分への指示書」のようにして1枚の紙に書くのです。その「To Doリスト」を机の上へ置くことで、今日1日の区切りがつき、「こころの整理」ができるのです。そういった毎日のサイクル、段取りの習慣づけをしましょう。

 次の日、朝からよいスタートを切るために、前の日の準備と整理は最低条件として体に覚え込ませるのです。これが「仕事の整理」です。仕事の前に片付け、仕事の後に片付け。よい仕事をしたければ、まずは片づけと掃除。すべての業界に共通していえることだと思います。


 これまで12回の連載を読んでいただいて感謝いたします。ぜひこの連載ページを小冊子にして、繰り返し読んで頭と体に覚え込ませてください。読み返さなくてもよくなったときは、あなたの机の上、そしてパソコンの中も、整然と整理され、一目瞭然の視界が形成されていると思います。皆さんの健闘を祈ります。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成25年3月号に掲載されたものです。
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