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月刊誌「WAM」
2025年7月18日
【月刊誌WAM】 2025.06掲載

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入による業務効率化

 これまで人間のみが対応可能とされていた作業もしくは高度な作業を人間に代わって実施するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、大病院での導入が進み、最近は一部の中小病院・クリニック、介護事業所にも普及し始めています。事務作業にかかる時間を大幅に短縮するRPA 導入による効果、導入する際のポイント等をみていきます。

 これまで人間のみが対応可能とされていた作業もしくは高度な作業を人間に代わって実施するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、大病院での導入が進み、最近は一部の中小病院・クリニック、介護事業所にも普及し始めています。事務作業にかかる時間を大幅に短縮するRPA 導入による効果、導入する際のポイント等をみていきます。

今後さらに求められる、業務の効率化

 世界に先駆けて少子高齢化が進む我が国において、医療・介護・福祉サービス等への従事者の確保は、他の業界も含めた競争となっている。各サービスの提供体制を維持するためには、あらゆる面での効率化が必要となっている。

 なかでも医療については、「医療DXの推進に関する工程表」(2023(令和5)年6月2日閣議決定)で、医療機関等の業務効率化に関し、デジタル化の促進による効率的な働き方を実現するため、ICT機器やAI技術の活用による業務支援、業務改善・分析ソフトの活用等とそれによる合理化等が求められている。

 こうした方針を後押しするため、2024(令和6)年度の診療報酬改定で医療DX推進体制整備加算・在宅医療DX情報活用加算が新設されている。さらに2019(令和元)年4月から始まった働き方改革(時間外労働の上限規制/医師については2024(令和6)年4月から適用)もあり、さらなる業務の効率化は喫緊の課題となっている。

注目されるRPAとは

 このようななか、注目されているのがRPAである。

 RPAとは、「ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation:ソフトウェアロボットによる業務自動化)」を略した言葉で、RPAツールと呼ばれるソフトウェアを利用し、パソコン上でのルーティンワーク(繰り返し行う定型的な作業)を自動実行する技術。これまで人が行っていたマウスやキーボードを使った作業を、高速でミスなく、自動で処理することが可能となっている。

 RPAツールには、@デスクトップ型、Aサーバ型、Bクラウド型がある。

 @のデスクトップ型は、パソコン1台で完結する範囲の業務効率化に向いており、パソコン1台にインストールするだけで使い始められる手軽さが特徴となっている。自動化の対象も、そのパソコンで人が処理する作業にほぼ限られるため大がかりにならず、できるところから確実に活用を進めることができる。また、端末単位で導入するため、必ずしも全社的に管理する必要がなく、情報システム部門との合意が得られれば、導入現場で運用を自己完結してスピーディーに展開することが可能となっている。さらに、より大がかりな構成となるサーバ型に比べ、初期費用やランニングコストを抑えることが可能であることから、部門・部署単位でのスモールスタートに適している。一方、注意点としては、全体的な管理・統制が求められる大規模運用時には軌道修正しなければならないことから、移行プロセスにRPAツールが十分対応していない場合、活用範囲を広げる足かせとなるおそれもある。デスクトップ型を導入する際には、直近にとどまらない中長期的なプランを考えて検討を進める必要がある。

 Aのサーバ型は、サーバ内でソフトウェアロボットを一括管理するもの。組織内のさまざまな部門・部署にわたって横断的にロボットを活用することができ、大規模な運用に適している。すべてのロボットが統一されたルールのもとで働くこととなり、管理から漏れる”野良ロボット“や、誰もメンテナンスできない”ブラックボックス“が生じることがない。特徴として、複数のロボットが同時に稼働できることから、デスクトップ型に比べると、生産性や運用のしやすさでは優位となる。デスクトップ型よりも多くは初期費用が高くなるものの、運用規模が拡大するほどコスト面で有利になる傾向がある。注意点としては、「人の作業を止めにくい」タイプを選ぶこと、機能・費用の両面で将来的な利用規模を見越して選ぶことがあげられる。「(RPAが)人の作業を止める」とは、組織内でサーバ型RPAの利用が活発になるにつれて、従業員が用いるパソコンに対し、スケジュール通りに作業を処理するサーバからのアクセスが多くなり、その際にロボットがパソコンを独占して他の作業ができなくなったり、人のマウス・キーボード操作に反応しエラーを起こすといったトラブルが生じやすくなることを指している。これを防ぐためには、作業をサーバから直接処理し、パソコンの画面やアプリケーションを邪魔しない設計(バックグラウンド処理)となっているRPAツールを選ぶ必要がある。

