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第2回:自立支援重度化防止に向けたLIFEの活用
〜科学的介護推進体制加算・自立支援促進加算・リハビリ訓練/口腔/栄養〜

 2021(令和3)年度の介護報酬改定の際、LIFE(科学的介護情報システム)を用いたデータ提出が施設系だけでなく、通所系、多機能系と多くのサービス種類に組み入れられました。介護給付費分科会では詳細が示されないまま導入となり、多くの施設・事業所が衝撃を受けました。今回の改定でも、LIFEシステムは、3月末に旧システムが終了、4月22日に新システムが一部稼働、8月1日に本格稼働、そして10月10日までの遡り入力期間とほとんどの介護施設・事業所が唐突ともいえるシステム変更に苦慮しました。介護情報利活用の検討は医療DXとの関連を含め現在も進められており、今後の介護報酬改定においても最も注目すべき事項といえます。

協力医療機関との連携の在り方

 2024(令和6)年度の改定(以後、今回の改定)では、とくに介護老人保健施設や通所リハビリテーションにおいてLIFE関連加算が多岐にわたり組み入れられました。

 介護老人保健施設の短期集中リハビリテーション実施加算T、介護予防通所・訪問リハビリテーションの12月超えの減算免除要件など、介護施設において根拠に基づくリハビリテーションマネジメントの考え方は避けて通れません。

 また、今回追加された、短期集中リハビリテーション実施加算Tは、毎月提出が必要であり、利用者による提出頻度を確実に管理する必要性があります。

体制加算に設けられた例外的個別対応

 LIFE関連加算には、体制加算と個別加算が存在します。LIFE関連の体制加算は、独特な解釈が盛り込まれています。施設系の体制加算は、科学的介護推進体制加算、自立支援促進加算、褥瘡マネジメント加算(介護医療院:褥瘡対策指導管理(U))、排せつ支援加算、そして栄養マネジメント強化加算です。これらの加算は、原則として、利用者全員のデータ提出が求められます。

 ただし、やむを得ない理由でデータ提出が翌10日までに不十分であった場合、要件を満たしていないこととなり、その月の当該利用者分は算定不可(栄養マネジメント強化加算除く)となります(図表)。たとえ月末に入所した利用者であっても加算算定には、提出期限厳守であることが明確にされました。今回は、算定要件の一つであるデータ提出の習慣を確実に身に着けるための改定といえます。

 また、褥瘡マネジメント加算や排せつ支援加算は、体制加算ですが、利用者の状態により加算の種類が異なります。とくに褥瘡マネジメント加算Uは、入所時に褥瘡リスクがあると評価された場合で褥瘡の発生がない場合、もしくは、褥瘡が治癒した場合に算定が可能です。今回の改定では入所時に褥瘡がすでに発生していた場合の改善についても評価をすることが明確になり、医療機関から退院するケースへの積極的な関与を促すものといえます。

 これらの体制加算では、データの提出の有無、また、評価により、加算が異なることから、従来以上に施設内でのデータ提出の担当者と介護報酬の請求担当者が正確な情報のやり取りが求められます。


利用者状態を総括する科学的介護推進体制加算

 科学的介護推進体制加算のデータ提出項目は、基本情報からリハビリ・訓練/口腔/栄養/認知症まで含まれており、利用者状態の総括表といえます。今回は、項目が整理され、必須事項として認知症の評価尺度である「生活・認知機能尺度」が追加されました。この項目は、公益社団法人全国老人保健施設協会が開発した『新全老健版ケアマネジメント方式 〜R4システム〜』(※1)を利用している場合は、以前から馴染みのある項目です。

 また、科学的介護推進体制加算の提出頻度が6カ月から3カ月に見直され、LIFE関連加算の提出頻度がおおむね3カ月ごとに統一されました。評価頻度が統一されたことで、3カ月ごとのモニタリングに活用しやすく見直されたことになります。LIFE関連加算を複数算定していると、加算ごとに入力担当が異なり、一人の利用者状態であるにも拘らず、同一項目の状態が異なる場合がよく散見されます。フィードバックデータの活用にむけ、項目評価の統一が必要となります。


※1…https://www.roken.or.jp/about_roken/r4

リハビリ・訓練/口腔/栄養の一体的取組

 2021(令和3)年度の改定では栄養管理の視点が重点的に盛り込まれました。今回は、口腔管理の視点が重点的に組み入れられました。このことでリハビリ・訓練/口腔/栄養の3つの視点が整理され、一体的な取り組みの促進が本格的に盛り込まれました。象徴的なものが、介護老人保健施設ではリハビリテーション計画書情報加算Tにリハビリ(もしくは機能訓練)、口腔、栄養の一体的な管理の上乗せ加算の新設です。

 栄養管理が行き届けば、体力の源泉となり、そのためには、口の機能が保持されていなければなりません。また、リハビリ・訓練を行うにも栄養状態が悪ければかえって状態を悪化させる要因にもなりかねません。栄養管理が行き届けば筋力もつきやすく、基礎代謝が上がります。基礎代謝が上がれば、活動・参加への負担が減り、活動・参加の機会が増えれば、利用者自身が生活のうるおいを感じることにもつながります。うるおいを感じれば、活動・参加への意欲が高まり、結果として食欲増進を促し、心身機能に好循環をもたらすことになります。リハビリ・訓練/口腔/栄養の一体的な管理は、身体機能の『自助』力の維持・向上を図る基本的な視点といえます。

 実際に支援を行うには、疾病による活動・参加の留意点に配慮しつつ、水分や排せつ、服薬管理など総合的な状態観察のうえで行うことが求められます。その視点を盛り込んだものがLIFE関連加算なのです。

自立支援・重度化防止とLIFE関連加算

 自立支援の考え方を網羅したものが施設系の自立支援促進加算です。今回の改定では、支援実績が簡略化され、”基本動作“と”日々の過ごし方“の2つに厳選されました。また、介護老人保健施設で自立支援促進加算を算定する場合は、「ICFステージング」(※2)が必須項目に追加され、R4システムを活用している施設では、さらに算定しやすくなった改定といえます。また、医師による医学的評価が6カ月から3カ月に見直され、介護施設においてもケアプラン等への医師の関与が重要視されました。介護3施設のうち、介護老人保健施設で最も合致しやすい考え方といえます。

 自立支援促進加算のLIFE提出項目に「尊厳の保持と自立支援のために必要な支援計画」として4つのチェック項目があります。尊厳の保持に資する取り組み、本人を尊重する個別ケア、寝たきり防止に資する取り組み、自立した生活を支える取り組み、これらは、まさに介護保険の理念的考えを示すものです。介護老人保健施設はもとより、特別養護老人ホームや介護医療院においても、ケアプランにこれらの内容を盛り込んでいくことが求められています。

 科学的介護は、介護業界だけでなく、医療と介護をつなぐ共通言語として開発されてきています。加算の要件としての意義だけに限定することなく、各指標の意味を理解し、各専門職とのチームケアのもと利用者の状態を把握、支援方法を検討し支援を行うことで、介護保険の理念である自立支援・重度化防止の実現が期待されているのです。


※2…ICFという国際的な心身機能の分類方法を用いて、全老健の長年のデータを統計的に解析し、個々の心身機能をいくつかの軸で分け、5段階の絶対評価を行うというR4システム独自のもの


※ この記事は月刊誌「WAM」2024年11月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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