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◆◆ 平成21年度 ◆◆

公表素案から読む 社会福祉法人会計基準一元化の方向

第13回 新たな会計手法の導入 (1)ワンイヤールール

 経営支援室 経営企画課長 千葉正展
     
    13.新たな会計手法の導入 (1)ワンイヤールール

公益法人会計基準(平成20年4月)に採用されている会計手法の導入
        資料:厚生労働省
        注)平成21年12月現在の状況を記載した資料であり、未確定事項も含まれる。

(ここに注目!)
 今回の見直し案では、公益法人会計基準など他の会計基準とのコンバージェンス(収斂)も視野に入れて、新たな会計手法の導入も示された。今回はそのうちの第1点目として、1年基準(ワン・イヤー・ルール)について触れてみたい。
 1年基準とは、その名の通り、決算日翌日から1年以内という期間を基準として固定資産・負債と流動資産・負債を区分しようとする考え方だ。現行の会計基準との取扱いの違いは、現行基準では長期借入金や長期の積立預金などは、その契約時点(借入を起こした時点や預金に預け入れた時点)で1年を超す契約となっているかどうかで区分してきた。
 しかしながら、これら長期資産や負債は時間が経過し、満期日または返済日に関し、決算日からみて残期間が1年以内になるものについては、当該固定資産や固定負債は1年以内に換金可能な(=支払い手段として流動性がある)資産・負債とみなされることから、今回の見直しに当たっては、これらの部分について流動資産もしくは流動負債に振り替えるという取り扱いを導入しようとするものだ。
 ただ1点問題となるのは、これら流動資産や流動負債は、資金収支計算書の資金概念である正味運転資金または支払資金に関連するものであり、この資金収支計算書をベースに現在は措置費・運営費等に関する資金使途制限が課せられている。このため今回の見直しでは、貸借対照表上では1年基準により表示区分の振り替えを行う一方で、資金収支計算書の資金概念は変えないという案が示された。(つまり資金収支計算書の資金概念には「1年以内の長期借入金返済額」などという勘定科目は含まない(=計算から除外する)という考え方となる模様だ。)