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経営改善のポイント

訪問看護事業とは

 訪問看護事業は、介護保険と医療保険の両制度にまたがって提供され、病院・診療所に加え訪問看護ステーションが担い手となります。サービス提供は、主治医の訪問看護指示書に基づき計画を作成し、実施・報告までの一連の流れで構成され、地域包括ケアのなかで「治し、支える医療」への転換が求められるなか、退院支援・急変時対応・看取り等を含む24時間体制や多職種連携が重視されています(図)。そのため、地域のなかでの連携先の開拓は事業運営にとって大きなポイントとなっていきます。実務上はもちろんですが、利用者獲得においても、事業所へ直接利用者が来るのではなく、生活上何かしらの医療的ケアの必要性が発生した際に紹介してもらう流れが一般的です。

 利用に関しては、介護保険優先の原則のもと、年齢・疾病・状態に応じて医療保険、介護保険のいずれかから給付されます(医療保険対象疾病の「別表第7」に該当の場合、介護保険利用中であっても医療保険での利用となる場合があります)。事業所は医療・介護双方の請求・体制整備を運営規程で管理し、事業者規模の拡大、事業所間連携、ICT活用による業務効率化などが政策的にも推奨されています。

 一方で、地域によって差があるコストとして訪問にかかる車両の維持管理費、中心となる利用者像によっては頻回な緊急時対応、看取り期を代表とする利用者への支援の濃淡により人件費が固定化しにくいなどの経営上の課題も含有しています。しかしながら令和7年度厚生労働省概況調査では、全国平均で収支差率9.7%(税引き後)となっており、全サービス平均の4.4%(税引き後)を大きく上回る指標となっています。とくに訪問看護は人件費比率が高い一方で、稼働率の改善や訪問単価の最適化がダイレクトに収益へ反映される構造であり、運営努力が結果に結びつきやすい点も特徴です。

事業所経営の損益分岐

 一方、看護師が一定の稼働をしているとしても、経営が立ち行かない事業所も存在します。在宅サービス全般に共通することではありますが、訪問看護はサービス提供において個別性が高く、また看護師のスキルによっても生産性が異なってきます。専門性とは関係のないポイントで生産性に影響することも特徴の一つといえるでしょう。一般的に車両での移動ができる看護師、勤務時間・曜日に制限がない看護師は、制限のある看護師に比較して生産性は高まります。

 それらが影響するのが損益分岐の指標設定です。損益分岐は(1)人件費・間接費、(2)1訪問当たりの粗収益(単位・点数×単価)、(3)移動・記録を含む実働時間、(4)加算の体系的運用、の4要素で決まります。とくに在宅は移動時間が売上を生まないため、「1人1日当たり有効訪問件数」の設計が損益分岐のポイントになります。

 一方、同じ訪問看護事業であっても、集合住宅地を近隣に抱えているなどの立地上の特徴があれば、経営上は有利に働く要素となりえます。年間の事業計画を立てる際には、過去年度の決算数値の検証を3カ年以上の比較で行うことを推奨します。前段で説明した通り、訪問看護事業は収支差率が総じて高い傾向にありますので、1%から3%の幅の変動であればとくに検証しない場合もあります。看護師の入退職、異動などにより徐々に稼働力が低下していた場合、軌道修正が難しくなっていきますので、経営者としては月次の損益分岐からの乖離部分の検証が経営判断につながっていくといえます。

 また、加算の戦略的活用は組織的に管理したいところです。退院時共同指導、特別管理、ターミナル、緊急時、看護体制強化、サービス提供体制強化等は体制届出と実施要件の遵守が前提となります。医療保険では訪問看護管理療養費やベースアップ評価料の届出・報告が収益と人件費改善に直結します。これらは取りこぼしがないように、日々の業務管理のなかに組み込むことが重要要素です。

訪問看護の職員の効率的な動き方

 看護師の移動・記録・連携を設計し、事業所の圏域設定をしていきましょう。地理的に効率的な動線に担当者を割り振る、またはICT・データ連携で情報収集のための時間を圧縮するなど、看護師の実活動時間に影響せず、生産性にかかることについては、徹底して省略化していくことが効率化に直結し生産性が向上します。

 一方で情報収集や、データ共有のICT化は顔の見える関係の構築に関して弱い部分があります。定期的な勉強会や、事業所間の交流のための情報交換会などを事業所圏域で行うことも、訪問看護事業においては重要な取り組みの一つです。最終的には1人の利用者に対してのサービス提供となるわけですので、意思の疎通が図られていないと新たな確認作業が生じ、事故を誘発しかねません。顔の見える関係作りもまた、サービスの質の維持・向上に大きな影響を与えていきます。

 さらに、訪問看護では突発的な対応が求められる場面も多いため、事前にチームとしての役割分担や応援体制を明確化しておくことも、効率的な動きにつながります。とくに新人職員や中途採用者に対しては、地理情報や利用者背景を共有する仕組みを整備することで、早期の戦力化を図ることができます。また、データをもとに訪問件数の偏りや業務負担を定期的に見直し、組織全体で最適化を図ることで、職員の働きやすさとサービスの安定提供の両立が可能となります。

※ この記事は月刊誌「WAM」2026年3月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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