福祉医療経営情報記事
トップ



 

◆◆ 平成21年度 ◆◆

公表素案から読む 社会福祉法人会計基準一元化の方向

第18回 新たな会計手法の導入 (6)税効果会計

 経営支援室 経営企画課長 千葉正展

18.新たな会計手法の導入 (6)税効果会計
公益法人会計基準に採用されている会計手法の導入

        資料:厚生労働省
        注)平成21年12月現在の状況を記載した資料であり、未確定事項も含まれる。

(ここに注目!)
 現行の会計基準では、基本的に社会福祉事業を適用対象とし、公益事業では適用できる規定、収益事業にあっては企業会計の基準を適用するとされてきた。このため、現行適用範囲の中では、法人税・住民税・事業税といった法人の所得に対する課税はほとんど行われることがない。そのような事情もあって、これまでは税効果会計の考え方を規定されることはなかったと考えられる。
 ところで、そもそも税効果会計とは何か?それは、企業会計における利益計算と税務会計における課税所得計算とでは、その目的が異なるため、企業会計での損益と税務会計での益金・損金との認識の範囲やタイミングにずれが生じている。これらのずれを合理的に会計上表示しようとするのが、税効果会計で、企業会計の分野では平成10年に「税効果会計に関する会計基準」が設定されている。
 今回の一元化は、収益事業もその適用範囲に抱き込むことになるため、今回の一元化の検討でも導入するとされたものである。近時、たとえば高齢者介護の分野では、有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅など、法人税等の課税対象となる事業を実施する社会福祉法人も増大しつつある中で、このような会計処理の導入を図らなければならないことも増大する可能性が考えられる。