「協力」と「対話」からみえたもの
~社会とのコミュニケーションがうながす事業の成長~
開催日:令和 元年 9月 30日(月曜日) 定員: 200名 (先着順)
【主催】独立行政法人福祉医療機構 【後援】厚生労働省
令和元年9月30日(月)品川フロントビル会議室にて、WAM助成フォーラム2019『「協力」と「対話」からみえたもの~社会とのコミュニケーションがうながす事業の成長~』を開催し、184名の方にご参加いただきました。 事業に成長をもたらす連携先や伴走者との協力や対話の方法について、WAM助成先団体による成果報告や登壇者による意見交換について対話形式により考えを深めました。 以下概略を紹介します。 |
まず「視点の提示」として、ファシリテーターの水谷衣里さんから、「協力」と「対話」に取り組む目的や成果報告を聞く視点についてご紹介いただきました。
「協力を通じてサードセクターを豊かに」
「よき対話を目指して」
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こうした「協力者」や「対話」の視点が示された後、WAM助成先である3団体から「誰と」「どのような」対話をしてきたかを交えて成果報告をいただきました。
STORIAは東日本大震災でうきぼりになった子どもの貧困問題やその連鎖を断ち切るために「生きる力を育む」事業に取り組まれています。
WAM助成では、市営住宅に子どもの居場所を開設し、学習・食事・体験という3つの柱で子ども達の成長につながる場を提供しました。
【協力と対話のポイント】
◇ 地域の協力者との対話 ⇒ 地域住民やボランティア、プロボノ向けに勉強会や研修を開催。困難を抱えた家庭や子どもの状況を個人の課題ではなく、地域社会の課題であるとの認識を共有した結果、協力の輪が広がった。
◇ スタッフとの対話 ⇒ 毎回の活動後、スタッフでの振り返りの時間を設け、記録をとることを心がけた。子どもたちに現れた良い変化について言語化していく中で、団体内でよりよくしていく意識や行動が習慣化された。
◇子どもたちやその保護者 との対話 ⇒ 子ども達の自己決定の尊重などを意識して関わったことで中学生となった子どもたちが自発的に小学生のサポートをするようになった。 ⇒ 成長など良い変化を記した手紙を子ども本人や保護者に手渡すことで、子どもや保護者の自己肯定感の向上や安心感につなげることができた。 |
サステイナブル・サポートは発達障害や精神障害など目に見えない生きづらさを抱えた人が働くことを通して自分らしさを取り戻すためのサポートを提供しています。
WAM助成では、困っている人を生み出さない仕組みを作るために、丁寧な支援が必要となる大学生を対象に就職でつまづき、生きづらさを抱える状況を未然に防ぐための「キャリプロ」を実施しました。
【協力と対話のポイント】
◇伴走支援者との対話 ⇒ 事業運営や評価の専門家に伴走支援を依頼し、定期的な会合を通して、思いの言語化を進めた。課題の具体的状況を数字等に置き換えることで、事業の価値を協力機関と共有しやすくなり、事業の方向性を明確にすることができた。
◇関係者との対話 ⇒ 今後の全国的な事業の展開を見据えて、専門知識をもった研究者や大学、行政(国)等とともに研究会を定期的に開催している。対話を続けることで、ニーズに対応するための連携のあり方が具体化してきている。 |
四つ葉のクローバーは社会的養護の必要な若者たちの自立を後押しするために、住居の提供や生活支援、就労支援、アフターケア支援を行っています。
WAM助成では、自立援助ホーム退所後の若者たちの居場所の運営及び地域における自立支援体制の強化を図るアフターケア事業を行いました。
【協力と対話のポイント】
◇関係機関との対話 ⇒ アフターケア専門員を配置し、中小企業同友会やハローワークなどの関係機関との連携を強化し、若者に対する細やかなフォローを企業とともに考える場を持つことで、企業側が若者の置かれている状況を正しく認識し、結果として、就労の継続につながっていた。
◇若者との対話 ⇒ 若者が自主的に行っている「真夜中会議」にスタッフも参加。対話の際には、「どうしたいのか」と決意を口にさせて若者を追い込んでしまうことを避けるため、若者のつぶやきからニーズを拾い上げていくことを心がけた。
◇地域住民との対話 ⇒ ドリームライブ(社会的養護施設退所者によるライブや語り)や若者の声を掲載した「四つ葉通信」等を通じて、地域住民に対し、若者が抱えている問題を丁寧に伝えることで、応援の輪を広げた。 |
フォーラム終盤では、成果報告登壇者である3名とファシリテーターの水谷衣里さんによる「まとめセッション」を行いました。「協力関係を構築するカギ」や「対話に必要なポイント」、「評価の実践」などについて対話形式で理解を深めました。
詳しくは以下の「いきいきチャレンジWAM助成フォーラム2019開催報告」記事をご覧ください。
参加者の皆さまから頂いたコメントの一部を紹介します
※当日の資料を掲載しておりますのでご覧ください。
発表資料データ | |
●視点の提示 ファシリテーター 株式会社 風とつばさ 代表取締役 水谷 衣里 さん |
(1,438KB) |
●成果報告 特定非営利活動法人STORIA 代表理事 佐々木 綾子 さん |
(3,012KB) |
●成果報告 一般社団法人サステイナブル・サポート 代表理事 後藤 千絵 さん |
(2,056KB) |
●成果報告 認定特定非営利活動法人四つ葉のクローバー 杉山 真智子 さん |
(2,481KB) |
社会課題が複雑さを増すなか、民間福祉活動においても、多様な主体との連携が欠かせなくなっています。
事業を行う際、「単独の実践」から「仲間との実践」への転換が求められているのではないでしょうか。
