福祉医療経営情報記事
トップ



 

◆◆ 平成21年度 ◆◆

公表素案から読む 社会福祉法人会計基準一元化の方向

第2回 新基準(素案)の考え方・構成

 経営支援室 経営企画課長 千葉正展
     
    2.新基準(素案)の考え方・構成

新基準(素案)の考え方・構成
        資料:厚生労働省
        注)平成21年12月現在の状況を記載した資料であり、未確定事項も含まれる。

(ここに注目!)
 「基本的な考え方」の部分では、既存の法人会計基準、指導指針等など、これまで社会福祉法人の各種事業に適用されてきた様々な会計基準を参考にするとされている。これは、社会福祉事業、介護関係事業、医療関係事業など、それぞれの事業の制度上の要請、指導・監査上の要請などを無視しないという意味でもある。会計基準はあくまで、法人の事業経営の実態を写し取る写真のようなものであり、会計基準が変わったとしてもそれはこれまでの各種事業に対する規制や指導の中身まで変えるものではないと言い換えることができよう。そうした各種事業に対する要請の最大公約数的な「大きな傘」の骨組みを決めようとするのが今回の一元化による新たな会計基準なのだ。
 そのような事情もあり、「新基準(素案)の構成」では、「大きな傘」の骨組みを決める「基準と注解」を定めたうえで、各種事業ごとの取り扱いやその他運用ルールの取り扱いを定める「運用指針」が定められるとされている。
 たとえて言うのであれば、現在の法人会計基準でも、会計基準本体の局長通知のもとに、その運用等を定めた各種の課長通知などが定められている現状(図)と似た規定構成になっていく可能性がある。ただし、今回の一元化される新・法人会計基準(素案)はこれまでより広範な範囲を網羅する形をとるため、従来の社援施6号〜9号を単に焼きなおす程度では収まらないのではないかと思われる。
現状の社会福祉法人会計基準関係の通知の規定構成