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◆◆ 平成21年度 ◆◆

公表素案から読む 社会福祉法人会計基準一元化の方向

第6回 会計の区分方法の変更

 経営支援室 経営企画課長 千葉正展
     
    6.会計の区分方法の変更

区分方法の変更
        資料:厚生労働省
        注)平成21年12月現在の状況を記載した資料であり、未確定事項も含まれる。

(ここに注目!)
 新基準では、収益事業等も含めた真に法人全体の財務諸表等を作成することとなる。加えて、各種の法令や制度等の要請によって、社会福祉法人の会計はいくつかのレベルでの区分が要請されている。新基準ではそうした制度や経営管理上の要請も踏まえ、「事業区分」(社会福祉事業・公益事業・収益事業:社会福祉法第26条第2項の要請)、「拠点区分」(現行の指導指針の「会計区分」に準じた取り扱いの区分:会計管理上の実務上の要請)、「サービス区分」(現行の指導指針の「セグメント」に準じた取り扱いの区分:介護保険法等の各基準省令における会計の区分要請)という新たな区分方法が導入された。
 従来の法人会計基準では、区分として会計単位と経理区分が設定されていたが、複数の場所を拠点に事業展開する法人の場合、現行の計算書類体系では、外部の利用者からみるとどの経理区分とどの経理区分とが同じ場所で実施している事業なのかが明瞭ではなかった。今回の新基準では同一拠点で実施する事業をまとめて表示する「拠点区分」が設定されることとなった。
 また、経営や実務の側面からも、同一拠点で複数の事業を行なっている場合、土地・建物・借金や共通経費など、複数の事業ごとに帳簿組織を整えて管理していくということは困難あるいは不可能に近いケースもありうる。他方、収入や支出などフローのものについては、拠点の中にあるサービス単位である程度の区分ができる。その意味で経営管理のために会計情報を活用する管理会計という点からは、今回、拠点区分のレベルで管理できるようになるのは、むしろ有効性が高まると考えられる。
 現行基準と比較すると、新基準(素案)では、拠点区分というレベルが新たに設定された。このことは、これらのそれぞれの会計の区分の単位で財務諸表等を作成することが求められるという意味だから、作成を要する財務諸表の数が増えることを意味する。このため、作成すべき財務諸表等については一部省略可の取り扱いがなされることが、素案では想定されている(詳細は後述)。