本フォーラムでは、活動団体が連携先や伴走者との協力や対話を重ねることが、課題解決や事業の成長にどのような効果をもたらすのか、またその際にどのような工夫が考えられるのか、活動団体の実践事例を対話形式で深く掘り下げながら考えます。
品川フロントビル会議室
東京都港区港南2-3-13 地下1階 (JR線・京急線「品川駅」港南口より徒歩3分)
※ 駐車場のご用意はございません。公共交通機関をご利用ください。
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アクセスマップは
こちら (品川フロントビルのサイトへリンクします)
受付(13:00~13:30)
開会・主催者挨拶(13:30~13:40)
視点の提示(13:40~14:00)
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<ファシリテーター>
水谷 衣里(みずたに えり)さん
[プロフィール] 三菱UFJリサーチ&コンサルティングにて、民間公益活動・企業の社会貢献活動に関する政策立案、コンサルティングに従事。独立後も引き続きソーシャルファイナンス・社会的インパクト投資・コミュニティ投資といったソーシャルセクターへの資金還流や、ソーシャルベンチャーの経営支援をはじめ課題解決の実践者・支援者の創出・育成に携わる。また、2018年には一般財団法人 世田谷コミュニティ財団を立ち上げ、代表理事を務める。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン理事。各種助成プログラムの審査員やアドバイザー、複数の大学教員等の実績を持つ。
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成果報告(14:00~16:15) |
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<成果報告団体>
団体1: 一般社団法人サステイナブル・サポート
[団体・事業紹介] 誰もが自分らしく生きることのできる社会を目指し、2015年に法人を設立しました。障がいがあっても働くことを希望する人に就労支援を提供しています。この他、就労移行(定着)支援事業所・就労継続B型事業所を展開しています。
WAM助成では、発達障がいの特性や傾向があっても福祉制度が利用できない大学生を対象に就労するにあたっての支援を行いました。大学から社会への移行期につまずき、問題が複雑化する前に予防する仕組みを外部有識者と検討し、成果を「就労」ではなく、自己の特性への気づき・受容と自分らしい生き方の選択とし、社会適応をサポートしました。
[プロフィール] 広告出版社、外資系企業勤務を経て、2010年岐阜県にIターン。就労支援の仕事と出会い、効果的な支援の仕組みを構築するため法人を設立。以後、発達障がい者、精神障がい者の就労支援に尽力。岐阜県発達障害者支援センター青年期自立支援プログラム検討会委員。
[団体ホームページ] |
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団体2: NPO法人STORIA
[団体・事業紹介] 東日本大震災後、2016年に法人を設立しました。「貧困の連鎖から愛情が循環する社会へ」を理念に、経済的困難を抱えた子どもを対象に「生き抜く力」を育む居場所づくりと家庭支援に、地域と協働で取り組んでいます。
WAM助成では、貧困の連鎖の一要因となっている「負の社会的相続」を断ち切るため、子どもの非認知能力を向上させる体験学習型のプログラムを開発しました。その実施と効果測定を行いながら成果が生み出すプログラムや人材育成モデルの構築を図りました。
[プロフィール] 化粧品メーカー勤務を経て、東日本大震災後、東北で浮き彫りとなった「子どもの貧困」を解決するため、法人を設立。経済的困難を抱えた子どもとその保護者の居場所事業を地域や企業と協働で取り組む。2014年仙台市ひとり親家庭等自立促進計画策定協議会委員等を歴任。
[団体ホームページ]
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団体3: 認定NPO法人四つ葉のクローバー |
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[団体・事業紹介] 2013年に法人を設立し、児童養護施設退所者や社会的養護の必要な子どもを対象にシェアハウス事業(住宅支援、生活支援)を開始しました。2016年より認定 NPO 法人となり、シェアハウス事業は、同年「自立援助ホーム」として県に認可されました。
WAM助成では、自立援助ホーム退所後の子どもたちの居場所づくりと支援体制の強化を図る「アフターケア事業」を実施しました。専門職による生活支援や地元企業との連携による就労支援の他、施設退所者が自ら主催し、経験や思いを語るイベントには300名の市民が来場するなど、地域づくりを前へ進めました。
[プロフィール] ひとり親として3人の子どもを育てながら、朝・昼・夕・晩と働く。2009年、児童養護施設で親から虐待を受けた子どもを支えるボランティア活動に従事。施設退所後の不安定で孤独な生活を支えるため、法人を設立。子どもが自分の命と心を守っていけるよう寄り添い、向き合い続けている。
[団体ホームページ] |
まとめセッション(16:15~17:00)
成果報告の内容について、対話形式で深く掘り下げながら考えます。
閉会(17:00)
どなたでもご参加いただけます。
(NPO等の民間福祉活動に携わる方、NPOの活動に関心のある方、行政担当者などを中心に広く一般)
200名 |
定員になり次第、募集締切となります。 |
独立行政法人福祉医療機構(WAM)NPOリソースセンター NPO振興課
TEL 03-3438-9942 FAX 03-3438-0218