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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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月刊誌「WAM」
2026年3月2日
【月刊誌WAM】 2026.2掲載

総量規制の方向性は

 障害福祉サービス等については、事業所数(とくに営利法人が運営する事業所数)が急増しているなか、株式会社恵の事案*1のように、広範囲の多くの利用者に影響がある処分事例も発生していることから、社会保障審議会障害者部会では運営指導・監査の強化やグループホームの総量規制等が検討されており、まもなく内容が取りまとめられます。議論の状況をみていきます。

 障害福祉サービス等については、事業所数(とくに営利法人が運営する事業所数)が急増しているなか、株式会社恵の事案*1のように、広範囲の多くの利用者に影響がある処分事例も発生していることから、社会保障審議会障害者部会では運営指導・監査の強化やグループホームの総量規制等が検討されており、まもなく内容が取りまとめられます。議論の状況をみていきます。

*1… 全国で約100カ所の障害者グループホームを運営していた株式会社恵が、入居者への経済的虐待(食材費を過大徴収)、報酬の不正請求等を行っていたことに対し、いわゆる連座制を適用。すべての事業所の指定更新を認めない行政処分が行われた(順次、他法人へ事業承継)。

急速に増加した障害者グループホーム

 障害者向けグループホームは、入所施設や精神科病院等からの地域移行を進めるため、2006(平成18)年度に障害者自立支援法のサービス(共同生活援助)として位置づけられ、整備が推進されてきた。現在のグループホームの利用者は、障害の程度が軽い人、重い人、医療的ケアが必要な人など、その状態は多様であるとともに、居住形態も戸建て型やアパート型(ワンルーム型)など、さまざまな形態が存在している。また、障害の重度化・高齢化への支援体制の整備が課題となっており、2018(平成30)年度の障害福祉サービス等報酬改定において、新たに重度障害者に対応する日中サービス支援型グループホームが創設されるとともに、2021(令和3)年度、2024(令和6)年度の報酬改定において、重度障害者支援加算の拡充等が図られてきた。

 一方で、近年は障害福祉サービスの実績や経験が少ない事業者の参入が多く見受けられ、障害特性や障害程度を踏まえた支援が適切に提供されないといった支援の質の低下が指摘されている。実際に、障害福祉サービス等の総額の動向をみると、持続的に伸び続けているが、とくに2023(令和5)年度から2024(令和6)年度にかけて12.1%と急伸している(図1)。また、サービス類型別にみると、共同生活援助(グループホーム)は13.2%の伸びとなっている(図2)。さらに、設置主体別にみると、とくに営利法人が設置する事業所が増加している(図3)。事業所数を都道府県別でみると、全国平均は12.0事業所(人口10万人当たり)であるのに対し、佐賀県(21.3事業所)、北海道(17.2事業所)、鹿児島県(17.0事業所)が多く、東京都(7.2事業所)、広島県(7.8事業所)、岡山県(7.9事業所)で少ないなど、地域差も大きくなっている。

総量規制の対象として追加する方向へ

 こうした状況を受け、社会保障審議会障害者部会(以下、障害者部会)では、@地域差を是正しサービス供給が計画的かつ効率的に行われるための方策、A指定のあり方(総量規制・意見申出制度)、Bサービスの質の確保のための方策等について議論を行っており、なかでも共同生活援助(グループホーム)については、新たに総量規制の対象サービスに追加することが案として示されている(図4)。

 この理由としては、近年事業者数が急増しており、地域によってはニーズに対して供給が過剰になっている可能性が考えられること、専門性が明らかに低いと思われる事業者であっても、指定要件を満たしていれば指定せざるを得ない状況であり、支援の質の確保を図る必要があること、指定権者(都道府県等)へのアンケート調査*2でも、総量規制の対象に加えたほうがよいサービスとして「共同生活援助」と回答した割合が最も高いこと、があげられている。

 なお、障害福祉サービス等では、すでに生活介護、就労継続支援B型、障害者支援施設(平成18年度〜)、就労継続支援A型(平成29年度〜)、児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児入所施設(平成30年度〜)が総量規制の対象となっている。ただし、前述のアンケート調査では、実際に総量規制を実施している自治体(都道府県、中核市)は1割程度であり、事業者指定権限をもつ自治体全体では、実施している自治体は少ない状況となっている(表)。総量規制に対する考え方として、実施に前向きな自治体は41.8%、否定的な自治体は33.6%、その他19.2%、未回答5.5%となっており、「その他」と回答した自治体は「総量規制の実施の可否について検討が進んでいない」という意見が主となっている。このように、各自治体の総量規制に対する考え方・対応状況には違いがみられる。また、総量規制に加えたほうがよいサービスとして「共同生活援助」と回答した割合が、とくに都道府県・政令市で高くなっている(図5)。

 一方で、総量規制は、障害福祉サービス等の供給が地域のニーズに対して過剰とならないよう設けられている仕組みであり、あくまで指定権者にその裁量がある(「指定しないことができる」)。このため、総量規制を発動できる場合であっても、「強度行動障害の状態にある人や医療的ケアを必要とする人等の個別ニーズについては例外的に扱えるよう、運用方法を周知し、こうした人々の受け入れに支障がないようにする」と障害者部会では示されている。

*2… 障害福祉サービスにおける支給決定等に関する調査研究(令和6年度障害者総合福祉推進事業)


質の確保に向け、ガイドライン策定と資格要件・研修等を導入

 共同生活援助(グループホーム)の質の確保に向けては、支援に関するガイドラインの策定、管理者・従事者等に対する資格要件や研修等を2026(令和8)年度以降に導入することが検討されている。

 ガイドラインでは、人員・設備・運営の基準省令の規定、解釈通知の内容を体系的に整理するほか、
 ・障害者福祉の基本理念、権利擁護(虐待の防止、意思決定支援)
 ・同生活援助の従業者の役割・要件、共同生活援助が連携すべき関係機関
 ・日常生活の支援のなかで行う、利用者の意思の尊重や健康管理
 ・退居や一人暮らし等に向けた支援・退居後の支援、利用者の希望を踏まえた結婚・出産・子育てに係る支援
 ・支援の質の向上のための取り組み(従業者の知識・技術の向上、研修の受講機会の提供、権利擁護に関する設置者・管理者の責務、他の事業所との交流)
 についても記載する。

 また、事業所が運営状況やサービスを自己評価するためのチェックシート、事業者が実施しなければならない委員会・研修等の一覧も添付される。

 ガイドラインに基づいた自己評価を事業所ごとに作成し、法人・事業所内での共有やホームページ等での公表を行うほか、地域連携推進会議で報告し、会議の構成員から客観的な助言を受けること等を通じて、支援の改善につなげていくことが想定されている。なお、地域連携推進会議はおおむね1年に1回以上開催し、記録を公開。また同会議の構成員がすべての共同生活住居を見学する機会(おおむね1年に1回以上)を設けることも求められる。

 また、ガイドラインを活用したモデル研修(令和7年度障害者総合福祉推進事業)をもとに、共同生活援助の管理者向け研修を創設し、その受講を管理者の要件とすること、あわせて管理者の実務経験要件を導入することも検討されている。今後、研修カリキュラム等の開発も行われる見込みである。

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