今日、少子化、高齢化が進行する中、高齢者や障害者の孤立、児童虐待、子どもの貧困、若者を含めた「格差問題」などの福祉課題がますます複雑化、深刻化していく一方、地域の絆が薄れ、家族機能が弱くなるとともに、行政による対応にも限界が指摘されています。
こうした中で地域における互助や共助、支え合いがあらためて重要となり、NPO法人などによる民間の福祉活動に対する期待が高まっています。
WAM助成では、NPO法人などの民間の創意工夫ある福祉活動等に対し助成金を交付し、その事業の立ち上げを支援するとともに、全国的・広域的活動への発展を図ることを目指しています。
また、WAM助成では、助成先のNPO法人などが地域の様々な主体と連携・協働して展開する福祉活動に対して助成する特徴ある仕組みとしていますので、地域において広がりをもった総合的な課題解決が図られることとなります。
さらに、WAM助成金の交付は地域の活性化への呼び水ともなり、地方の創生・発展にも寄与することが期待されます。
今日、複雑化・深刻化する福祉課題に対し、単独の団体が支援できることは自ずと限られてしまいます。
例えば、一人暮らしで栄養が不足がちとなった高齢者を支えていこうとする場合、単にお弁当を届ける活動だけではその方の生活課題は解決しません。NPOが定期的にお弁当を届ける中で課題を発見し、自治会や民生委員など地域の方々の見守りにつなげ、時には学校と協力して地域の子どもが訪問し、健康面で不安な場合は行政の保健師さんや地域の診療所の力を借り、介護保険にもつなげてデイサービスを利用したり、買い物やちょっとした家事には地域のボランティアさんがお手伝いに・・・。
WAM助成では、このような地域の多様な主体の連携のハブとなるNPOなどに助成することで、地域での総合的な取組みを支援し、併せて、一過性の助成金交付や課題解決に留まるだけでなく、助成後も地域の活性化・新たな創生につながる協働関係、ネットワーク作りの継続が維持されるような助成を目指しています。
WAM助成では、助成金交付後の事業評価にも力を入れています。
この事業評価は、全ての助成先が自ら行う「自己評価」、全助成先の約3分の1に対し行う「ヒアリング評価」、「ヒアリング評価」以外の助成先について、書面等により行う「書面評価」の3種類の評価を、助成の翌年度に実施しています。
さらに助成終了後1年及び3年経過後にも、事業の経過状況や波及効果などを調査する「フォローアップ調査」も行っています。
事業評価の結果については、毎年、新たな福祉課題や注目すべき優良な取組みなどと含め、報告書としてまとめ公表するとともに、行政当局にもお知らせし、政策への反映を促しているほか、以後の助成の改善(助成テーマの見直しなど)につなげるPDCAの機能も果たしています。
また、ヒアリング評価の結果については助成先にもフィードバックし、以後の団体運営や活動の継続・発展などにも活かしていただくこととしています。
この事業評価制度は、WAM助成の大きな特徴の一つであり、今後とも、着実に実施することとしています。
事業評価の結果は、新たな助成テーマの設定などにも反映されています。事業評価を実施する中で、支援の足りない分野や新たな福祉課題を発見し、行政当局と連携して、政策課題と整合性のとれた新しい助成テーマを設定するとともに、制度化などによって一定の役割を果たしたテーマはスクラップするなど、時宜に応じた喫緊の助成テーマを設定することとしています。
こうした助成テーマの設定によって、例えば、貧困対策の分野において米国で生まれ民間ならではの取組みとして静かに注目されつつあった「フードバンク」の活動や18歳以上の行き場のない子どもを緊急避難させる「子どもシェルター」の活動を全国で支援してきました。これら各地の取組みが実績をあげたことで制度化につながるなどの成果を生んできました。
WAM助成では常時、助成相談窓口を開設し、相談を承っています。
助成相談は、①事業の計画段階からご相談を受けることで、より大きな効果が期待できる活動を計画し、実現していただくこと、また、②たとえWAM助成のご応募につながらなくとも、団体の運営や活動、資金調達などに対して広くアドバイスを受ける機会として活用いただくこと、といった点から積極的に実施してきています。
そして、ご相談を通じて、場合によっては貸付事業やWAMNET事業など、WAMが持つ様々なサービスにつなげていくことも少なくありません。
助成相談は、福祉現場と国の行政当局とをつなぐWAMとして、福祉の現場の声を直接伺うことのできる貴重な機会ともなっています。
WAM助成では、これまで助成テーマの絞り込みや電子化の促進など業務の改善を図ってきました。平成26年度に行われた行政事業レビュー公開プロセスでの指摘を受け、平成27年度から以下のとおり取り組んでいます。
指摘事項 |
平成27年度からの取り組み |
(1)自治体・民間とのすみ分けの整理 |
WAM助成の特徴である「連携型助成」に特化した見通しを 行うとともに、助成テーマも貧困・格差対策、児童虐待防 |
(2)事務費の見直し |
これまで各地で開催してきた会計事務担当者説明会につい て、電子化等を図り、在宅で受講可能な低廉で分かりやす い形に見直していくなどの改善を行っています。 |
(3)事業成果の十分な把握 |
事業評価やフォローアップ調査等を効率的に実施するとと |
WAM助成では、引き続き、更なる業務の改善や効率化に向けて取組むこととしています。
補助金や助成金をめぐる不正使用などが時折報道されることもあり、貴重な公的資金を財源としているWAM助成では、助成先のガバナンス強化については極めて重要であると認識しています。
また、平成25年12月24日に閣議決定された「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」の中でも、独立行政法人等が行う助成事業について、助成先団体の法令遵守体制の確保のためのガバナンス強化の支援などが謳われました。
WAM助成ではこれらを踏まえ、助成が内定した団体に対して事務説明会を実施し、助成の趣旨と助成金が貴重な公的資金からなり、適切な資金の管理が求められることなどを再認識していただくとともに、従来より実施してきた助成期間中に全助成先団体を対象に実施している進捗状況調査をさらに強化し、事業評価の中においてもガバナンス体制の確認を行い、必要に応じて個別の団体に対して実地に助言・指導しています。
WAM助成では、今後もこうした助言・指導を通じて、助成事業で成果を上げるだけでなく、活動団体のガバナンス強化も徹底し、地域で信頼の得られる団体の育成に努めています。
助成事業においては、助成の成果の普及は極めて重要です。
WAM助成では、優れた取組み事例のほか、助成事業で行われたモデル的な取組みの結果やその事業手法などの成果について事業評価などを通して丹念に把握し、ホームページ、WAMNET、facebook、月刊誌「WAM」、各地で開催する「助成セミナー」などで幅広くご紹介し、積極的にその普及に努めております。
これらの助成事例については、こちらのページ(特に優れた事業の紹介)をご覧ください。
また、活動分野や地域から検索することも出来ます。→こちらのページ(事例紹介)をご覧ください。
今後とも幅広く助成成果の普及を図っていくこととしております。
WAM助成では、助成金の配分だけでなく、様々な創意工夫を行い、より付加価値の高い支援を目指しています。
改めて、WAM助成の主な特徴点について述べると、以下のとおりとなります。
これらのWAM助成ならではの特徴を活かし、「単に助成金を配分するだけでなく、様々なお手伝いを通して、より皆さんの活動のお役に立つ付加価値の高い助成制度にしたい」。これがWAM助成の目指す事業のあり方です。
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