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◆◆ 平成21年度 ◆◆

公表素案から読む 社会福祉法人会計基準一元化の方向

第19回 退職共済制度の明確化

 経営支援室 経営企画課長 千葉正展

19.退職共済制度の明確化
退職共済制度の取り扱いの明確化

     資料:厚生労働省
        注)平成21年12月現在の状況を記載した資料であり、未確定事項も含まれる。

(ここに注目!)
 機構の制度の場合、確定拠出型の制度であり、掛金の拠出以降は法人に追加負担がないことから、退職給付に向けた債務認識は行わず、当該拠出額をもって費用処理することとなる。
 また都道府県等の制度では、しくみが多様なので一概には言えないが、掛金を費用処理せず、預け金で処理して、同額を負債に「退職給付引当金」として計上する方法となるのではないかと考えられる。(機構の退職共済や都道府県等の退職共済については、それぞれの現在の処理方法に変更がないのではないかと考えられる。)
 ここで問題になるのは、これらの制度を使っていない法人やこれらの制度に上乗せする形で法人独自部分の退職給与を定めている場合など、法人が当該退職給付について債務認識しなければならない場合だ。現行の社会福祉法人会計基準でも、実は本則で将来見込まれる退職給付額を見積もり、現在価値に割り引いた額を用いて、当期退職給付引当金繰入すべき額を算定することとなっている。ただし、現行の会計基準では、「こうした計算が困難な場合には」として、簡便法(期末要支給額による算定)の方法を認めている。このような取り扱いでは、どのような場合が原則法となるのかの基準があいまいだとされる指摘もあったことから、今次の一元化検討の中で原則法の適用の範囲が明確に示されることになるのではないかとみられる。