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第11回: 適正な法定点検の実施と法定点検に学ぶ「かしこい建物管理」

消防用設備点検とその重要性

 前回の特殊建築物定期調査・検査報告制度に続く、法定点検シリーズ第2弾として、消防用設備点検とそれに基づく建物維持管理についてご紹介します。
 不特定多数の人が利用する建築物において、ひとたび火災事故が発生すると多くの人命や財産を失いかねません。建物所有者や管理者はそのような惨事を回避する責務を負っています。そのために、建築物の用途や規模に応じて必要な消防用設備の設置が消防法において義務づけられています。
 消防用設備点検は、この設備がいざという時に機能するかを確認し、不具合が発見された場合には適正に是正することで機能維持を図ることを目的とした点検報告制度です。
 消防用設備は平時に使用することがないため、空調設備や給排水設備と異なり、日常的にその状態を把握することが難しく、それ故に年2回実施される点検が一層重要なものとなります。

消防用設備の維持管理における改善点

 消防用設備は専門性の高い設備であるため、職員の方が操作や設備に触れることに抵抗があるのではないでしょうか?
 しかし、日々の建物管理において設備のトラブルや人的なものによる誤作動・誤発報が生じることが多々あります。
 そこで、防災監視盤における復旧方法を記した操作マニュアルを備えてみてはいかがでしょうか。早急な復旧が職員の方でも可能となりますので、円滑な維持管理に向けての改善としてご提案します。

管理ポイント

自動火災報知設備

火災受信機

・警報スイッチ類が正常な位置にある
・常時点灯している電球の球切れがない
・電源(予備電源を含む)が入っている

総合盤

・表示灯が点灯していること
・発信機が使用しやすい状況であること

火災感知機

・日常の生活から発生する煙、温度変化、湿気に注意すること

非常放送設備

・一斉放送、階選択等の操作機能が正常なこと
・音量が十分に確保されていること等

非常電話放送

・非常電話の通話が正常にできていること

ガス漏れ火災警報設備

・有効期限が切れていないこと

消防法改正の情報をいち早くとらえた経済的な対応とは

 消防法の改正は、火災事故とそれによる防火・消防に対する備え、意識の変化とともに実施されてきました。法改正による新たな消防用設備の新設または改修は、建物所有者・管理者にとって大きな投資を伴います。
 しかし、法律の施行とそれに伴う義務化は突然切り替わるものではなく、経過措置という移行期間が設けられます。また、法改正への民間事業者の対応を促進する目的で、各自治体から補助金や助成金が交付されるケースも多々あります。

 新たな消防用設備を設置・改修することは、医療・福祉施設にとって重要な目的の一つである“利用者の安全の確保”をハード面で高め、建物としての価値を高めることにつながります。
 そこで、法改正や補助金・助成金の情報を的確にとらえ、その活用を見据えた修繕計画を組んで、他の修繕計画との優先度や資金計画等、建物管理方針を踏まえて予算化することで、経済的・合理的に対応することが可能となります。

補助金活用を含む用意周到な計画のお勧め

 平成19年6月の消防法施行令および消防法施行規則の改正より、グループホーム等の小規模施設へのスプリンクラー設備の設置が義務化され、その対応に苦慮されたことは、未だ記憶に新しいところです。
 私たちも多くの事業主から、「自分たちの施設も該当するのか?」、「いつまでにスプリンクラーを設置しなければいけないのか?」、「補助金はどうなのか?」等のご相談を受けました。
 そこで、まずは法改正の内容や経緯等を十分にご理解いただき、そのうえでどのように計画をすればよいのかを考え、上記のようなコーディネイトをすることで事業主のサポートを実施しています。

(サポート事例)

●法改正の内容・経緯、経過措置期間についての説明
●施設に応じたスプリンクラー設備の提案
●改修計画の立案と予算化に向けた支援
●補助金申請の支援
●工事施工

経済的な改善発注方法とは

 いくら法律によって義務づけられているからとはいえ、建物を適正に維持していくための修繕は消防設備だけではなく、施設の老朽化に伴う修繕など課題はたくさんあります。
 第10回目でご紹介した建築基準法12条点検とも関連してきますが、やはり建物全体における修繕計画と資金計画を立てていただき、その計画のなかに消防設備の是正改修もひとつの項目として計画していくことが重要と考えます。
 その計画を基に、例えば消防設備のスプリンクラー設備であれば、その他の給排水設備の改修とあわせて設備工事業者に、自動火災報知設備であれば、その他の電気設備とあわせて電気設備工事業者に、といったように専門工事業者へ発注することで経済的な発注を行うことができます。
 また、事前に用意周到な計画があれば、補助金・助成金の活用や他の設備工事の改修とあわせた専門工事業者発注等、経済的な是正改修が可能となります。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成27年2月号に掲載されたものです。
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