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◆◆ 平成21年度 ◆◆

公表素案から読む 社会福祉法人会計基準一元化の方向

第14回 新たな会計手法の導入 (2)金融商品会計

 経営支援室 経営企画課長 千葉正展
     
    14.新たな会計手法の導入 (2)金融商品会計

公益法人会計基準(平成20年4月)に採用されている会計手法の導入
        資料:厚生労働省
        注)平成21年12月現在の状況を記載した資料であり、未確定事項も含まれる。

(ここに注目!)
 公益法人会計基準に導入されている新たな会計手法の導入として、金融商品の時価会計の導入について触れてみたい。
 企業会計などでの金融商品会計は、その対象となる金融資産が現在では非常に高度化・複雑化し、会計としてどの時点で、どのような取引を、どのような性格として、いくらの価額で評価して、財務諸表のどの部分に表記するかというのが一筋縄ではいかない状況の中、非常に難解な会計処理の取扱いも検討の対象となっている。
 しかしながら、社会福祉法人の場合の資産運用の実態は、あくまで法人の基盤となる財産のうちの余裕部分の運用であるもので、安全確実な資産への運用を基本とされ、投機的目的を持ったキャピタルゲイン(市場相場の変動をもとに利益を得る投機活動)を狙う投資行動は基本的には行われない。
 そのなかで今回金融商品会計として検討されたのが、有価証券の時価評価である。現行の会計基準では、貸借対照表に計上される有価証券の額は、当該有価証券を取得した時点での価額に基づいて、総平均原価法や移動平均原価法などの評価方法を用いて計算される仕組みであり、これだと含み損、含み益が生じ、適正に資産価額が評価されないという点から、今回の見直し案では、満期保有目的以外の社債その他の債券については、時価をもって貸借対照表価額とするという案が示された。