 将来的な利用規模を見越した機能や費用については、ロボットを使う部署や設計するメンバーが広がり、ロボットの数も増えたとき、必要な機能を満たすRPAツールに対して、追加費用がどの程度かかるかという点が課題となる。サーバ型RPAツールの価格設定は、ロボットの管理機能が標準かオプションか、あるいは利用者1人・PC1台単位でライセンスの追加が必要かなど、製品によってさまざまであることから、将来的に思わぬ出費が活用のネックとならないよう、想定されるさまざまなパターンをもとに、念入りにシミュレーションを行うことが求められる。

 Bのクラウド型は、インターネット上のクラウドサービスにログインし、そのクラウド上に構築されたRPAツールの利用環境を用いて業務を自動化するもの。自動化できる範囲は、主にWeb上での作業となる(社内システムの自動化に対応したサービスもある)が、インフラの構築や保守運用が必要ない分、コストを安く抑えることができる。このため、クラウドサービスを用いた事務処理が比較的多い職場の業務自動化に適した選択肢といえる。月額一定のサブスクリプションや、実行回数による従量課金で提供されており、ライセンス費用やインフラ構築といった初期投資がかからないのが特徴となっている。イニシャルコストがネックでRPAツールの導入に踏み切れない場合も、クラウド型であればスモールスタートから成功パターンを模索し、より本格的な活用にステップアップしていくことが可能となっている。クラウド型を導入しやすい作業は、Webブラウザ上で行われる単純作業で、現場の担当者が日々行っている作業を自動化できることから、導入の効果がより早く感じられ、広範囲の業務自動化に取り組みやすくなることが見込まれる。

●RPAが医療機関でできること

 医療機関でRPAができることとしては、例えば病院の場合は、入院/外来の患者日報・月報の自動作成、月次の請求額・収入額自動集計、MR/ICT、内視鏡検査レポート未読の自動チェックとメール通知、退院サマリや看護サマリ入力状況の自動チェック、収益に直結するようなコメントの記載をメールで医師に通知、入院患者シートや退院チェックリスト等の自動印刷、電子カルテからNCD(National Clinical Database)、がん登録システム、日本脳卒中データバンクへの登録用データの自動抽出、医事会計システムから病院ダッシュボード(病院経営分析ツール)やgirasol(ヒラソル/DPCデータ分析システム)等への登録用データを自動抽出等があげられる(図1参照)。

 クリニックの場合は、在宅療養計画書、訪問看護指示書の作成・印刷、請求書・診療明細書の出力、kintone 等の情報共有システムから電子カルテへの診療記録の転記、ChatworkやMCS(MedicalCare Station)等のSNSから電子カルテへの診療記録の転記、日次の患者数と月次の患者数の集計、月次の請求額・収入額自動集計、予約システムに登録された患者情報の電子カルテ、医事会計システムへの自動転記、訪問予定表の転記、検査日の確認(定期的な血液検査、INR検査等の指示の自動アラート)、検査結果の確認(血液検査HbA1cの数値を自動チェックし、値が低い場合のアクションの提案等)等ができる(図2参照)。

● RPA とAI(人工知能)の違い

 最大の違いは「あらかじめ決められた作業内容をそのまま繰り返す」のがRPA、「学習結果をもとに、初めて接することがらへの分析・判断・予測を行う」のがAI。なお、現在はAI と連携していないRPA が主流であるが、今後、RPA はAI の機能を少しずつ取り込むことにより、定型作業にとどまらず、判断・予測が加わる非定型作業も自動化できるツールへ進化していくと考えられている。

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