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被災福祉施設復興事例紹介
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〜 宮城県 石巻市 〜

医療法人健育会

「医療法人健育会」の復興事例紹介

取材日 平成27年10月28日
東日本大震災により、死者3,547人・行方不明者428人、半壊以上の建物53,742棟といった被害を受けた宮城県石巻市(出典:石巻市ホームページ)。その「石巻市」で被災し、震災後新たな場所に移転した「石巻健育会病院」を取材した。

施設所在地地図




石巻の高台に立地する石巻健育会病院


 医療法人社団健育会が開院する石巻健育会病院は石巻市の郊外にあります。医療法人社団健育会は昭和28年に設立し、今回の訪問先の前身となる石巻港湾病院はグループで4番目の病院として平成3年に開院しました。平成27年4月に新築増床して現在の場所に移転、名称も石巻健育会病院へと変更になりました。病床数は155床(一般病棟44床・回復期リハ56床・療養55床)です。

                
▲ 病院外観▲ 病室

津波による被害を受け、一階部分が完全に水没してしまうほどの被害に


 移転前の旧病院(石巻港湾病院)は、津波により1階が完全に水没したため、薬剤庫や厨房、病院の事務機能を失い、1階倉庫に備蓄していた非常食にも被害が及ぶことになりました。しかし、職員自身が自主的に薬は洗って使えるものは使い、患者の方々を優先して1日2食の非常食を提供し続けました。
 また1階部分が使えなくなったため、最終的には4、5階まで入院患者・職員が上り、ベットがないためマットレスを引くなどして安静にしてもらいました。
 更に、電気が使えなかったため応急で手動による吸引を行うなど、マニュアルには載っていない創意工夫を職員一人一人が行ったとのことです。
 また東京の法人本部では、東日本大震災が発生と同時に災害対策室を設置し対応しました。地震の当初は石巻と連絡が付きましたが、津波が来てからは、連絡が取れなくなり、テレビ等でも石巻の直後の情報が余り流れなかったため、現地に確認に行かなければと、震災直後に封鎖されていた太平洋側の区域を迂回し、新潟経由で現地入りして連絡を取りました。
 それからは本部でレンタカーを借りて、食料と水を詰め込み、一日一回は東京から物資を運びました。また併せて人(医師・看護師・ケアワーカー)の応援も連日のように行いました。
 津波による水が引いたあとは、2階部分において外来患者の受け入れを周囲の病院より早く行いました。
 更に震災後、同年8月には、1階部分を改修して外来をオープンしましたが、建物自体が老朽していることと、再び地震・津波等が発生した場合には、同様の被害が想定されるため、内陸部への移転新築計画に至りました。
 旧病院のあった石巻漁港から内陸側に位置し、石巻駅から車で15分程度の借地を確保して1.5mの盛土後に新病院を建築しました。どこに移転するかの決め手は、郊外で人口も多く車でも行きやすい場所であり、近隣に救急病院もあり、尚且つ避難のしやすい広い敷地が立地として良いと考えました。

震災の教訓を受けて新病院での工夫を図る


 東日本大震災の教訓として、新病院建設にあたって活かされている点としては、災害時に一階に厨房やサーバー室や物資を設置していて、津波のため使えなくなってしまい、その後非常食に頼ったため、新病院では最上階の5階に厨房やサーバー室、それに避難場所としても見渡しやすいリハビリテーション室や、住民の方々が避難できるように、2本の外階段が設置された広大なウッドデッキを配置しています。リハビリテーション室を上に持ってきたのは眺望の良さもあります。
 また非常食の備蓄も以前まで3日分であったが、現在は5〜7日程度は足り得る量を備えています。
 震災後は電気が来なくても大丈夫なように灯油ストーブを買って、灯油を備蓄しています。
災害時には、必要最小限の電力使用に制限することによって、使用日数の延長に心がけるとのことです。
 また通常の携帯は災害時に繋がりにくく孤立してしまうため、衛星携帯を被災地以外の各病院も含めて配備しました。災害の際はいかにして、現地の情報を得るかが重要であるとの考えからです。
消防署と連携して年2回消防訓練を実施していますが、東日本大震災を経験した病院としての独自の取り組みとして、今までのように、上から下に避難する火災訓練だけではなく、年1回下から上に避難する地震・津波訓練を実施しています。
 また病院同士で協定を結ぶ場合は、災害時には近隣の病院も同様に被災してしまう可能性があるため、病院間の救援を円滑に行えるよう、東京や北海道などの他県に所在する病院と協定を結び、連携を図ることとしています。

                
▲ リハビリ室からの眺望▲ ウッドデッキ

人材確保に向けての様々な取組


 看護師の確保の取り組みとしては、現状、ハローワークによる人材確保は難しいため、10年以上ブランクのある看護師への1日体験研修を行っており、復職に向けた支援や、紹介制度を設けて実績に応じて法人職員に奨励金を支給しているとのことでした。
 また、介護職員の確保は非常に難しい状況でありますが、ホームページ・ブログの口コミなどのメディアで病院や職場の魅力も伝えたり、法人としてはEPAに基づく外人採用を活用するなど、積極的に行っているとのことでした。


災害に強い病院を目指して


 『旧石巻港湾病院』は、東日本大震災により1階の天井まで水没し、電気・水道・ガス・通信手段・物流など全てが途絶え、水が引くまでの2日間は、外部と完全に孤立した状況でした。
その教訓を生かし、新病院においては、非常時のライフラインと災害時における病院の継続を一番に整備されています。文字通り災害に強い病院を目指していると強く感じました。

<< 法人概要 >>
法人名 医療法人健育会 代表者 竹川 節男 氏
法人施設 石巻健育会病院
新施設所在地 宮城県石巻市大街道西3-3-27
法人設立時期 昭和28年
施設設立時期 平成27年4月
URL http://www.ishinomaki.gr.jp/index.html



取材動画


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