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第3回:社会福祉法人の会計制度と一般原則
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社会福祉法人の経営ガイド

この連載では、社会福祉法人という対象に絞った経営の考え方を皆さんとともに共有していきます。


<執筆>
独立行政法人 福祉医療機構
経営サポートセンター シニアリサーチャー
千葉 正展

前回は社会福祉法人の財務管理の考え方とディスクロージャーについてみてきました。今回は社会福祉法人の会計制度と会計原則についてみてみましょう。

会計基準とは

会計とは、組織の活動について貨幣価値を用いて認識、測定、分類、報告する技術的体系だとされます。たとえていうなら、貨幣価値という光を当てて見える被写体(=組織の事業活動)を写真撮影するようなものです。

また会計には、その情報を作る人と使う人とがいます。会計を作る人は、基本的にはその組織の内部にいて活動を写し取っています。使う人は組織内外で活動状況に関心を寄せる人々です。ここで問題となるのが、作る人と使う人とが異なるため、同じ被写体でも光の当て方やアングルによって違うものに見えてしまう可能性があることです。

そこで作った人と使う人とが同じルールで被写体を見ることにすれば、両者の齟齬はかなり解消されることになります(図表1)。このルールのことを会計基準といいます。

図表1
社会福祉法人の会計の説明責任

わが国には企業、非営利組織、政府など様々な組織があります。そしてそれぞれの置かれた状況に応じて、どのような説明責任を果たしていくかも異なることから、会計基準も異なった種類のものが作られています。

社会福祉法人についても、固有の会計基準が存在しています。社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的に社会福祉法に基づき設立される法人です。社会福祉事業とは憲法第25条で定められる国民の生存権を国として保障するためのプログラム体系で、社会福祉法に定められています。

これらをあわせると社会福祉法人は、国が実施責任を有する社会福祉事業を担う法人だといえます。このため国は社会福祉法人が行う社会福祉事業が公明かつ適正に実施されたかどうかを常に管理し続ける必要があるのです。この説明責任を担うのが社会福祉法人の会計の特徴です(社会福祉事業に固有の会計ルールの側面)。

一方、社会福祉法人は、一般の組織と同様に経済取引を行っており、それらの外部の利害関係者に対する説明責任も存在します(他の主体とも共通した会計ルールの側面)。

よく社会福祉法人会計は特殊だといわれることがありますが、実は上記のように固有と共通の両面があり、決して特殊なだけではないのです。

社会福祉法人会計基準

社会福祉法人の会計については、社会福祉法第45条の23から第45条の35において社会福祉法人の「計算」として定めがあります。第45条の23においては、「社会福祉法人は、厚生労働省令で定める基準に従い、会計処理を行わなければならない」として、社会福祉法人会計基準省令を定めることとされています(以下、「会計基準省令」という)。

会計基準省令第1条では、社会福祉法人会計基準は社会福祉法人の会計処理の基準及び計算書類等の作成の基準を定めるものとされています。

また会計基準省令第2条では、会計基準省令に定めのないものについては、「一般に公正妥当と認められる社会福祉法人会計の慣行を斟酌しなければならない」と定めています。そしてこの「社会福祉法人会計の慣行」として、厚生労働省から2つの通知が発出されています(「運用上の取扱い」通知、「運用上の留意事項」通知:図表2)

図表2
社会福祉法人会計の一般原則

会計基準省令の第1章(第1条〜第2条3)は総則として、会計処理の基礎となる事項を定めています。第1条は社会福祉法人会計の基準(目的)、第2条は会計原則(一般原則)、第2条の2は総額表示、第2条の3は金額表示の単位です。

ここでは会計基準省令の第2条の「会計原則」についてみてみましょう。企業会計では「一般原則」と称されるものに相当します。社会福祉法人の場合、4つの原則が定められています。

真実性の原則と明瞭性の原則

1つ目は「真実性の原則」と「明瞭性の原則」です。まずは真実性の原則です。会計の実務においては会計処理や見積もりの選択など作成者の側に一定の幅が認められる場合があります。このため同じ会計事象に対しても、異なる認識・測定の結果となることがあり得ます。この選択が一般の会計慣行として認められるものであれば、いずれも真実だと見なされます。次に明瞭性です。明瞭性とは、利害関係者に会計情報を伝達する手段となる財務諸表において、表示の区分方法や勘定科目の分類方法、配列方法などについて見やすく、概括的に理解が可能なことが求められます。また、重要な会計方針や後発事象などについて、注記で適切に表示することも含まれます

「会計は法人の自治だ」として一般には認められないような会計処理方針を選択したり、「うちの法人に都合のよいやり方で勝手に勘定科目を決めている」としたりするのは真実性の原則や明瞭性の原則に違反するものです。会計基準省令においては、真実性の原則を担保する選択可能な会計処理方法も、明瞭性の原則を担保する財務諸表の様式や勘定科目・用語なども定められています。しっかり理解して遵守することが大切です。

正規の簿記の原則

2つ目は「正規の簿記の原則」です。正規の簿記とは、正確な帳簿記録にもとづいて財務諸表が作成されていることを意味します。具体的には、@網羅性があること(組織の経済活動が網羅的に記録されていること)。A立証性があること(すべての会計記録が検証可能な証拠書類に基づいて作成されていること)。B秩序性があること(すべての会計記録が継続的、組織的に行われていること)。そしてこれらの性質を満たすのが一般には複式簿記だとされています。

社会福祉法人の会計でも複式簿記が採用され事業活動計算/貸借対照表の総勘定元帳系列の仕訳を行うのと同時に、資金収支計算系列の仕訳も行っており、総勘定元帳から見積り誘導でキャッシュフロー計算を作成する企業会計と比べて、資金計算について緻密な処理が行えているのも特徴です。

継続性の原則

3つ目は「継続性の原則」です。これは、いったん採用した会計処理の方法は毎期継続して適用することを求める原則です。会計処理方法の選択を悪用すれば、作成主体にとって都合のよい恣意性が働く余地が生じます。いったん採用した方法を継続的に適用することで、恣意的な会計情報のバイアスを排除しようとするものだと解されます。

重要性の原則

4つ目は「重要性の原則」です。本来会計は、正確な計算を行うべきとされています。しかしながら、会計の目的は組織の財務内容について利害関係者の判断を誤らせないようにすることなので、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められるとする考え方です。

※ この記事は月刊誌「WAM」2020年6月号に掲載されたものを掲載しています。

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