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経営改善のポイント

通所介護の経営に求められるもの

 独立行政法人福祉医療機構(以下、「WAM」と言う。)の調査※によると、2023年度における通所介護事業所のうち、規模別の赤字事業所は、通常規模型では45.7%と最も多く、大規模型Tでは26.7%、大規模型Uでは27.3%となっています。すべての規模で2022年度より改善傾向にはあるものの、通常規模型では依然として4割を超える赤字事業所の存在は、介護業界にとっても大きな課題であると推察されます。


※…「2023 年度通所介護の経営状況について」https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/250627_No003.pdf

通所介護の経営に求められるもの

 通所介護事業において利用者の単価を決定する要素としては、要介護度とサービス提供時間、加算算定があります。要介護度が高い方の割合が多ければ通所介護費も増え、また、サービス提供時間が長ければこれも通所介護費が増える要因になります。

 しかし、近年では要介護度3以上になると、特別養護老人ホームなどの入所系サービスへ移行する傾向が強く、利用者の入れ替わりが発生しやすくなっています。また、サービス提供時間においても、7時間以上8時間未満のサービスを提供する場合、送迎・準備・片付け・記録業務などの日々の業務とあわせて、研修・会議・委員会など運営に必要な業務に追われ、結果的に人件費が上昇してしまう場合があります。

 したがって、通所介護事業の経営においては、要介護度の構成やサービス提供時間などの単価上昇にかかわる要因だけではなく、職員の体制などの費用面を考慮した精緻な計画が求められます。

黒字化のための経営指標分析

 計画的に経営を行うために、利用率を重要視するケースがあります。利用率は、収益確保の土台となるため、定員に対する利用者の受け入れ状況を見るうえでは、必要な指標です。

 しかし、利用者1人1日当たりサービス活動収益(以下、「利用者単価」と言う。)によっては、利用率が高くても利益が出ないというケースもあります。

 WAMの「2023年度 通所介護の経営状況について」によると、通常規模型全体の平均利用率では67.9%、利用者単価では9,437円となっており、サービス活動増減差額比率では1.4%という結果が出ています。この結果を黒字事業所で限定した場合、利用率は73.7%、利用者単価では9,555円、サービス活動増減差額比率では12.0%であり、利用率も高いものの、利用者単価も約118円の差があります。そして、黒字事業所では、人件費率などの費用面の比率においても平均より低い傾向があります(図表)。

 なお、通常規模型と黒字事業所では、年間営業日数に大きな違いはなく、定員に対する利用率で計算しても、1日当たり0.6人程度の差となっていることから、黒字化するためには、利用率を高めることとあわせて、利用者単価の増加と費用の抑制が大きなポイントになると考えられます。

利用率を高めるための取り組み

 利用率を高めるために必要なこととして、営業活動があります。

 多くの事業所が行っている営業活動としては、居宅介護支援事業所への訪問やチラシの作成などがあります。この営業活動で効果が出ていれば問題はありませんが、複数の通所系サービスが混在している地域の場合、あまり効果が出ません。効果が出ない要因として、施設の特色が表現できていないという点と第三者が自施設のサービス利用を想像できていないという点が考えられます。では、どのようにして施設の特色や第三者に自施設のサービス利用を想像してもらうかを考えた場合、施設で行われているサービスを実際に見てもらう方法が有効です。

 地域の方や居宅介護支援事業所の方などが見学できる日程を調整するだけでも目を引く可能性はあります。しかし、感染症などの関係から見学会に対して消極的な場合は、ブログなども効果的です。ここでいうブログは、日々の状態を写真や文字で紹介するだけではありません。

 例えば、施設の中庭に梅の木があるような施設であれば、春は花見を行い、梅の実がなったら収穫をし、収穫した梅の実を加工して梅シロップを作り、数週間後に梅シロップのジュースを飲むという一連のストーリーを利用者と共同で行ったものをブログにすることです。このようなストーリーが見えるブログを作成することで、施設で行われているレクリエーションの紹介だけではなく、利用者の生活の一部として通所介護が利用されていると第三者が見ても想像できるようになります。

 このような取り組みを計画的に考えて実行し、外部に発信することで、施設の特色を表現することや自施設のサービス利用を想像してもらうことにもつながります。

 また、このような連続性のある取り組みを行うことで、利用している方も生活の一部として通所介護を利用することにつながるため、キャンセル率も一定程度減少します。

単価増加と加算の活用

 利用率と単価を増加させるために必要な取り組みとしては、加算の算定が有効です。近年では、科学的介護情報システム(以下、「LIFE」と言う。)にデータ提出し、そのデータを活用することで算定できる加算が増加しています。なお、WAMの「2023年度 通所介護の経営状況について」によると、黒字施設の場合、科学的介護推進体制加算においては55.7%、個別機能訓練加算(U)においては31.5%の事業所が算定しているという結果が出ています。まだ加算を算定していない事業所は、加算として設定されているうちに算定を始めることを推奨します。

 LIFEに関連する加算は、管理者や生活相談員などが全利用者分のデータを入力して提出しているケースもあります。しかし、各職員が一人ひとりの利用者の状態を理解したうえで、それにあわせたケアを行うことや利用者の変化に気づける職員を増やすという観点で考えた場合、介護職員こそがLIFEに関連するデータの管理をすることで、ケアの質の確保につながります。

 また、近年の介護報酬の考え方として、アウトカム(成果)評価が重要視されています。これは、体制整備やサービス提供のみでなく、施設の取り組みの結果として利用者の状態改善につながったなどの成果が求められ始めているということです。そのため、LIFE関連のデータを活用して利用者の状態を改善する取り組みを施設独自で確立することができれば、加算の算定のみならず、改善事例として外部に発信することにつながります。このような事例を増やしていくことで施設の特色を表現することや自施設のサービス利用を想像してもらうことにもつながります。

今後の経営改善に向けて

 通所介護事業の経営においては、単なる利用率や単価の向上だけでなく、LIFEに関連するデータを活用した科学的介護の実践、加算を活用した組織マネジメント、そして地域に根ざした発信力が求められます。経営改善とは、数値目標の達成に留まらず、地域から選ばれ続ける事業所をつくる取り組みそのものなのです。

※ この記事は月刊誌「WAM」2025年12月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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