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◆◆ 平成21年度 ◆◆

公表素案から読む 社会福祉法人会計基準一元化の方向

第11回 基本金・国庫補助金等特別積立金の取扱い

 経営支援室 経営企画課長 千葉正展
     
    11.基本金・国庫補助金等特別積立金の取扱い

基本金・国庫補助金等特別積立金の取扱い
        資料:厚生労働省
        注)平成21年12月現在の状況を記載した資料であり、未確定事項も含まれる。

(ここに注目!)
 基本金は、平成12年度の社会福祉法人会計基準から導入された概念だ。社会福祉法人会計基準では、使用により価値の減少する有形固定資産をその使用する会計年度に費用配分する減価償却が導入され、貸借対照表の左側(借方)に表示される現物財産としての償却資産は年々減価償却によって価額が減少していく。そのなかで法人設立や施設創設等のためになされた寄付者の意図を後年度にわたって明確にしていくことを目的として、貸借対照表の右側(貸方)に拠出された寄付金の額を明確にしておくこと、これが基本金の根本となる考え方である。そのなかで現行会計基準では、当初の寄付者の寄付とは関連のない第四号基本金なるものが設定されており、基本金の概念が首尾一貫していなかったという問題があった。そこで、今回の見直しでは、法人設立や施設整備などの「はじめの一歩」となる資金の拠出(現行の会計基準での第一号〜第三号基本金)に限定され、従来利益処分としての意味付けがされてきた第四号基本金は廃止という案が出された。
 国庫補助金等特別積立金については、借入金元金償還補助金を施設整備時の補助金の後年度の繰り延べ払いと位置付けて施設整備補助金と同様の取扱いとすることや、減価償却に応じて貸借対照表から取り崩された事業活動計算書の国庫補助金等特別積立金取崩額を従来の収入側に計上することを改め、支出の減価償却費から差し引く計算・表示方法としたこと等の改正案が示された。
 その他、第一号基本金や国庫補助金等特別積立金の「固定資産限定」を、実態に即した計算・表示とするため限定を外す見直し案が示された。