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第2回:財務管理、透明性の確保
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社会福祉法人の経営ガイド

この連載では、社会福祉法人という対象に絞った経営の考え方を皆さんとともに共有していきます。


<執筆>
独立行政法人 福祉医療機構
経営サポートセンター シニアリサーチャー
千葉 正展

前回は社会福祉法人制度改革を振り返り、社会福祉法人が今日、地域福祉に果たすべき役割とそれを支える経営の舵取りの重要性をみてきました。今回は社会福祉法人の財務管理の考え方とディスクロージャーの重要性について考えてみましょう。

財務管理とは

経営学の教科書的には、財務管理とは「資金調達・資金運用などの計画を立てて、遂行していく経営管理活動」と説明されます。

ここでポイントとなるのが、資金調達・資金運用の前提として、組織のなかでどのような資金の流れがあり、それをどのようにコントロールするかのイメージをつかんでおくことです。

営利企業、非営利組織を問わず、事業を実施していくためには、さまざまな資源を活用しなければなりません。その資源とは「ヒト・モノ・カネ」で、最近ではそれ以外に時間(トキ)・情報(シラセ)などさまざまなものを加える考え方もあります。いずれにしても「事業」とはそうした資源を使い、商品やサービスを生み出し、その組織外の者に対して提供していく活動だといえます。

世の中にあるこうした資源は、基本的にはタダではありません。たとえば商品やサービスの材料となるモノについては、仕入れてその代金を支払います。

製品やサービスを生み出すのに関わるヒトについては、雇用したり派遣を受けたりして確保します。被用者への給与や派遣職員の派遣元に対する対価が支払われます。

さらに製品やサービスを生み出すためには施設・設備を用います。施設については建設業者への建設工事費の支払い、設備については機器代や設置費用などがかかります。

このように事業を始める際には、あらかじめさまざまな費用を支払い、資源を獲得・準備したうえで、商品やサービスを生み出す活動に取りかかることになります。

これら準備された資源を使って生み出された商品やサービスを提供することで、対価やその他の形で資金を受け取ることになります。

以上をまとめると、事業を開始するに当たって準備した資金が、いったん材料や労働力、施設設備等に形を変え、商品・サービスが生み出され、それが再び資金の形に戻って環流してくるのです。こうしたサイクルを永続的に繰り返していくことが事業です。冒頭で述べた資金の「調達」とはこのサイクルに投ずる資金を獲得する活動で、「運用」とは調達した資金を施設・設備や材料、労働力などに変え、商品・サービスを生み出すために投入する活動です。

ところで、この資金が循環するサイクルは、いつでもうまく回り続ける保証はありません。事業を拡大するために設備投資などを行うときは、この資金サイクルのバランスが崩れがちになります。さらに生み出される商品・サービスが売れなければ資金として回収はできません。その間も事業を続けていくからには雇用した労働力に人件費を払い続けなければなりませんし、投資のための借入金の返済も売れ行きに関わらず支払わなければならないからです。

こうした資金回収がうまく進まないまま続くと資金の循環が滞り、最終的には資金がやりくりできない事態になってしまいます。経営破綻です。

財務管理とはこうした資金の一連の循環サイクルを円滑にするために行う管理活動なのです。

社会福祉法人における財務管理

上記で見た資金循環について社会福祉法人で特殊な点がいくつか指摘できます。

たとえば、サービスの受益者とサービスコストの負担者が異なることです。介護保険サービスでは、サービスを利用する受益者はそのサービスの利用によって要した費用の一部を負担しますが、残りは保険から事業者に資金が給付されます(介護報酬)。措置制度や保育委託制度では受益者は利用者ですが、費用負担者(=利用に対する資金の提供者)は行政です。企業のような「サービスが売れる・売れない」と表現すると違和感があるのはこのためです。

福祉サービスは国民のセーフティネットであり重要な社会資源です。企業でいう「売上が立たない」というのは、福祉では「サービスが利用されない」のと同義です。サービスが利用されなければ貴重な社会資源がフルに活用されていないことにもなります。これを財務管理的に見れば、サービスの「利用がない」というのは、結果として「資金の回収にもつながらない」ということになるのです。さらに資金回収ができず事業が立ちゆかなくなることはセーフティネットを支える事業の管理としてはあってはならないことなのです。

そのほかにも福祉における前述の資金循環サイクルの特徴としては、福祉サービスには設備構造基準、人員配置基準、運営基準といった最低基準が定められていることがあげられます。この基準を満たさないとサービスは提供できません。例えば施設を整備しても職員が確保できなければ、せっかく整備した居室も使えません。こうした最低基準は先に見た資金の循環サイクルで資金回収における制約条件となってしまいます。経営者はそうした制約条件も踏まえながら、資金の投下・回収の循環に滞りを生じさせないよう管理し続けることが重要となるのです。

さらに社会福祉法人においては、社会福祉事業に要する財産を所有しなければならないことも見逃せません。福祉サービスは一般に労働集約型産業だと見なされます。しかし社会福祉法人では福祉サービスを提供するための施設・設備は基本財産として法人所有が求められます。このため相当額にのぼる社会福祉施設設備を有しなければならず、資本集約型産業の側面も有しています。このためそうした資産獲得のための資金調達・運用の管理も、賃貸やリースで運営できる他の法人等とは異なる財務管理が求められるのです。

事業運営の透明性の確保

以上のような事業を行うに当たっての資金の調達・運用、投下・回収のサイクルから財務管理の必要性を見てきました。この資金の循環サイクルを円滑にする仕組みの一つにアカウンタビリティ(説明責任)があることも見逃せません。

たとえば資金調達に当たって、さまざまな関係者から施設整備に向けての寄付を募ることもあるでしょう。また寄付で十分でないときは借入を行うこともあります。福祉サービスの場合、施設整備等にさまざまな補助制度もあります。さらにボランティアの存在も福祉サービスでは特徴です。

寄付者に寄付をする意義をしっかり理解していただくために、寄付をして実施する事業の目的や見込まれる社会的効果、さらには寄付対象の事業者そのものの社会貢献能力・実績、寄付後の事業の社会的成果の表明などを明確にする必要があります。これはボランティアになることを考えている者に法人がアプローチするときの提供情報においても同様です。

借入を行うためには、当該事業者が融資対象として十分に安全な返済可能性を有しているか融資審査を行うために、当該事業者に係る財産や資金循環サイクルの状況をしっかり把握することが求められます。

補助金事業として採択されるためにも、事業者の実績・能力、交付補助金が無駄にならないよう事業者の経営安定性などの評価も必要となります。

こうした情報を法人の外側の人々は常に意識しながら、事業者に対して資源の提供の可否を意思決定しているのです。

そこで重要となるのが、提供される情報が意思決定に十分な内容(質・量)を有しているか、また情報に虚偽がなく、意思決定に利用するために十分な信頼性があるかということも重要な要素となります。

社会福祉法人においては、平成12年になされた社会福祉基礎構造改革のための社会福祉法の改正において、「社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。」(社会福祉法第24条第1項)という条項が定められました。また平成28年の社会福祉法人制度改革における社会福祉法の改正において、社会福祉法人はそれまでの所轄庁への必要な情報の届出(現況報告書、計算書類等:社会福祉法第59条)に加え、一般国民等に対する情報の提供が法律上の義務として定められることとなりました(社会福祉法第59条の2)。

その具体的な情報提供の方法としてWAM NETの基盤を活用した「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」が構築・運用されることとなりました(社会福祉法第59条の2第5項)。

※ この記事は月刊誌「WAM」2020年5月号に掲載されたものを掲載しています。

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