福祉医療経営情報記事
トップ



 

◆◆ 平成21年度 ◆◆

公表素案から読む 社会福祉法人会計基準一元化の方向

第7回 会計の区分と適用会計ルール

 経営支援室 経営企画課長 千葉正展
     
    7.会計の区分と適用会計ルール

「区分方法の変更」の事例による説明
        資料:厚生労働省
        注)平成21年12月現在の状況を記載した資料であり、未確定事項も含まれる。

(ここに注目!)
 現行の会計ルールでは、実施する事業の種類によって、適用される会計基準が異なっていたことから、法人としての決算書を作成するときは、事業の種類や会計の区分の仕方をパズルのように巧みに組み合わせてまとめ上げる必要があった。
 今回の公表資料では、そうした事情を例示されている。たとえば、同じ社会福祉事業の中でも就労支援事業については、別ルールの財務諸表として切り出されて作成され、その他の社会福祉事業との決算書上の統合でも課題があった。
 また、同一の事業拠点の中で、社会福祉事業だけでなく公益事業や収益事業が一体となって実施されている場合もあった。
 これらの事情もあり、これまでの会計基準の取り扱いでは、社会福祉法人という法人の体裁はとっているものの、法人全体として会計情報を見渡すのが、大変に困難な状況にあった。今回会計基準を一元化する大きな目的はこうした課題を解決する狙いがあったと考えられる。
 ただし、会計基準はあくまで事業体の経営活動を貨幣価値で認識・測定し、分類、表示するという、あくまで経営活動を写し取る写像行為でしかないものであり、会計の基準が変わったからといって、これまでの法人や施設・事業に対する法令・制度的な規制が変わるものではない。したがって、措置施設や保育所など交付される運営費の資金使途制限が変わるものではないことから、法人合算した財務諸表データを利用する立場としては、資金使途制限のあるものやないものを合算した全体での資金のあり高や動きを見る際には、引き続き注意が必要となる。